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マイボトルでも、おいしいコーヒーを劣化させない秘訣は!?
マイボトルでも、おいしいコーヒーを劣化させない秘訣は!?
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マイボトルでも、おいしいコーヒーを劣化させない秘訣は!?

お気に入りのカフェや手軽にコンビニで買う、あるいは自宅で淹れたこだわりの一杯を、などコーヒーの楽しみ方は人それぞれ。そんな自分好みのコーヒーをマイボトルで飲む人が増えています。今回は、マイボトル需要に注目している大手コーヒーメーカーに、オススメのマイボトル用コーヒーやおいしく持ち歩くコツなどを伺いました。

いまや在宅ワークにマイボトルが欠かせない

いまやすっかり定着したマイボトル、マイタンブラー、マイカップ。環境省が普及のためのキャンペーンを開始したのは2010年。当時はあまり知られていなかったコーヒーや飲料のマイボトルサービスだが、ここ数年の環境意識の高まりとともに専門店をはじめ、多くの公共施設や企業の社員食堂でも採用されるようになった。また、無料給水スポットを教えてくれるアプリが登場するなど、マイボトルを利用しやすい環境がどんどん拡充している。

「シチュエーションとしてはオフィス内での使用が半数を超えますが、在宅ワークの増加とともに、家庭内での使用も35%ほどに増えています。外出先ばかりではなく家でもつかっているという人は多く、マイボトルの需要は今後もさらに伸びていくと見ています」
こう語るのは、味の素AGF(以下、AGF)コンシューマービジネス部の三本さん。近年、マイボトルの所持率は6〜7割ともいわれており、その使用率は毎年およそ6%ずつ上昇しているそうだ。

そうした人たちは、いったいどんなコーヒーをマイボトルに入れて持ち歩いているのだろう?

AGFの調査によると、豆をドリップするタイプのいわゆるレギュラーコーヒーは約25%。対してインスタントコーヒーはおよそ40%を占めており、さらにペットボトルの中身をそのまま容器に移しかえるだけ、といったユーザーも少なくないのだとか。

マイボトルに移し入れると本当にまずくなる?

日本にコーヒー文化を紹介してきたUCCホールディングス(以下、UCC)では、ニーズの高まりを受け、「ホットコーヒーをマイボトルに入れておいしく持ち歩くコツ」を検証している。キッカケは、持ち歩きコーヒーの一般的なイメージを調べるため「ホットコーヒー マイボトル」でキーワード検索をしたところ、予測検索の上位に「まずい」などというネガティブな言葉が数多く出てきたことだったという。

「コーヒーは淹れてから時間が経つほどに風味が損なわれていくことは避けられず、一番おいしくいただけるのは、もちろん淹れたての状態です。そのため、マイボトルなどでコーヒーを持ち歩くこと自体に好ましくないイメージを持っている人も多いのかもしれない、という仮説から、どうしたらおいしく味わえるのか確かめてみよう!となりました」(コーポレートコミュニケーション室・浦萌々理さん)

UCCでは自社サイトをはじめ、主宰する「UCCコーヒーアカデミー」の公式YouTubeチャンネルで、コーヒーの豆知識、プロならではの淹れ方、アレンジレシピなどコーヒー好き必見のコンテンツを配信中

まずは、焙煎などのタイプが異なるコーヒー豆4種類をステンレスフィルターとペーパーフィルターで抽出。8パターンのホットコーヒーをそれぞれ200mlサイズのボトルに注ぐ。一定時間が経過したところでの試飲を繰り返し、風味や味わい、全体のバランスなどを比較してみた。

すると、下写真のとおり、淹れ方やコーヒー豆の種類などによって、時間経過とともに明らかな違いが出てきたそう。ここから、マイボトルでホットコーヒーをおいしく持ち歩くための4つのポイントが見えてきたという。

スペシャルティコーヒーなど雑味の出にくい豆はおいしさが持続しやすい
焙煎度合いは深炒りよりも中炒りのほうが味わいの劣化を感じにくい
ステンレスフィルターよりもペーパーフィルターのほうが味わいを保ちやすい
マイボトルに入れたホットコーヒーは4時間以内に飲み切るのが理想的

1時間経過時点では、どのコーヒーも比較的バランスのとれた味わいを保っていたが、4時間後には風味の劣化を感じ始めたそう。8時間経つと温度もいちだんと下がり、ほとんどのコーヒーで味わいが落ちる結果に

