VOICE 2021.07.19

ファッションやDIYでサステナブルに挑戦/山下健二郎さん【後編】

気になるあの人にサステナブルについてインタビュー。第1回の後編は三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEの山下健二郎さんが環境を大きく意識するようになったきっかけや、新しい取り組みについて。

【前編】はこちら

撮影／小林秀銀　インタビュー・文／水谷美紀

毎朝ビーチを掃除する子供たちとの出会い

正直に言うと、僕自身も海の汚染について強く意識するようになったのは今年に入ってからなんです。その大きなきっかけになったのが、番組で行った沖永良部島と対馬での体験です。そこで子どもたちが毎朝5時半に起きてビーチクリーンをしていることを知って、胸が苦しくなって。その子たちは環境問題に取り組んでいるという意識はまったくなく、ただ、綺麗になった砂浜を裸足で走り回りたいという想いと、生き物の命を守りたいという、本当にシンプルな気持ちだけだったんです。あの子たちと会ってから、僕も釣りと海を愛する者として、本気で取り組まなきゃいけないと思うようになりました。

「環境問題」と言われるとむしろ若者は身構えてしまう

環境問題と硬い言葉を使われたり、強制的にゴミを拾えと言われたりすると、特に若者のなかには引くというか、構えちゃう人もいると思うんです。僕だって釣りをやっていなかったら今みたいに感じていないかもしれません。難しい言葉より、ただ「町が綺麗だったら気持ちいいよね」と言うほうが響くと思うし、若者に人気のあるタレントやYouTuberが呼びかけるほうが届くかもしれません。だから僕も、いっそビーチクリーンをイベントにしてみようかと考えています。フランクにファンの人に声をかけて「ゴミ拾いしませんか、終わったらバーベキューやりませんか」というようなことが、いつか実現できたらいいですね。

趣味をいかした、環境に優しいチャレンジ

釣りやバイクと同様にDIYも大好きで、一軒家をフルリノベーションする番組もやっています。そのためウッドショック（輸入木材の高騰）の問題には特に関心があります。この前も釘をひとつも使わない組み木のテーブルを作ったのですが、釘を使わなければ錆びないので100年以上使える家具ができるんです。お寺などで昔から使われている技術ですが、限りある資源である木材をどう加工して使っていくのかをいろいろ考えることも、これからは大切だと感じています。

今、ペットボトルを回収し、リサイクル加工を施して繊維の原料にする仕組みが整いつつあります。今年に入り、HIGH FIVE FACTORY Produce By KENJIRO YAMASHITAというファッションブランドを立ち上げました。釣りやキャンプ、DIY等のシーンでアクティブに動く人だけでなく、職人さんにも着て欲しいという想いから作ったブランドです。そのブランドから近々発売する帽子の素材の一部には、日本の海浜に漂着したペットボトル、いわゆる「海洋プラスチック」をリサイクルして生産したUpDRIFT™ ファイバーが用いられています。そのファイバーを取り扱う豊島株式会社と企画段階より協働してモノづくりをしました。

そもそも「漂着するペットボトルを回収して原料にする」こと自体、必要ないことが一番なんです。でも実際には多くのペットボトルが日本の海浜に漂着している。だったらそれを有効活用してみようと思い、まずは帽子だけでも始めてみることが大切だと思ったんです。

ファッションにサステナブルな考えや、その考えを技術に取り入れたテクノロジーを採用しているブランドもたくさん出てきています。興味がある人はいろいろと調べてみるのも楽しいと思います。僕も好きなことじゃないと続かないし、反対に好きなことならとことん極めたくなる性格なので、サステナブルといっても難しく考えず、好きな分野のなかで探してみるといいと思います。そのほうが自分に合った、長く続けられるアクションに出会えると思います。

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環境・教育・平等

山下健二郎さんが選んだのは「教育」

「三つとも大切だから、ひとつだけ選ぶのは本当に難しいですね」と大いに悩んだ山下さん。それでも無理を言ってひとつだけ選んでいただいたのが「教育」。「コーヒーが好きだからというシンプルな理由で選びました。コーヒー農家の方々の生活が安定するように、このプロジェクトに投票します！」

山下健二郎

1985年5月24日生まれ。京都府長岡京市出身。ダンサー、俳優。三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEのメンバー。現在、情報番組『ZIP!』（日本テレビ）火曜日メインパーソナリティ、『山下健二郎、古民家に住まう』（WOWOWプライム）、『三代目J SOUL BROTHERS 山下健二郎のZERO BASE』（ニッポン放送）などに出演。釣りファンの拡大、釣りのイメージ向上に貢献した著名人に贈られる「クールアングラーズアワード」を2019年から3年連続で受賞（殿堂入り）。