社会問題に対して、さまざまな方法で姿勢を表明している作詞家・コラムニスト・ラジオパーソナリティのジェーン・スーさんがジェンダー問題を考える、勉強する、身近に感じる本をご紹介。誰もが関係する大切な性別にまつわる問題について、多角的に読み解ける２冊です。

自分の可能性を
引き出してくれる本

他者のジェンダーを理解しようとする姿勢はとても大事です。しかし私は「まず自分のことを知ろう」と提案したい。多くの人は、知らず知らずのうちにジェンダーバイアスを持っています。私もそうでした。女性であるというだけで、社会的に期待される振る舞いや行動規範を遵守してしまっていたり、他人にそれを押しつけていたり。私の著書『女のお悩み動物園』でもそのことを書いています。

私のおすすめの２冊は、世間から期待される女性の振る舞いを超えた人を紹介している本です。『自分で「始めた」女たち』は、自分でビジネスをはじめた女性がたくさん載っています。一日１人分のエピソードを読むのもおすすめの読み方。いつかビジネスを始めたいと、具体的な目標を持っている人にはもちろんですが、そんなことを考えたこともないという人にこそ読んでほしいです。

もう一冊は、自分が自分らしく生きるための道を譲らなかった女性たちを紹介する『キュロテ』。昔の女性の生き辛さは現在の比ではなかったと思いますが、彼女たちは自分自身のために戦いました。夢を叶えている女性の姿を、実際に見ることの影響力は大きい。だからこそ、彼女たちの存在を知ることで思い込みをなくせるかもしれません。

自分で「始めた」女たち
「好き」を仕事にするための最良のアドバイス＆インスピレーション
グレース・ボニー／著、月谷真紀／訳

手に職を持ち、活躍している女性112人の写真と言葉を紹介。登場する女性たちの職種はさまざまで、出身地も年齢も多様。ロールモデルをきっと見つけられる。（海と月社）

キュロテ　世界の偉大な15人の女性たち
ペネロープ・バジュー／著、関澄かおる／訳

ムーミンの作者・トーベ・ヤンソンなど、生きる道を切り拓いてきた世界各国の女性15人を紹介するフランス発のコミック。続刊『キュロテ・ドゥ　世界を変えた15人のスゴい女たち』も発売中。（DU BOOKS）

PROFILE

ジェーン・スー
作詞家、コラムニスト、ラジオパーソナリティ。TBSラジオ『ジェーン・スー生活は踊る』のMCを務める。『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』（幻冬舎）で第31回講談社エッセイ賞を受賞。著書『女のお悩み動物園』（小学館）は、自分のせいだと思っていた悩みが、実は社会の構造的な問題であるかもしれないという新たな視点を提示。

●情報は、FRaU2021年1月号発売時点のものです。
Photo：Toru Oshima　Illustration：Adrian Hogan　Text & Edit：Saki Miyahara
Composition：林愛子

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