持ち歩きコーヒーをテーマにした検証をおこなうのは初めてだったという、UCCコーヒーアカデミー専任講師の村田果穂さんに話を聞いた。

「もっとも大切なのは豆選びです。スペシャルティコーヒーなど雑味の出にくい種類を選ぶことで、結果的に焙煎のタイプやフィルターの違いがあっても、コーヒー全体のクオリティをカバーしてくれるのではないでしょうか。単純なことではありますが、『おいしいうちに飲み切ってしまう』ことも重要です。3つの時間帯ごとに試飲をしたなかで、味わいや風味の劣化を強く感じ始めたのは淹れてから4時間後のものでした。実際に飲み比べると、時間経過による味の差が予想よりも大きくて驚きました」

編集部の独断と偏見によるアイスコーヒー・レビュー

編集部では大手コーヒーメーカー3社がマイボトル用にと推すアイスコーヒーを、実際にボトルに入れて持ち歩き、時間経過による味の違いを確かめてみた。

■AGF 『ブレンディ マイボトルスティックワン(ONE)』1箱18本入り
※顆粒タイプのインスタント

【つくり方】
マイボトルに水を注ぎスティックの中身を投入するだけでOK。1包で300~500mlができるので粉を計量する手間も不要、ごみも少なくて済む。これなら、時間のない朝でも気軽にコーヒーをつくれる。

【味の印象】
インスタントながらもしっかりと深みのあるクリアな味。水の量を変えることで好みの濃さにカスタマイズできるのも◎。

コスパ ★★★
飲みたいときにいつでも ★★★
マイボトル(350ml)1本あたりの価格…約38円

「ポイントは誰でも手早くカンタンにつくれてスグに飲めること。とにかくわずらわしさがない、生活者フレンドリーを目指しました」(AGF・三本さん)。コーヒー以外にもジャスミンティーやウーロン茶など全6種類のフレーバーが揃う

■ネスレ日本 「ネスカフェ ドルチェ グスト アイスコーヒーロースト XL」1箱16杯分
※専用コーヒーメーカーで淹れるカプセル式

【つくり方】
コーヒーメーカーの給水タンクに150mlの水を注ぎ、カプセルをセット。150gほどの氷(7~8個)を入れたマイボトルを抽出口に置き、操作パネルに表示されている抽出温度を熱湯(高温)に設定。メモリを5にあわせて抽出ボタンをタッチすれば、コポコポという抽出音とともにコーヒーアロマの香りが漂いはじめる。およそ35秒で300mlのアイスコーヒーが完成。

【味の印象】
芳醇な香りにスッキリとした味わい。より香り高いコーヒーを楽しみたい場合、抽出時間が3~4分ほどかかってしまうが「ハンドドリップモード」で淹れるのがおすすめ。

本格的な味わい ★★★
コーヒーを淹れる時間も楽しみたい方 ★★★
マイボトル(350ml)1本あたりの価格…約75円

カプセルに密封した豆を専用のコーヒーメーカー(ネスカフェ ドルチェ グスト)で加圧しコーヒーを抽出する。「ボタンひとつでカフェクオリティのコーヒーをご自宅で味わえます。『アイスコーヒーロースト XL』は専用カプセルのなかでもっとも多い容量(できあがり液量約300ml)に対応しているので、コストパフォーマンスが高いのも特長です」(ネスレ日本株式会社メディアリレーションズ室・小川直子さん)

■UCC 「UCC &Healthy コーヒーバッグ 水出しアイスコーヒー(カフェインレス)」1袋4バッグ入り
※バッグタイプの水出しコーヒー

【つくり方】
ポットなどの広口の容器にコーヒーバッグを入れて常温の水500mlを注ぎ、冷蔵庫で4~8時間ほど保存。抽出後にバッグを取り除きマイボトルへ移し入れる。

【味の印象】
ここ数年で人気が高まっているカフェインレスコーヒー。味はやや薄めの印象ではあるが、やさしい苦みで飲みやすい。

手軽さ ★★★
健康志向の方 ★★★
マイボトル(500ml)1本あたりの価格…約200円

食後の血糖値の上昇を緩やかにするといわれるコーヒー由来クロロゲン酸類が含まれた機能性表示食品で、食事といっしょに飲むのもオススメなのだとか(写真左)。「UCC ゴールドスペシャル コーヒーバッグ 水出しアイスコーヒー」(写真右)もマイボトル利用に最適だそう。※ともに夏季限定商品

