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沖縄・読谷村「陶眞窯」は、兄がつくり、姉が絵つけした“やちむん”に、弟が焼いたピザを載せる“家族愛の窯元”
沖縄・読谷村「陶眞窯」は、兄がつくり、姉が絵つけした“やちむん”に、弟が焼いたピザを載せる“家族愛の窯元”
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沖縄・読谷村「陶眞窯」は、兄がつくり、姉が絵つけした“やちむん”に、弟が焼いたピザを載せる“家族愛の窯元”

“いかにも南国”な独特の自然に青い海、首里城や、やんばる(山原)の森などの世界遺産、琉球時代から継承されてきた独自の文化や沖縄料理など、魅力でいっぱいの沖縄県。国内外から多くの観光客が訪れるこの地では、「エシカルトラベルオキナワ」というプロジェクトが推進されています。この取り組みは、人や社会、環境に配慮した、やさしい観光先進地を目指すというもの。このプロジェクトに賛同し、サステナブルな沖縄旅を提供している人気の施設を訪ねました【中編】。

――エシカルトリップ やんばる編 はこちら――

目指すは“サステナブルな窯”

沖縄を代表する伝統工芸のひとつに、沖縄の言葉で“焼きもの”を意味する「やちむん」がある。やちむんは、ふだんづかい用の食器からシーサーのような置物まで、沖縄の暮らしに深く根ざした伝統工芸。重厚で素朴な質感と、沖縄の風土をモチーフにした鮮やかな青や緑、茶色などで、おおらかに絵づけされているのが特徴だ。

沖縄本島中部にある読谷村(よみたんそん)の「壺屋焼 陶眞窯(とうしんがま)」では、工房見学や初心者でも楽しめる絵つけ、手びねりの体験プログラムを用意。併設のギャラリーショップで土産や日常づかいの器が買える、観光客に人気の窯元(かまもと)だ。

創業約50年。青い外壁と「陶眞窯」と書かれた巨大な壺が目印

国が指定する伝統的工芸品「壺屋焼(つぼややき)」の技法を継承している陶眞窯を切り盛りするのは、2代目にしてやちむん作家の相馬大作さん。400年続くやちむんの伝統を守りながら、サステナブルなものづくりを目指す新たなチャレンジを続けている。

工房内のろくろ場。沖縄の赤土をつかった陶土をつかい、削りながら厚みや高さを調節。削り出した土は捨てずに再利用している

ろくろや手びねりで成形し、白土(化粧土)をかけての絵つけ。その後じっくりと乾燥させ、低めの温度で焼いたあとに絵つけをおこなうのが一般的なやちむんづくりの工程だ。仕上げに沖縄ならではの素材をつかった釉薬(ゆうやく)をかけて表面をコーティングし、本焼き窯に入れて焼き上げる。

こちらの工房には4つの窯があり、週に2回窯詰めと窯出しをする。この2日間は多くの器が出たり入ったりし、夏場は室温が50℃に達するとか。

「やちむんの工房も機械化が進んでいるんですが、ボクはやはり手作業が好き。10年後、50年後もものづくりを続けたいという思いが強いんです。やちむんを後世に受け継ぐため、地元の小学生に向けた陶芸体験学習もやっています。たとえば10年後、『そういえば、焼きものの仕事っていうのもあったな』と思い出して、やちむん職人になってくれる子がいるかもしれませんから」(相馬さん、以下同)

陶眞窯では古くからの分業制を継承している。10年前は職人の9割が県外出身者だったが、いまは半分ほどが沖縄県出身。みな、さまざまな経験を経て20代、30代で見習いからはじめるという

これまでの職人の世界ではなく、企業目線で見て長く続けられる環境を整えるよう心がけていると相馬さん。週休2日にして練習時間をしっかり取れるようにしたら、見習いスタッフたちの成長が早くなったそう。

「ボク自身も経営者向けの勉強会に参加して、地域の横のつながりをつくるようにしています。事業承継ひとつとっても、いろんな業種の方々がいて刺激になる。そうやって、地域全体で沖縄の伝統を守り育てていきたいと思っています」

明るい青、濃い青、茶色、緑の4種類の釉薬をつかって絵つけに挑戦! シーサーづくりなども体験できる

体験工房で、五寸と三寸、2サイズの平皿の絵つけを体験した。釉薬は、できる限り手づくりのものにこだわっているのだという。窯の燃料もサトウキビの搾(しぼ)りかす。燃やしたあとの残りかすも、さらに釉薬の原料にしている。サンゴから作った消石灰を用いた伝統的な透明釉など、伝統の製法をいまに活かしているそうだ。

「年間、ろくろで約4000点のやちむんをつくっています。唐草模様や魚紋(ぎょもん)などの伝統模様を取り入れていますが、大胆かつ繊細なデザインとタッチが当窯の特徴。納期の早さにも自信があります!」

どっしりとして素朴なやちむんながら、現代の食卓になじむデザインが評判になり、陶眞窯の器は全国のホテルやレストランでもつかわれているそうだ。

“シーサー顔”の窯で焼き上げる、島の恵みたっぷりのピザ

陶眞窯の隣にあるのは、相馬大作さんの弟・正尚さんがオーナーシェフを務めるピザ店「やちむん&カフェ 群青」。ふたりの父親にして窯の創業者・正和さんのつくった器で料理を提供したいと、2016年にオープンしたピッツェリアだ。すべての料理&ドリンクは陶眞窯のやちむん(器)で提供される。気に入ったやちむんがあれば、併設のショップで購入できるのもうれしい。

陶眞窯による“ピザ職人シーサー”がにこやかにお出迎え

「兄が窯を継いで、姉は絵つけ師。次男のボクは父がつくった陶器をつかいたくて、大好きなピザづくりを学んで店をオープンしました。沖縄でピッツェリアを開いていたイタリアの方の店で、3年間修行。生地は3日間かけて発酵・熟成させ、中はふっくら外はパリパリに仕上げています」(相馬正尚さん)

厨房にあるシーサーの顔をかたどった特製石窯は、もちろん陶眞窯のオリジナル。薪で一気に焼き上げる、本格的なナポリピッツァを提供している

名物の島野菜のピザには、パパイヤにゴーヤ、ハンダマ、うりずん豆など旬の島野菜をたっぷり使用。ガーリックがきいた濃厚なトマトソースとカリカリ&ムッチリ生地が、野菜の自然な苦みと相性抜群だ。

島野菜のピザ(右)とデザートにもピッタリの洋梨と黒糖のピザ(左)。チーズと黒糖と洋梨?と半信半疑だったが、クリーミーで甘じょっぱく、どんどん手が伸びるおいしさ

島の食材をふんだんにつかい、父と兄が焼き、姉が絵つけたやちむんで提供される絶品のピザ。家族の熱い想いと地元愛に溢れた、心温まるひとときが過ごせた。

――“発酵に着目したサステナブルホテル編”に続きます――

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