原菜乃華が『君と花火と約束と』で3度目の声優に挑戦!「お邪魔させてもらっている感覚ですが、お芝居に没頭できて、すごく楽しいです」
子役時代から培った、たしかな演技力と15年以上のキャリア、圧倒的な透明感でいまもっとも注目を集める俳優のひとり、原菜乃華さん。声優としても、2022年公開のアニメーション映画『すずめの戸締まり』のオーディションで、1700人を超える応募者から主人公役に選ばれた実力をもっています。映画『ミステリと言う勿れ』、NHK連続テレビ小説『あんぱん』など話題作に登場し続ける原さんが、アニメ映画3作目となる『君と花火と約束と』に出演! 実写で演じることと声優の違いや映画の見どころ、サステナビリティなどについて伺いました。
「『見られている』という意識がない分、すごく集中できるんです」
アニメ映画への参加は『すずめの戸締まり』『不思議の国でアリスと -Dive in Wonderland-』に続いて、7月17日に公開される『君と花火と約束と』で3度目。それでも、ヒロインの声を吹き込む「アフレコ」では、いまだに緊張してしまうそうだ。
「アニメーションが大好きなので、どういうカタチであれ、携わらせていただけることが幸せです。ただ実写では、表情や動きなど、いろんな部分で役を表現できるのですが、アニメーションは声だけに集約する必要があります。間の取り方や息を吸うタイミング、ちょっとした声の揺らぎや震えなど、繊細に演じなきゃいけない。そこがすごく難しいです」

実写はカメラの位置や立ち位置など、いろいろなことを俯瞰(ふかん)して考えながら動く必要がある。声優に挑戦して、そのことにあらためて気づいたとか
声を吹き込む現場には、集中できる環境が整っているそうだ。
「監督やスタッフさんから見られない環境で、自分だけの空間でお芝居ができるんです。だからすごく集中できて、本当に楽しい。まるで陶芸をしているかのように、ひとりで『ああでもない、こうでもない』と細かいところまで修正しながら、納得のいくまで役に向きあえるんですね。“お芝居をする”こと自体は実写と同じなんですが、つかっている脳みその部分がぜんぜん違う気がします。ガッと集中して、時間を忘れて演技に没頭できるこの感覚は、『すずめの戸締まり』で初めて知りました」
作品がもつ“想い”を伝えていく。その一助ができる幸せ
『君と花火と約束と』は、日本三大花火のひとつに数えられる新潟県長岡市の「長岡まつり大花火大会」を舞台に、過去から現在まで、それぞれの“いま”を懸命に生きる人々の想いが紡がれていくさまを描いた、儚(はかな)く切ないラブストーリーだ。原さんは、才色兼備なヒロイン・煌(あき)を演じている。
「台本を読んだ最初の印象は、青春のきらめきや、運命的なふたりの出会いに胸が高鳴る物語というもの。そこから読み込むうちに、長岡の花火に込められた『二度と戦争を繰り返さない』という想いや、その想いをつないでいく奇跡が描かれている作品だと気づきました。“人が人を想うことの尊さ”が再確認でき、おだやかに毎日を過ごせていることに感謝したくなる、素敵な作品です」
この映画で描かれる長岡の大花火大会には、1945年8月1日の長岡空襲で犠牲となった人々への慰霊と戦後の復興、そして平和への祈りが込められている。
「私自身、この作品に出合うまで、長岡まつり大花火大会の歴史や意義を知りませんでした。そういう方は少なくないと思うので、この映画をきっかけに、花火に込められた想いが広く知られたらいいですね」

「お芝居は5〜6歳からやっていますが、アニメーションに声を吹き込むお仕事は『すずめの戸締まり』から。自分の本職っていう意識はまるでなく、いまもお邪魔させていただいているという感覚です」
「人の想いをつなぐこと」が、サステナブルな社会をつくる。誰かを想う気持ち、それを未来へつなぎたいという願いが不可欠だ。
「映画でもドラマでも、それぞれの作品には“伝えたい想い”があると思うんです。それをストレートに言葉で伝えるのではなく、架空の物語として届けることで、より多くの人に、やさしく伝えられるのがフィクションのいいところ。私個人が、私の意見として思っていることを発信するのはすごく怖いことですが、作品に想いを載せて届けることはできますよね。いろんな人の想いをつないだ作品が世の中に出て、私もその一部でいられる。日々、『素敵なお仕事をさせてもらっているな』と感じています」

「今後、声優としてチャレンジしたいのは、人ではないキャラクター。ぜひ演じてみたいです!」
サステナブルな未来のために原さんが心がけているのは、エコバッグの持ち歩き。朝ドラ『あんぱん』の出演が縁で出合った、アンパンマンのエコバッグがお気に入りだ。
「スーパーなどに行くときには、必ず持っていきます。高知にあるアンパンマンミュージアムで買ったもので、歴代キャラクターがいっぱいプリントされているんです。すごくカワイイし、つかい勝手もいいので、母やマネージャーさんにもプレゼントしました。あるときスーパーで会ったマダムに『とってもかわいいエコバッグね、それどこで買えるの?』と話しかけられて会話がはずみ、久しぶりに心が温まるいい時間になりました。気分が上がってSDGsにもつながるし、一石二鳥ですよね」
原菜乃華■2003年8月26日、東京都生まれ。『すずめの戸締まり』(声の出演)、映画『【推しの子】The Final Act』、NHK大河ドラマ『どうする家康』、連続テレビ小説『あんぱん』ほか数々の話題作に出演する。映画『ミステリと言う勿れ』の演技が評価され、2024年、第47回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。
photo:横江淳 text:萩原はるな




