Do well by doing good. いいことをして世界と社会をよくしていこう

BE:FIRSTのLEOが考える、「自分らしさ」を認め合える平和な社会のつくり方
BE:FIRSTのLEOが考える、「自分らしさ」を認め合える平和な社会のつくり方
VOICE

BE:FIRSTのLEOが考える、「自分らしさ」を認め合える平和な社会のつくり方

2021年にデビューしたダンス&ボーカルグループ、BE:FIRST。アーティストのSKY-HIが主催する「THE FIRST」というオーディションで生まれた7人のグループです。プレデビュー曲の『Shining One』がいきなり大ヒット。2022年末には紅白歌合戦に出場するなど、その勢いは止まりません。国内のみならずグローバルな展開を見据え、ますますの活躍が期待されています。センターやリーダーという役割をあえてつくらないグループのなかで、個性豊かなメンバーのまとめ役を買って出ることが多いのがLEOさん。真っ直ぐな眼差しで平和への願いを語ってくれました。

悲しい争いはやめて、みんなでハグをしよう

ジャンプスーツ(ANTOSTOKIO)

「僕の祖父や父は、戦争のことをきちんと知っておくべきだと僕に常々語っていて、戦争についていろんなことを教えてもらいながら育ちました」

戦争の博物館にもたびたび、家族に連れられて足を運んだことがある。知れば知るほど思い知るのは、その悲惨さだった。

「あまりにも辛い現実が起こっていることを知って、心が痛かったです。被爆体験を基に描かれた漫画『はだしのゲン』も読みましたが、目を背けたくなるほど辛かった。国や地域で戦争をはじめる時、もしかしたらどうしても戦わなければいけなかった理由があるのかもしれません。でもどんなことがあっても人が殺し合わなければならないなんてすごく悲しいことだし、あってはならないと思っています。世界では今もロシアとウクライナの戦争が続いているし、紛争もある。日本は平和だと思うけれど、安全を脅かされている人もいます。そんなに簡単ではないことはわかっていますが、でもやっぱり相手を思いやる気持ちがあればこんなことは起きないと思います」

LEOさんなりに、平和のためにできるアクションを考えた結果、「自分らしくいる」ことを意識するようになった。

「今、誰かと比べて自分を評価することが増えていますよね。それで頑張れることもあるだろうし、成長できる原動力になる面もあるのかもしれない。しかしそれでむやみに自分を縛ってしまう面もあると思う。僕も10代の頃は、人と自分を比べて悩むことがありました。でもその頃の先輩に『どんなに他人に嫉妬しても、自分は自分にしかなれない』と言われたんです。その言葉をかけてもらった時、嫉妬するのは理想の自分に対してだけにしようと決めました」

デビューしてからも、いろんなグループと比べられたりする経験もあるという。どうしても比較されてしまう環境のなかでも、LEOさんはみんなで音楽業界を盛り上げていきたいと思っている。

「僕は『他の人に負けないぞ』という気持ちを持つことはあまりないんです。他のアーティストがかっこいい曲を発表したら、素直に『かっこいいじゃん!』って最大限のリスペクトを示します。認め合ったうえで僕たちは、僕たちの最高の音楽を届けていきたい」

そんな彼の思いを表しているのが「ファイティングポーズよりハグを」というスローガン。

「この言葉はもともと社長のSKY-HIさんが使っていました。初めて聞いた時、これは本当に大事なことだと思いました。ライバルだって一緒にシーンを盛り上げていく仲間だし、もっと大袈裟に言えばみんな一緒に地球上に住んでいる同じ人間です」

LEOさんは、ライブやファンミーティングなどで自分の気持ちを正直に伝えている。ファイティングポーズを取って相手を威嚇するのではなく、ハグをしようというメッセージも何度もステージで発してきた。

「いろんなアーティストが出演するフェスに出させてもらった時に、僕らのファンの人が他のアーティストのライブでも手を挙げて盛り上がっているのを見ると、気持ちが伝わっているなと嬉しく思います」

