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クラウドファンディングは現代のお布施!? ホームレスになって気づいたこと【後編】
クラウドファンディングは現代のお布施!? ホームレスになって気づいたこと【後編】
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クラウドファンディングは現代のお布施!? ホームレスになって気づいたこと【後編】

数々のクラファン企画を成功させてきた元お笑い芸人のホームレス小谷さんと、世の中の事象を仏教の視点で説く僧侶の稲田ズイキさん。ふたりの対話からクラファンの楽しさを紐解きます!

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▼クラウドファンディングの基礎知識はこちら

あなたは僕、僕はあなた。
クラファンの関係性は大乗仏教だ

稲田ズイキ この世に聖人のような完璧な人間はいません。それでも頑張っている人の姿を見ると心が洗われるし、安心もできるんですよね。

ホームレス小谷 そういう意味でもクラファンっていいですよね。頑張ってる人のプロジェクトを応援できるんだから。

稲田ズイキ 一般的には、売る人と買う人って主従関係になっているじゃないですか。対してクラファンは、売る側も買う側もみんなで一緒にやっていこう! という雰囲気を感じます。仏教の考えも同じで、一方的な関係を嫌うんです。あなたは僕だし、僕はあなただしと、自他の境界線をできるだけボカします。もしかしたらクラファンって大乗仏教っぽいのかもな。

ホームレス小谷 へえ。みんなでやっていこうっていうのは大乗仏教なんすね。

稲田ズイキ 初期の仏教は自分の苦しみをなくすことを一番大事にしていたんですけど、その後に生まれた大乗仏教は、より慈悲の概念を大事にしています。相手の苦しみを取って、その苦しみが取れることを自分の幸せと思えば、独りよがりの生き方が正されて、苦しみもなくなっていく。つまり、自分と他人、同時にお互いを救い合おう! っていうのが大乗仏教なんです。

小谷さんには
「ブッダみ」がある

ホームレス小谷 僕の感覚ですけど、クラファンにはおもろそう、楽しそうというムードがあると思う。お金が必要だからクラファンするっていうよりも、僕はいつも、ストーリーをみんなでつくろうっていうふうに考えてます。こんなおもろいプロジェクトを思いついた、ふつうの企業に提案しても通らへんような内容やけど、友だち10人くらい集まってみたら、わ、できたやん! っていうノリ。一緒にドラマをつくってる感じが、ごっつあるんですよ。

稲田ズイキ 一般的な寄付は、払う側はお布施のつもりでも、払われる側が組織などの場合が多いので、お互いに徳を高め合っていこうぜ! という前提、つまり菩提心を感じづらいのだと思います。でもクラファンには双方向でお布施をやり合おうとする雰囲気がある。それこそが「縁起」という、仏教の一番大事な世界観なんです。自分は独立して存在しているのではなく世界の一部であり、自分は多くの他者で自然そのものであるっていう感覚なんです。

ホームレス小谷 ホームレスになる前は、「働かな」「家賃稼がな」って焦ってた。でもその必要がなくなって、いまはお金を手に入れても、自分じゃなくて誰かのためにつかおうって感覚になりました。誰かが自分につかってくれてるから、自分はすでに満たされてるんですよ。

稲田ズイキ それ、自我が自分自身から離れて、それぞれの他者の間に存在している状態ですよね? 小谷さんはやっぱり、かなり「ブッダみ」があるなぁ。

ホームレス小谷 ブッダみ!! またエラいパワーワードが出たな(笑)。

稲田ズイキ しかも、小谷さんと話していると、自然とこういう生き方をしたいなあって思えてくるんです。そこまでになると、もう仏教そのものなのかも(笑)。小谷さん、もしかして動物に好かれたりしません? 釈迦は野生の象にも愛されていましたよ。

ホームレス小谷 さすがに象に好かれてるかどうかはわからんですねえ。知らんオッちゃんが近づいてきて、「きみマジシャン?」って聞かれたことはありますけど(笑)。

PROFILE

稲田ズイキ いなだ・ずいき
1992年京都府生まれ。月仲山称名寺副住職。同志社大学法学部卒業後、広告代理店入社。2018年より独立し、作家・編集者として活動。著書に『世界が仏教であふれだす』。

ホームレス小谷 ほーむれす・こたに
1983年兵庫県生まれ。お笑い芸人を経て2013年からキングコング西野亮廣の勧めでホームレスになるも、食事にもお金にも困らず楽しく暮らす。企画した約30のクラファンはすべて成功。

●情報は、FRaU SDGs MOOK Money発売時点のものです(2020年11月)。
Photo:TADA(YUKAI) Text:Mick Nomura (Photopicnic) Edit:Yuka Uchida
Composition:林愛子

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