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中身は開けてのお楽しみ!食品ロスを減らす「お菓子の不定期便」
中身は開けてのお楽しみ!食品ロスを減らす「お菓子の不定期便」
COLUMN

中身は開けてのお楽しみ!食品ロスを減らす「お菓子の不定期便」

さまざまな理由で規格外になってしまったり、賞味期限が近づいているのに在庫がたくさん残っていたりと、食品メーカーでは日々さまざまな理由で食品ロスが発生しています。そんな食品ロスの削減を目指すECサイトが急増中。今回は、サブスクリプション(期間定額制サービス)で商品を購入できるサイト「ロスゼロ」の取り組みを紹介します。

百貨店限定の逸品や珍しい輸入菓子が

2018年4月から運営を開始した「ロスゼロ」のスタートは、意外なところからだった。同社事業部長の前川麻希さんが、当時を振り返る。

「2018年2月、当社代表の文美月(ぶん・みつき)はカンボジアの学校にトイレをつくるためのクラウドファンディングを行い、そのリターンとして、知り合いのチョコレートメーカーの社長さんから、規格外になったチョコレート菓子を提供してもらいました。そのお菓子はナッツにチョコレートをコーティングした商品で、ナッツ同士がくっついてしまったり、少し傷がついていたりするだけのものが規格外となっていて、味や品質にはまったく問題がないものでした。

そしてクラウドファンディングを開始したところ、多くの人が共感してくれて、この規格外チョコレート菓子を食べることで協力してくれたのです。文は、『このような、もったいない食べものは世の中にたくさんあるけれど、そこに需要もあるのだな』と感じ、ロスゼロを立ち上げることにしたのです」(前川さん、以下同)

ロスゼロ代表取締役の文美月さん(写真中央手前)とカンボジアの子どもたち。文さんはヘアアクセサリー販売会社も経営、これまでユーズドアクセサリー4万点を回収し、10ヵ国の発展途上国の子どもたちに寄贈している。この経験が「もったいないものを次につなぐ」ロスゼロにつながった

ロスゼロは、食品メーカーでは売りにくくなったもの、行き先がなくなってしまったものを「最後の砦」として消費者に届ける役割を担っている。

とくに人気なのが、「ロスゼロ不定期便」だ。不定期という名称だが、2ヵ月に一度は必ず届く、いわば食品ロスのサブスクリプション。中身は完全におまかせで、常温で配送できる商品のみということもあり、現在は菓子類が多い。送料込み5000円で定価1万円相当の商品が入っており、重量にして5kgほどの食品が届く。

「ロスゼロ不定期便」の一例。スイーツは職場などでシェアする人も多いという

「食品ロスは、いつ、どのくらいの量が発生するのかが、誰にもコントロールできません。ですから中身はおまかせで、商品が集まったらその都度発送させていただくことから、『不定期便』と名づけています。たとえば月初にお届けできる月もあれば、翌月は中旬や月末になってしまうなんてこともしょっちゅうです。商品はすべてがすぐ賞味期限を迎えるというわけではありません。賞味期限が残り4週間以上のものが6割くらいですので、次の便が届くまで、ゆっくり楽しんでいただけると思います」

自分でスーパーなどに買い物に行くと、いつも同じものや似たような食品しか買わない人が多い、と前川さん。

「この不定期便には、百貨店でしか販売していない商品や輸入のお菓子、品質の高いオーガニック商品なども入っているので、ふだんの生活でなかなか見かけないアイテムに出合えます。そんなところも、利用者には好評です」

フィンランド産の高級チョコレート。高級スーパーや輸入食品店でしか見かけない商品だ
 

食品ロスの削減に貢献できるという消費者側のメリットだけでなく、食品メーカーにも「いいこと」があるという。

「規格外だからといって安く販売するのが難しかったり、百貨店にしか卸していないからなかなか値引きができなかったり、食品メーカーさんにも、取引先との関係を保つために、いろいろな事情があるようです。この不定期便は1箱5000円(送料・税込)となっていて、個別の商品がどのくらい値引きされているかはわからないようになっています。

ですので、『値崩れや商品のブランド毀損につながらずに食品ロスの解消になる』と、メーカーさんからも喜ばれているのです。メーカーさんにしても、ただ安売りをしてほしいわけではなく、せっかくつくったのだから、最後まで食べてほしいという思いがあります。継続的にみんなが損をしないような形で、経済を回すことが大事だと思っています」

text:荒井風野

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