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ラーメンが世界の架け橋に! 「飯田商店」らカリスマ店主たちが、難民支援チャリティーイベントを開催
ラーメンが世界の架け橋に! 「飯田商店」らカリスマ店主たちが、難民支援チャリティーイベントを開催
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ラーメンが世界の架け橋に! 「飯田商店」らカリスマ店主たちが、難民支援チャリティーイベントを開催

2021年に「TRYラーメン大賞」で4連覇を達成、殿堂入りを果たした神奈川県湯河原町の「飯田商店」。全国からラーメンファンが訪れる名店に成長し、いまや日本一予約が取れないラーメン店として知られています。店主の飯田将太さん(46歳)は「大変な思いをして日本に避難してきた難民の方々を、ラーメンでもてなしたい」と、2022年からラーメンを無償でふるまうイベントを実施。第7回目は寄付をつのって、一般客にもラーメンを提供するチャリティーイベントを開催しました。

“幻のラーメン”を食べて、難民支援ができる!

「飯田商店」の一杯は、整理券制からネット予約に進化しても、予約開始後アッという間に席が埋まってしまう“幻のラーメン”。本店が位置する湯河原は、全国から多くのラーメンファンが訪れる“聖地”となっている。そんな飯田商店の店主が鎌倉市「アルペなんみんセンター」で5年前から取り組んでいるのが、母国から逃れてきた難民たちへの提供イベントだ。

アルペなんみんセンターに、早朝打ったばかりの特製麺を運び込む飯田さん。同センターには、ロシアや旧ユーゴスラビア、コンゴ、ナイジェリアなどから日本に逃れてきた人びとが身を寄せている

快晴に恵まれた2025年6月のある日、飯田さんとラーメン店主たちが鎌倉市のアルペなんみんセンターに集結。難民の皆さんに特製ラーメンを振る舞うと同時に、今回は寄付をつのって一般のラーメンファンにも逸品をふるまうという。飯田さんがこの“炊き出し”的イベントを開くのは今回で7度目。彼の想いに賛同し、助っ人として参加するラーメン店店主たちは回を追うごとに増え、今回は飯田さんの一番弟子である「Ramen FeeL(ラーメン・フィール=青梅市)」渡邊大介店主をはじめ、「中華そば 四つ葉」(埼玉県川島町)岩本和人店主、「とものもと」(船橋市)市原朋宏店主ら9名の猛者たちが駆けつけた。

「中村麺三郎商店」(‘相模原市)中村健太郎店主(写真中央右)とともに、ラーメンファンの写真撮影に応じる飯田さん(同左)

飯田さんがここではじめてラーメンを振る舞ったのは、2022年のこと。以降、コンスタントに難民支援イベントを開催している。

「TRY大賞をいただいたのをきっかけに、道をつくってくださった偉大な先輩方に胸を張れるような仕事や、みんなが喜ぶ行動をしようと思うようになったんです。でも実際は、『社会貢献活動をするぜ!』という気持ちよりも、『ラーメンを食べたことのない人たちに、うまい一杯を食べさせたい!』という欲望のほうが強いかな。損得勘定抜きに、ただおいしいラーメンをつくって食べてもらう。そうすることで自分自身が原点に戻れ、フラットになれるんです」(飯田さん、以下同)

一般客の参加協力金は3000円。皆、2杯目、3杯目とおかわりをするたびに、さらに募金箱に紙幣を投じていた。この日の寄付金総額は、なんと50万円!

この日提供されたのは、鶏のみで出汁(だし)をとった透明感あるスープの、しょう油ラーメン。鶏ガラをしっかり炊いて「骨感のある」(飯田さん)スープを採ったという。途中から、同じスープに塩ダレをあわせた塩ラーメンも登場した。宗教や文化上などの理由で豚を食べられない難民もいるため、豚骨などはいっさい使用していない。若手店主たちがそれぞれの得意分野を活かした鶏チャーシューをつくり、それらがトッピングされていた。ジューシーな蒸し鶏タイプあり、香ばしいグリルタイプあり……どの鶏チャーシューも、それだけで十分、一品料理になるクオリティーだ。

「(参加店主の)みんなには、『わざわざ自分たちの店を休業にしてまで参加しなくていいよ』と言っているんですが、いつも出席人数が多い! (人気の)ラーメン店主が集まって、ひとつのラーメンをつくる機会って、なかなかないじゃないですか。僕も毎回、刺激や学びをもらっています。今回、はじめて一般の方々をご案内するにあたって、『雪ぐに』の柴田くんが『最寄り駅で一般参加の方をお迎えして、難民センターまでご案内したほうがいいですよね。僕、行きますよ!』って言ってくれて。なるほど、そこまで考えるんだなあと勉強になっちゃった」

鶏の旨みとコク、しょう油の香ばしさとキレがたまらないラーメンに舌鼓。「おいしいラーメンが食べられる」と、センターの方々はみな飯田さんのイベントを楽しみにしている

飯田商店をはじめとする参加ラーメン店の常連客や、ラーメンファンが多く訪れた今回のチャリティーイベント。かつて飯田店主の代名詞だった「水と鶏だけでとったラーメン」は、いまは幻となっている。難民センターで味わうラーメンは、「当時の味を思い起こさせる」と、往年のファンも大喜び。

「みなさんが難民問題に目を向けるきっかけになるといいですよね。私たちが難民の方々と交流する機会って、そうそうない。僕たちが楽しみながらつくったラーメンを食べて、難民の方々も日本のラーメンファンも笑顔になる。ラーメンが国際交流の橋渡し役になっている、本当にいい空間だなと思います」

飯田さんは春から夏にかけて、モナコ、イギリスのロンドンとウィンザー、スペインのアスペ村など、ヨーロッパ各地でのラーメンづくりに挑戦してきた。大きな手応えを得たという

目標は「あの方」にラーメンを提供すること

自叙伝の刊行、モナコやイギリス、スペインのセレブたちに、現地食材をつかってのラーメンの提供、ファミリーレストラン『デニーズ』のメニュー監修と、2025年の飯田さんは挑戦の連続だった。“日本一のラーメン職人”の称号を得てもなお、なぜ前に進み続けているのだろう。

「いやいや、僕なんかまだまだですよ。ただ、ラーメン業界に恩返しをしていきたいという想いは強いですね。本を出したことで、記憶の整理ができました。初心を思い出したというか、昔の自分に背筋を伸ばされた感じ。ヨーロッパで、まったく違う食文化をもつ方々にラーメンを食べてもらったのもいい経験になりました。各国のみなさんに喜んでもらって、あらためて『ラーメンの力ってすごいなあ』と認識しましたね」

飯田さんの自伝的初エッセイ、『本物とは何か』(ダイヤモンド社)。彼のいままでとこれから、そしてラーメンや先達への愛と感謝が詰まった一冊だ

本では、「天皇陛下に自分のラーメンを食べていただくのが目標」と記した。

「いまや日本が世界に誇る食になったラーメンを、ぜひ一度、“日本の象徴”に味わっていただきたいんです。近年のラーメンの進化って、ものすごいじゃないですか。そんな現状を知っていただきたいし、もし実現すればラーメンの地位も向上するはず。そのときに『おいしい』というお言葉をいただけるよう、これからも精進します!」

Photo:西﨑進也 Text:萩原はるな

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