まだ役に立つもの・命あるものが無駄にされるのを惜しむ「もったいない」という言葉をも ち、 「もったいない」という気持ちを大切にしてきた日本。だが現在、日本の食品ロス量は世界でもトップクラスだという。

たしかに、清潔で他人への配慮や信用を重んじる日本人のなかには、少しでも古くなった物、傷んだ食べ物を忌むべき存在だと感じる人も多い。特に日本のメーカーは商品の賞味期限や消費期限 に厳格で、スーパーやコンビニはもちろん小売店でも、期限を過ぎた食品は速やかに店頭から撤去され、廃棄される。消費者側もその影響を受け、乾物などの傷みにくい食品であっても、（消費期限ではなく）賞味期限をたった1日過ぎただけで腐ったように感じ、頑なに食べようとせず捨てる人も増えている。もちろん期限内に食べるのが一番だし判断が難しいものは避けるべきだが、正しい知識と「もったいない」精神があれば、まだ十分に食べられる食品を廃棄するといった食品ロスは防げるのではないだろうか。

〈消費期限〉…この「年月日」まで「安全に食べられる期限」のこと。お弁当、サンドイッチ、生麺、ケーキなど傷みやすい食品に表示されている。
〈賞味期限〉…この「年月日」まで「品質が変わらずおいしく食べられる期限」のこと。スナック菓子、カップ麺、チーズ、缶詰、ペットボトル飲料など、消費期限に比べ、傷みにくい食品に表示されている。
※どちらも袋や容器を開けないままで、書かれた保存方法を守って保存していた場合。
（参考：農林水産省　https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/kodomo_navi/featured/abc2.html）

映画『もったいないキッチン』 は、日本が大切にしてきた「もったいない精神」に魅せられた『0円キッチン』の監督でフードアクティビストのダーヴィッ ド・グロスがパートナーであるニキと来日し、食べられるのに捨てられてしまう食材を使って美味しい料理に変身させるドキュメンタリーであり、キッチンカーで国内を巡るふたりが、 食材を求める旅先でさまざまな人と出会う様子を追ったロードムービーでもある。

ふたりが日本各地で『もったいないキッチン』を開き、そこで出会った人と一緒に「いただきます」とテーブルを囲む姿は、食品ロスに対して硬直的に訴えるものではなく、観る人を思わず笑顔にさせるポジティブなエネルギーにあふれている。なにより誰にとっても身近な料理というクリエイティブなアプローチを取っている点がいい。ふたりの食材を探す旅は、出会う人それぞれの言葉や生き方を通して、いつしか食品ロスだけでなく、これからの時代に求められる幸福な暮らしについても考えさせられる。

新型コロナウィルスの拡大によって自宅で食事を摂る機会が増え、これまでの食生活を見直した人も多いはずだ。そんな人にとっては、本当に豊かな料理や幸せな食卓について、この映画からたくさんのヒントを得られるだろう。「もったいない」という言葉には、単に無駄やロスを惜しんだり節約を追い求めたりするだけでなく、目の前にあるすべてのものに対し、一度愛を持 って価値を考えてみようという意味も含まれているのかもしれない。

（作品情報）
もったいないキッチン

監督・脚本：ダーヴィド・グロス
出演: ダーヴィド・グロス、塚本ニキ、井出留美 ほか
プロデューサー：関根健次
制作：ユナイテッドピープル
配給：ユナイテッドピープル
配給協力・宣伝：クレストインターナショナル
2020年/日本/日本語・英語・ドイツ語/16:9/95分

●公式サイト

お知らせ

10月の食品ロス削減月間、映画『もったいないキッチン』
全国一斉上映キャンペーン！
https://www.mottainai-kitchen.net/2021-10/
10月は食品ロス削減月間であり、「世界食料デー」月間でもあります。食品ロス問題を考えるこの時期に、映画『もったいないキッチン』を上映しませんか？　通常上映料が7.7万円～のところ5.5万円～に。他にも特典があります 。是非ご検討ください。
※各都道府県でこの期間中上映でき るのは原則１ヶ所限定となります。
※オンライン上映ができない作品となります。

お知らせ2

大丸有SDGs映画祭2021で上映！
SDGsに通じるテーマの映画作品を集めた『大丸有 SDGs映画祭2021』（2021年9月3日〈金〉～10月8日〈金〉） でも映画『もったいないキッチン』の上映が決定 。
開催日：2021年10月6日（水）
会場：有楽町micro FOOD & IDEA MARKET
詳細は公式ホームページでご確認ください。
●公式サイト