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京都から和歌山へ、「アドベンチャーワールド」から農家へ!元イルカ飼育スタッフの“楽しんで学べる農園”づくり
京都から和歌山へ、「アドベンチャーワールド」から農家へ!元イルカ飼育スタッフの“楽しんで学べる農園”づくり
LIFE STYLE

京都から和歌山へ、「アドベンチャーワールド」から農家へ!元イルカ飼育スタッフの“楽しんで学べる農園”づくり

ライフスタイルの大きな変化を伴う移住には、きっかけ、楽しさ、目標、苦労が、移住者の数だけあります。今回、ご紹介するのは、2009年に京都府宇治市から和歌山県・白浜町へ移り住み、同町の「アドベンチャーワールド」に就職、アシカや、イルカなど鯨類の飼育スタッフを務め、自分らしい生き方を手に入れたという遠藤賢嗣さん(Instagram:@wakayama_shirahamafarmer)。その後の2018年、農家に転身し、いまはレタスやとうもろこしなどの生産、加工、販売をおこなっています。“楽しみながら学べる”新しい形の農園をつくって地域に貢献するという遠藤さんの移住ストーリーに、心地よく暮らすヒントがありました。

農作物をつくりながら
自然に触れる楽しさを広めたい

南紀白浜空港からほど近い、海と山に囲まれた見通しのよい平地で農園を営む遠藤賢嗣さん。イルカトレーナーになりたいという幼いころからの夢を叶えるため、2009年に京都から白浜町へ移り住み、アドベンチャーワールドでイルカの飼育やエンターテイメントを学ぶ。

9年が経ったころ、自然ともっと密につながる場をつくり、多くの人と楽しい時間を共有したいと考えるようになり、ダイビングインストラクターなどへの転職を検討し始める。いろいろと調べて各地に足を運ぶなかで、ひらめいたのが「農家」だった。

「ただの農家じゃなくて、誰でも参加できるワークショップをやったら、畑や農作物を通じてたくさんの人に自然に触れてもらえると考えました。その点、白浜町は観光地として有名やし、空港も駅も高速道路のインターチェンジもすぐそばにある。最高の立地やと思いました」

前職の上司に紹介された農園で、作づけや農作業の年間計画、技術などを学んだのちに、地域の農家から土地を借り受けて2019年に経営をスタート。レタスやとうもろこし、仏花のケイトウやストックを生産している。

遠藤さんの畑のとうもろこし。採れたては「甘みや食感がふだん食べているものとまるで違う」と好評だ

収穫した農作物の大部分は農協に卸しているが、自分でも販路を開拓。直売所、カフェ、美容室、車販売店に電器店などなど、地元の店に交渉し、野菜を販売してもらっている。

「個人店やとお客さんとの信頼関係ができてるから、野菜に興味を持ってもらいやすいんです。野菜を通じて生まれる新しいコミュニケーションを、お店の方にも喜んでいただいてます」

近隣のカフェや直売所に自ら納品する。野菜だけでなく、とうもろこしの炊き込みご飯の素や、レタスのポタージュといった加工品もつくっている

次の目標は、収穫した野菜を
かつての勤務先に卸すこと

気軽に参加できるワークショップ「畑のお散歩と収穫ツアー」では、畑を散歩しながら植物の生態を学んだり、ゲームを通じて虫や鳥を観察したりする。

ワークショップ参加者に配る冊子や、取引先などに事業内容を説明する際の資料は自作。企業での勤務経験のある遠藤さんならでは

レタスやストックの収穫体験は、子どもはもちろん大人からも好評で、アドベンチャーワールドで培ったおもてなしの心や人を喜ばせる工夫が光る。2025年3月からは「農業体験農園」もスタートさせた。

「誰もが楽しみながら学べて、家族や仲間との思い出もつくれるワークショップは、今後地域に根づいていくと思ってます。グループごとに区画を割り振って、1年かけて自分たちだけで野菜をつくってもらう体験農園では、講習や指導はやりますけど、ボクはほとんど畑には触らず、参加者だけで育ててもらおうと考えてます。苗を植えて、成長に応じて世話して、収穫の喜びを分かち合って一緒に食べることは、学びになるだけじゃなくて、参加者同士の関係を良好にするはずです」

学校などで講演をしたり、南紀白浜空港と連携し県外の企業に農業体験の機会を提供したりなど、さまざまな企業や団体と手を組み、外部への発信にも力を入れている遠藤さんの目標は、かつての勤務先との連携だ。

「いま農園でつかってる堆肥(たいひ)は、アドベンチャーワールドが草食動物のエサの残渣(ざんさ)や糞を集めてつくったもんなんです。その堆肥で育てた野菜を、動物たちのエサとしてパークに卸したり、パーク内で来園者に販売したりするのも目標のひとつです」

これまでの縁を大切に、うまく循環させて新たな種をまく。人を巻き込みながら、自身も楽しく農業を営む姿が新鮮で印象的だった。

加工品もいろいろ!

移住のホンネ、教えて!

家族用の住まいや教育機関の数が
少ないことは今後に期待

「単身者用のアパートは数がありますけど、家族で住む家となると多くはない。観光地としてはそれなりに栄えていますが、学校や病院がまだまだ少ないなど、生活面でもっと便利になるといいなと感じますね」

●情報は、『FRaU S-TRIP MOOK 1200年前からサステナブル 世界遺産のくに「和歌山」』発売時点のものです(2024年10月)。
Photo:Masanori Kaneshita Text:Riho Nawa
Composition:林愛子

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