メーカーもサステナブルにシフト

ここで各社のSDGsに向けた取り組みについても紹介したい。

家庭用のカプセル式コーヒーメーカーで国内トップシェアを誇るネスレ日本では、「ネスカフェ ドルチェ グスト」の使用済みカプセルを店頭で回収し、あらたな資源に生まれ変わらせるリサイクルプログラムを、神奈川県内のスーパーマーケットで始めた。

「何か環境に配慮したアクションを起こしたいという意識が高まっている昨今、ご自身でできることから始めるとしたら、毎日飲むコーヒーにおける習慣をちょっと変えてみるのもいいですね。マイボトルをつかったり、まだ試験的ではありますが、このリサイクルプログラムに参加いただいたり。やがて、それが少しずつ広まり、たくさんの方が行うようになれば、世の中も変わっていくのではないでしょうか」(ネスレ・小川さん)

2023年3月にスタートしたリサイクルプログラム。現在、神奈川県のイトーヨーカドー7店舗で回収を実施中。ネスレ日本では、グループ全体でプラチックパッケージを100%リサイクル可能に設計すること、2025年までにバージンプラスチックの使用量を3分の1削減することを目標として掲げている。

AGFでは、「環境にも配慮した商品をつくりたい」との想いから生まれた「ブレンディ ザリットル」のコンセプトに賛同する全国の自治体と協力し、地域に根づいているスーパーマーケットや自治体が主催する環境保全のイベントなどで、プラスチック使用量削減、マイボトル利用を呼びかけている。狙いは、つかえばつかうほど環境によい商品だとユーザーに認知してもらうことだが、実際にイベント会場などを訪れた人たちから、「こういう飲料があるんだね」「商品をつかうことが社会貢献になるの?」と好評だとか。

「コーヒーに限らず、マイボトルユーザーは比較的、健康志向や美容意識の高い方。日頃から水分補給を心がけ、体のケアに前向きなのでしょう。いつも傍らにマイボトルを置いて、気軽に好きな飲み物を楽しんでいただき、ご自身の健康維持やリフレッシュになれば理想的ですよね」(AGF・三本さん)

自社商品を通して環境問題を身近に感じてもらえるよう、AGFはこれまで38都道府県の自治体と連携。写真は大分県のイベントに出展したときのようす

UCCグループの実店舗・上島珈琲店では、抽出後のコーヒー粉を配合したスプーンやリサイクルペットボトル素材を25%使用して作られたアイスドリンクカップ(ともにテイクアウト用)を提供するなど、石油由来のプラスチック資源の削減を積極的に実施。マイボトル、マイタンブラーを持参すると50円割り引きになるサービスも2008年から15年間もおこなっている。

2023年6月からは、「デカボスコア」(※1)を外食店として初めて導入した。デカボスコアとは、商品やサービスのCO2e(※2)排出削減率を可視化したもので、消費者が購入・利用する際のあらたな選択基準となるよう誕生したマーク。よりわかりやすく脱炭素への貢献度を実感できる指針として期待されている。

たとえば、上島珈琲店オリジナルの「バンブータンブラー」(下写真)を使用すると、従来のリサイクルペット配合カップに比べ、CO2e排出量を63%(※3)削減できるそうだ。

デカボとは脱炭素=デカーボナイゼーション(Decarbonization)の略。「マイタンブラー活用やリユースカトラリーの普及などとあわせて、お客さまに身近なものと感じてもらえるように、今後も継続的にコミュニケーションしていきたいです」(ユーシーシーフードサービスシステムズ・平畑彰啓さん)

大手メーカーならではの地球環境を考えたさまざまな取り組み。こうした積み重ねが、私たちが日々口にするおいしいコーヒーを守っているのだ。

※1 脱炭素社会を推進する共創型プラットフォーム「Earth hacks(アースハックス)」が提供
※2 CO2 相当量に換算した値
※3 月3回を12ヶ月間、計36回のコーヒー利用を繰り返し利用できるバンブータンブラーと、従来の使い捨てリサイクルPETを配合したカップとで比較した場合の削除率

取材・文 伊藤睦月

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