「ごみ拾い」「銀行口座開設」がサステナブルな地球に貢献するなんて!
途上国に広がるデジタル通貨や先進国の新しい寄付のカタチ。世界で進むプロジェクトから、カナダとアメリカの取り組みを紹介。
プラスチックごみの回収で
稼げるデジタルトークン
世界各地の沿岸地域に住む人々にプラスチックごみの回収をしてもらい、その対価としてデジタルトークンを払う。これは、カナダ・バンクーバーの「プラスチック・バンク」が生み出したプログラム。対象はハイチやブラジル、インドネシア、フィリピン、エジプトといった国の人々だ。このデジタルトークンがつかえるのは専用のマーケット。食料品や日用品、調理用燃料が買えるだけでなく、学校の授業料や健康保険の支払いにも対応している。
目的は、世界の海にただよう1.5億トンともいわれるプラスチックごみを少しでも減らすこと、それと同時に、ごみ拾いを仕事とする人々の生活を向上させること。集められたプラスチックごみは、タイプや色で分けられ、リサイクル。再生された素材は「Social Plastic®」として企業に売られ、プロダクトやパッケージに生まれ変わる。海洋汚染と、貧困層の救済という2つの問題を同時に解決できるアイデアで、安全な取り引きのために仮想通貨にはIBMと提携して開発した独自のブロックチェーンを活用した。インターネットやスマートフォンの普及によって、国境を越えて実施されている。
plasticbank.com
気候変動に特化した
アメリカ初の当座預金
サンフランシスコ本店を拠点に全米に530支店以上を構えるバンク・オブ・ザ・ウエストは、環境保護活動を支援するグローバル組織、1%フォー・ザ・プラネットとタッグを組み、気候変動に特化したアメリカ唯一の当座預金口座を開設した。
多くのメガバンク預金が化石燃料系企業などの投資へと使われるなか、この口座の収益の1%は環境問題に取り組む団体にのみ寄付される。さらに、利用者が気候変動問題に意識的に取り組める仕掛けがあるのも特徴。
たとえば、上のデビットカードで購入したすべての商品のCO2排出量と環境へのインパクトを専用アプリから確認できるのだ。これらの数値を知ることで、利用者はより環境にいい消費行動を自ずと選択できる。
さらにカードには、100%生分解性でコンポスト可能なプラスチックを使用。消費以前に、口座を開くことが持続可能な地球への投資につながるこの取り組みは、銀行業界に一石を投じている。
www.bankofthewest.com
●情報は、FRaU SDGs MOOK Money発売時点のものです(2020年11月)。
Coordination:Yumiko Nakanishi Text:Yuka Uchida, Sakiko Setaka Edit:Yuka Uchida
Composition:林愛子
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