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“2大麺”が夢の競演! そば界レジェンド「柏 竹やぶ」と日本一のラーメン店「飯田商店」コラボの味は!?
“2大麺”が夢の競演! そば界レジェンド「柏 竹やぶ」と日本一のラーメン店「飯田商店」コラボの味は!?
FEATURE

“2大麺”が夢の競演! そば界レジェンド「柏 竹やぶ」と日本一のラーメン店「飯田商店」コラボの味は!?

2021年に「TRYラーメン大賞」で4連覇を達成、殿堂店として君臨する「らぁ麺 飯田商店」。同店がある神奈川県・湯河原はラーメンファンの聖地ともいわれ、連日全国から多くの人びとが詰めかけています。そんな飯田商店が、日本有数のそば職人・阿部孝雄氏の「柏 竹やぶ」と競演! そば界のレジェンドがラーメン界の旗手に伝えたいこと、互いに得たことなどを語り合ってもらいました。【前編】

主役は飯田商店の「しょうゆらぁ麺

1966(昭和41)年に創業した「竹やぶ」は、いまでこそ当たり前になっている「手打ち、石臼挽き自家製粉」のそばを提供した先駆者。2003(平成15)年には六本木ヒルズ店をオープン、多くのセレブリティーがその瑞々しいそばを求めて訪れた。現在は2代目にあたる次男に店を任せながら、千葉県柏市の手賀沼を一望する丘にある「柏 竹やぶ」で、そばとの対話を続けている。

そんな阿部さんがコラボレーションをもちかけたのが、交通不便な場所にありながら、連日満員御礼の行列店となっている「らぁ麺 飯田商店」。店主の飯田将太さんはつねに理想のラーメンを追求し、小麦や地鶏、黒豚、昆布や海苔などラーメンを構成する具材の生産者を訪ね歩く求道者だ。

「コロナ禍や戦争など、時代が大きく変わっているいま、誰もやっていない新しい挑戦がしたいと考えたのです。そこで思いついたのがラーメンとのコラボ。ラーメンとそばが合うなんて、誰も思わないでしょう。そこで若い人たちの力やエネルギーをもらおうと、飯田さんに声をかけました」(阿部さん)

この日は、竹やぶと飯田商店のスタッフがともに厨房に立った。阿部さん(前列左から3番目)と2代目(同4番目)、飯田さん(同6番目)とその弟子で大人気ラーメン店「Ramen FeeL」店主の渡邊大介さん(同7番目)

「最初このお話を聞いたときはびっくりしたし緊張もしましたが、とてもうれしく、光栄だと思いました。ラーメン業界の先輩方がつくってきてくれた道と、自分の”らぁ麺”を信じて、そば界の大御所に思いきりぶつかってこよう! とワクワクしました」(飯田さん)

「今回は、柏まで来てくれた飯田商店のラーメンがメイン。コラボのテーマは『温故知新』で、これまでの軌跡を大切にしながら、新しいことに挑戦しようというものです。飯田さんたちに、うちの2代目を鼓舞してもらいたいとも思いました。私はもともとラーメンが好きで、飯田さんのラーメンも湯河原に食べに行きましたよ。味のよさは当然ですが、何より人間性がすばらしい。義理人情を大事にしていて、信用できます。ラーメンに注ぐエネルギーもすごい」(阿部さん)

阿部さんの熟練の技が光るそばがき。ふわふわもっちり、さらにそばのツブ感も感じられる絶妙な食感だ。そばの香りと瑞々しい甘さを、本わさびがピリリと引き締める

予約開始後、あっという間に席が埋まってしまう飯田商店の看板商品、しょうゆラーメン。この日のチャーシューには、幻の豚といわれるサドルバック種のバラとロースを使用、脂の甘みがスープに溶け出していた

2024年の2月におこなわれたイベント当日は、予約サイトで何とか席を勝ち取った200名超の客がコラボメニューを味わった。提供されたスペシャルコラボメニューは、阿部さんによる「身欠きにしん炊きあげ甘露煮」と「ゼンマイの煮つけ」「帆立の麹味噌合せ」「あら挽きそばがき」に、飯田商店の「しょうゆらぁ麺」。食後には「甘味 水あずき」が用意された。

食べる前は、誰もが「そばとラーメン?」といぶかしく思っていたよう。けれども、味わい深い前菜と温かなそばがきがメインのしょうゆラーメンを引き立て、最後の甘味で幸せな気持ちがキープされるという絶妙の構成。まったく違和感のない、完成度の高いコースになっていた。もちろんすべての皿が、思わずうなってしまうほどのおいしさ。

そばがきを練る阿部さん。「そばがきがおいしくない店は、そばもおいしくないんですよ」

ゆであがった麺を盛りつける飯田さん。作業の合い間に阿部さん親子の立ち働く姿を見て、「カッコいい!」とテンションが上がったとか

最高に楽しいのは、料理をつくっている瞬間

飯田さんは以前から、「ラーメンは麺料理として、そばにはかなわない」と思っていたという。けれども今回のイベントで、その考えが少し変わったそうだ。

「古くからの歴史や伝統がある”おそばの世界”にあこがれてここまでやってきましたが、今回のイベントでは、空間の中で阿部さんの料理と僕のラーメンが融合していた。『かなうとか、かなわないとかではなく、それぞれがあっていいんだな』と素直に思えました。阿部さんといえば、名だたるシェフたちが『阿部さんはすさまじいよ』と称える存在。その世界観に寄り添えた、本当に光栄な一日でした」(飯田さん)

「今日のイベントは、なかなかの発信力があったんじゃないかな。僕は今年80歳になりましたが、新しい時代を生き抜いていく飯田さんとコラボすることで、新たな発見がいくつもあった。最先端のラーメンをつくる姿に時代の変化も感じたし、いいところは盗ませてもらって、今後に活かしていきたいですね」(阿部さん)

同じ「日本を代表する麺料理」をつくりながらも、あまり交わることのないそばとラーメン業界。同じ厨房で「おいしい料理を提供する」という共通の目標に向かう経験は、とても楽しく有意義なものだったようだ。

「料理人は、つくっているときが最高なんですよ。飯田さんも、厨房で本当にいい顔をしていた。料理ができあがって提供してしまえば、あとは食べる人のもの。昔、店に食べに来た坂本龍一さんが『僕は、作曲しているときが一番楽しい』とおっしゃっていましたが、それと一緒なんでしょうね」(阿部さん)

──「おいしさとは?」などを語る後編に続きます──

photo:森カズシゲ、text:萩原はるな

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