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“職人技術とユーザーのつなぎ手”を目指す「ユニオンランチ」とは?
“職人技術とユーザーのつなぎ手”を目指す「ユニオンランチ」とは?
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“職人技術とユーザーのつなぎ手”を目指す「ユニオンランチ」とは?

ひと口に「サステナビリティへのシフト」といっても、さまざまな形があります。職人技術継承プロジェクトを経て、7年前に、未来を見据えたブランド「ユニオンランチ」を立ち上げた加藤公子さんに伺いました。

職人がもつ伝統技術の
素晴らしさを伝えたい

加藤公子さんが日本の職人技術の継承を掲げ、消費者との「つなぎ手」になるべくユニオンランチを立ち上げたのが2016年。SDGsという言葉すら知らない人が多かった頃だ。

「もともと旧式の手織機で織られた生地が好きでした。それが高じて日本各地の工場を回るうち、古くからの機屋さんにデッドストックの生地があることを知ったのです。『こんなにいい生地を眠らせておくなんてもったいない!』というのが動機ですので、私がSDGsを語るなんておこがましいです(笑)。機屋さん、縫製や加工工場のみなさんにも、ブランドを立ち上げたときからたくさん勉強させてもらった。共同体として服をつくっていますので、タグには協力工場の名前を必ず記しています。素晴らしい伝統技術が途絶えようとしているなかでも、その種火を残していけるようにとの想いで……。その一方、新しい素材で織るものに関しては職人さんの力を最大限引き出せるものにしたい。そうしてつくり上げた生地は、他のブランドでも使えるように、うちがエクスクルーシヴとして囲うことはしない。みんなそれぞれに活躍の場が広がるように」

ブランドを象徴する定番ブレザーはデッドストックの生地感の再現という新たな試みにトライしている。フレアースカートは老舗生地店の残反を利用。たっぷりしたボリューム感とロング丈が可愛い! ジャケット、スカート(ユニオンランチ/サザビーリーグ)

新しい取り組みも増えているという。

「岡山県井原市で、天然の藍を育てて染めている藍師さんに出会ったことで、本藍でロープ染色したデニムを製作することになりました。染め終わった藍汁は、肥料として藍畑にまく。すべてが循環するんです。また富山県南砺市では、日本で唯一、城端絹を継承している松井機業さんと出会い、問屋が廃業してしまったことで返品された反物や、絹の落ち綿を集めてつくった特絹糸でインナーを製作しています。スタンスは昔から何も変わりませんが、最近では自分が信じてきたやり方で、このまま突き進んでも大丈夫なんだと確信できるようになりました」

PROFILE

加藤公子 かとう・きみこ
文化服装学院卒業。バイヤー、プレスなどを経て、2008年「グラフィット ランチ」設立。15年、日本の職人技術継承プロジェクトを立ち上げると同時に同ブランドを休止し、翌16年、その意思を継ぐ新たなブランド「ユニオンランチ」をスタート。

●情報は、FRaU2022年8月号発売時点のものです。
Photo:Yoshio Kato Text & Edit:Naoko Sasaki
Composition:林愛子

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