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石塚元太良が選ぶ3冊「把握しえない海の広さを夢想できる本」
石塚元太良が選ぶ3冊「把握しえない海の広さを夢想できる本」
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石塚元太良が選ぶ3冊「把握しえない海の広さを夢想できる本」

およそ700万年の人類の歴史のなかで、この数十年の間に、私たちは海のシステムや海洋生物、美しい自然の数々を破壊してしまいました。海の被害は私たちが考えている以上に深刻なもの。でもまだできることがあるはず。海を変えるために、自分が変わることからはじめてみませんか?

本を読むこともそのひとつ。本の世界も、果てしなく広がる海のように自然や生物、文化、歴史、哲学、冒険、あらゆる事象につながっていきます。深い深い「本の海」に潜ってみましょう。今回は、海を愛する写真家の石塚元太良さんが選んだ3冊を、石塚さんの好きな海&海の思い出とともにご紹介します。

『船とともに 科学と芸術 クック第二の航海』
多木浩二/著

キャプテン・クックによる南極、南太平洋の航海をたどった本。クックとともに旅をした芸術家や科学者たちは、南太平洋の島々で未知の部族と出会うが、見たこともないその姿に驚き、正確に記録することができない。収録されている実際の図版がその衝撃を物語っていて、あらためて海の広さと未知が存在した時代の豊かさを感じる。(新書館)

『群島– 世界論』
今福龍太/著

カヤックで海に浮かんだ瞬間、地上の理屈は通らないと肌で感じる。そんな感覚を文化人類学の視点から解き明かしてくれるような一冊。群島(アーキペラゴ)特有の、あらゆる視線が交差する文化を、世界と半島文化が色濃く残る日本の、さまざまな土地の視点で考察する筆者の姿勢には感服する。(岩波書店)

『内なる島−ワタリガラスの贈りもの』
リチャード・ネルソン/著 星川淳/訳

ネイチャーライティングの旗手である著者による、アラスカ南東部の自然をめぐるエッセイ。ネイティブアメリカンの思想に影響を受けながら現地に暮らす著者だからこその自然観や、たったひとり自然のなかに身をおき、自然と調和していく喜びや充足感。それはひとりでアラスカの海をシーカヤックで旅しているときに感じるものとある意味で似ていて、強く共感した。(めるくまーる)

石塚さんの「最愛の海」

アラスカ・グレーシャーベイ、瀬戸内海

石塚さんの「海の思い出」

アラスカの氷河地帯・グレイシャー・ベイをカヤックで旅していたときのこと。入り江に上陸し、キャンプをしていると、海から低く響くような音が聴こえてきた。ザトウクジラの歌だ。まるで喜怒哀楽を表しているかのような声に触れ、なぜ古くから白人にとってクジラが特別な動物であるのかを少し理解できたような気がした。

PROFILE

石塚元太良 いしづか・げんたろう
写真家。1977年東京都生まれ。氷河、パイプラインなどをモチーフに、大型のフィルムカメラを用いて極地方のランドスケープを撮影する。2016年Steidl Book Award Japan でグランプリ受賞。

●情報は、FRaU SDGs MOOK OCEAN発売時点のものです(2019年10月)。
Text & Edit:Yuriko Kobayashi
Composition:林愛子

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