COLUMN 2023.01.11

おいしいコーヒーを､安心して生産できる世界を目指して

生活になくてはならない存在として、世界中で愛されているコーヒー。けれどもかつて、コーヒーの品質がないがしろにされていた時代があったことは、あまり知られていません。品質が落ちると同時に、コーヒー生産者たちの生活も苦しくなるという事態を正すために生まれたのが、厳格にテストされたスペシャリティコーヒー。imperfectでは、コーヒー農家の暮らしとコーヒーのクオリティを高める取り組みを推進しています。

生産者も消費者もうれしい､スペシャリティコーヒーの誕生

コーヒーは長年にわたって、世界中の人々に愛されてきました。風味や香りのよさに加えて、豆の原産地や生産工程、焙煎方法、挽き方などによってさまざまな味の変化が楽しめる奥深さも大きな魅力。こだわりの一杯を追い求める人も多く、一杯１万円という価格で落札されたコーヒーもあるほどです。

けれどもコーヒーの生産現場には、「コーヒーは低価格であるほどよい」とされ、品質が置き去りにされて生産者にわたる賃金も減少したという過去があります。味が落ちた結果、消費者のコーヒー離れが加速するという悪循環に陥っていたのです。

こうした状況を改善して、コーヒー農園を守ると同時に生産物の品質を高め、消費者に満足してもらえるおいしいコーヒーを適正な価格で楽しんでもらおうというムーブメントが生まれました。さまざまな項目で品質を評価される「スペシャリティコーヒー」という概念は、こうして誕生。現在、全世界のコーヒー生産量のうち、これを名乗ることを許されているのはたったの５%。群を抜くおいしさと質の高さ、特徴的な風味をもつことに加えて、自然環境を尊重しながら、人道的な取り組みによって生産されていることも条件とされています。

スペシャリティコーヒーの出現によって、コーヒー農家は安心してコーヒーの品質を追求しながら生産できるようになった

imperfectで使用しているのは、この稀少なスペシャリティコーヒー。農家がおいしさにこだわって生産している、コーヒー栽培の持続可能性を追求した豆を厳選して使用しています。

ただし、農家がコーヒーを生産するための学びを得るチャンスはまだまだ限定的。生産の不安定さや価格の変動など、コーヒー生産には多くの懸案事項が残されています。imperfectでは各農園と協力しながら、不安定な要素を少しでも減らし、農家が安心して生産に取り組めると同時に、特徴的な風味や香りを堪能できる高品質なコーヒーを生産できるよう、さまざまな活動を行っています。

そうした取り組みとして、imperfectではコーヒーの主要生産国であるブラジル及びコロンビアで、以下のプロジェクトを実施しています。

コーヒー生産者に安定した収入基盤を提供

農作物であるコーヒーには、霜や干害などの天候要因によって大打撃を受けてしまうというリスクがあります。とくに小規模農家にとっては、生活がかかっているコーヒー生産のリスクは大きな不安要素です。

そこでimperfectは、コロンビアのコーヒーができる土壌で一緒に生産しやすく、コロンビアの主食のひとつであるトウモロコシに着目し、プロジェクトを実行しています。具体的には、コーヒー農園の空いたスペースで、天候や病害虫に比較的強いトウモロコシを生産するプロジェクトを推進しています。トウモロコシの種子を提供すると同時に、栽培や収穫方法のトレーニングを実施することで、コーヒー生産が不安定なときでも、トウモロコシが収入や栄養面から家族をサポート。これにより、農家の生活基盤が安定することを目指しています。

女性コーヒー農家に学びの環境を

文化的な背景や経済的な事由から、女性コーヒー農家はコーヒー生産について深く学べるチャンスが少ない少ない場合があります。。もっと高品質のコーヒー豆を生産したい、もっと収入を増やしたいと考えている女性農家も少なくありません。

imperfectがブラジルで実施しているのは、女性の学びをサポートする取り組みです。女性コーヒー農家やコーヒー生産を目指している女性たちに、生産を体系的に学べる環境を提供。品種や栽培、スクリーニング（選別）による高品質な豆の取り扱い方から、焙煎による風味の違い、さらには経営手法など、一貫した生産工程や経営が学べる機会を用意しました。

理想とするのは、性別にかかわらずコーヒー生産に向き合いながら自ら考え、生産向上させることができる未来。さらには、彼女たちがまわりのコーヒー農家のロールモデルとなり、多くの農家に影響を与えていくことを願っています。