人間同士が争うという悲しい歴史を繰り返し、今でもそれを止められない人類。このスローガンは、世界中の人たちに必要な言葉なのかもしれない。

とても明るいLEOさんだが、意外にも自分の性格はネガティブだと語る。

「僕はとにかく考えすぎてしまう性格です。考え出すと止まらなくて、落ち込んだりすることもしょっちゅう」

しかし、自分らしさを大切にしているからこそ、ネガティブな性格を隠すことはしない。日々の思いを言葉として綴ったり、作詞を手掛けたりなどクリエイティブな活動もしているLEOさんは、考えすぎてしまう癖も発想力の源として生かしている。そしてその性格は人への思いやりや、慎重さにもつながっているのだろう。相手の立場に立って、その人の感情を理解し、それをともに感じるという意味の「エンパシー」は、他者を理解するためにとても重要なことだと言われている。

「たしかに、人に接する際に『こんなことをされたら嫌かな』とか、この行動をしたらどんな結果になるかを前もって考えてから動き出しますね。それは考えすぎる性格の良い面かもしれません」

笑顔でパフォーマンスを届けてくれる彼らに対し、明るく前向きな側面だけを想像して人物像をつくりあげてしまいがちだ。しかし、表舞台に出て表現をする人たちも同じ人間。迷ったり悩んだりすることも当然ある。そしてポジティブ思考が良くて、ネガティブ思考が悪いという基準はどこにもない。

「『完璧でいたい』と思う人もいるだろうし、僕に『完璧であってほしい』と思う人もいるかもしれない。でもそもそも完璧ってなんでしょう。もしかしたら自分や社会が設定したこうあるべきという基準なだけかもしれません。それに無理やり自分を当てはめてしまったら苦しいですよね。やっぱりそれぞれが自分らしくいられるのが大事だと思います。あるがままでいられたら、ちょっと心に余裕ができて人に優しくできたり、思いやりを持てたりするかもしれない。もしかしたら平和ってそうやってできていくのかもしれません」

また、音楽に心を救われた経験があるLEOさんは、音楽が持つ大きなパワーを信じている。

「たった一行の歌詩やメロディで励まされることもあると思うんです。この間、10代の頃によく聴いていたback numberさんのライブを観に行った時、曲のイントロを聴いただけで過去の自分を思い出して涙が出そうになりました。人の感情を揺さぶるパワーが音楽にはあります。だから僕たちの音楽や言葉を通して、小さな気づきがあったり、生きたいって思えたり……。聴いてくれる人の日々生きていく力になるものを作っていきたいです」

他人を思いやり、自分自身のことも正直に発信しているLEOさんは、これからも多くの人の共感を得ていくのだろう。最後に今後の目標を聞いた。

「歌やダンスを磨いて表現の幅を広げていきたいと思っています。僕が日々紡いでいる言葉もそうですし、趣味である写真を撮ることなど、いろんな方法を使って自分を表現することで、もっと多くの人にBE:FIRSTの曲を届けたいです」

PROFILE◆LEO れお◆1998年東京都生まれ。7人組ダンス&ボーカルグループBE:FIRSTのメンバー。2022年に発表した2ndシングル『Bye-Good-Bye』は、配信から4ヵ月で世界ストリーミング総再生回数1億回を突破。22年末には紅白歌合戦に出場。趣味は野球、カメラ、映画鑑賞、読書、ウイスキーを飲むこと。

●情報は、FRaU2023年8月号発売時点のものです。

Photo:Masanori Kaneshita Styling:Yuji Yasumoto Hair:Yuki Oshiro(AVGVST) Make-Up:Natsuho Makino(from hiji) Text & Edit:Saki Miyahara

Composition:林愛子

【こんな記事も読まれています】

コムアイ×荻上チキ「意見は違っても、議論や対話の場にとどまることが戦争を抑止する」【中編】

オランダSDGs最前線「難民支援アップサイクル企業」と「学生による学生啓蒙活動」

「ミニマム・ライフコスト」を知ることから! 元ミリオンヒット・プロデューサー四角大輔が教える「幸せをつかむ方法」

Official SNS

芸能人のインタビューや、
サステナブルなトレンド、プレゼント告知など、
世界と社会をよくするきっかけになる
最新情報を発信中!