井手上漠が注目! 「アンドロジナスファッション」は、性差別のない世界の入口!
近年、ジェンダーやダイバーシティへの認識が急速に変わりつつあります。それは、これまで声を上げてきた人の存在があったから。井手上漠さんが、アクションを起こすようになったきっかけとは?
アンドロジナスの浸透が
性別の壁を取り払っていく
「いでがみばくです、性別ないです」
Twitterのプロフィールに書かれた、たった15文字が、井手上漠さんを象徴する言葉だ。戸籍上の性別は男性で、島根県隠岐諸島にある中ノ島で生まれ育った。2018年に『ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト』でファイナリストに選ばれ、「かわいすぎる男子高校生」として注目を浴びた。2021年3月に高校を卒業して上京すると、本格的に芸能活動を開始。性別を超えたモデルとして、雑誌やファッションショーなどで活躍している。
「幼いころからファッションに興味がありました。母はおしゃれをさせてくれたのですが、親戚で集まるときにドレスアップすると、『男の子なんだからこういう服を着ちゃいけない』とおじいちゃんに叱られることがあり、たとえスカートを履いていなくても、『この服は怒られないだろうか?』と考えるようになりました。そんなときには母が『着たい服を着させてあげて』と、おじいちゃんとケンカまでしてくれながら、意思を尊重してくれました」
そんな原体験もあり、井手上さんが注目しているのは、ヨーロッパのコレクションなどで見かけることが多くなった「アンドロジナスファッション」。アンドロジナスとは男女両性の特徴をもつことを意味し、レディース服のファッションショーにメンズのアイテムを使うなど、性別を超えた着こなしを提案するのがアンドロジナスファッションだ。
「アンドロジナスが浸透していくことは、性差別が減るきっかけのひとつになるかもしれません。一方で、男性らしい服や、女性らしい服を着たい人を否定するわけではありません。私が大事にしたいのは認め合うこと。ジェンダーに対する認識は近年変わりつつあるものの、まだ過渡期です。ファッションや色について固定観念を植えつけないなど、子どもたちに伝えることが重要だと感じます。いまの子どもたちにジェンダー平等の考え方が根づけば、少しずつ時代は変わっていくはず。あらゆる生きづらさや偏見が取り払われれば、みんなにとって生きやすい社会になるのではないでしょうか」
PROFILE
井手上漠 いでがみ・ばく
モデル。2003年生まれ、島根県出身。2018年、『第31回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト』にてDDセルフプロデュース賞を受賞。自然体で自分らしくある姿に、多くの支持が集まる。2021年4月には自身初となる『井手上漠フォトエッセイ normal?』(講談社)を上梓。
●情報は、FRaU2021年8月号発売時点のものです。
Photo:Noriko Yamamoto Text & Edit:Chihiro Kurimoto
Composition:林愛子
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