「富士山ド〜ンッ!」三ツ峠山で絶景を眺めながら考えた「この大自然を守るために」
コロナ禍の制限された生活で、あらためて自然と触れ合う喜びに目覚め、登山に挑戦する人が増えていると聞きます。澄み切った青空、雄大な景色、野生動物との出会い……。いつもとは違う環境に身を置く非日常感、登り切ったときの達成感や満足感。山登りの魅力はたくさんあります。自然の尊さを目にすることで、身近なSDGsにも気づかされるでしょう。今回は山梨県にある三ツ峠山(みつとうげやま)から、日本の美しい風景をお届けします。
アクセス良好!新宿から2時間半の絶景
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JR新宿駅から富士急行・河口湖駅まで直通電車で最短1時間53分。高速バスでも約2時間。今回はJR大月駅で乗り換えて河口湖へ向かった。さっそく車窓いっぱいにド〜ンと富士山! 一気にテンションが高まる。
登山ルートは複数あり、河口湖駅から徒歩10分で登山口というルートもある。が、道中の景色も楽しみたかったため、三ツ峠登山口から入山することにした。河口湖駅からバスでも25分ほどで登山口だが、朝9時50分発の一日一便しかないため、あらかじめタクシーを予約しておいた。
うっすらと雪をかぶった山道
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登山口から頂上までは1時間半が目安だ。山の中へ進むと、土や木々がうっすらと白い雪をかぶっていて美しい。冷たい空気も心地よい。冬の山に入る際は、事前に情報をしっかり入手し、服装や装備など冬山用の準備をして行くことが必要だ。夏と冬では、同じ山であってもまったくの別世界。冬山のほうはあらゆるコンディションが厳しくなるゆえ、低山でもしっかり装備を揃える必要がある。
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誰かの落とし物だろうか。霜をかぶったメガネが木と一体化していた。落としものは持ち主に戻らなければごみとなる。忘れもの、落としものをしないために、ポケットのものの出し入れ時や、休憩の後には忘れものがないか確認してから出発するなど、意識を高めたい。
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苔は寒さにとても強い。凍っても、寒風にさらされても枯れることなく眠って春を待つ。小さくて生命力が強く、原始的でしたたか。苔のサバイバル術には、見習うべき点が多いように思う。
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山頂の手前にある山荘の看板が見えたら、あともう少し。ここからはアイゼンを履いて山頂へ。先に進むと一気に視界が開ける。この付近は、富士山が間近に迫る最高のビューポイントだ。爽快な眺望を楽しんだら三ツ峠山荘で小休止。トイレを借りたり(有料)、飲み物を買ったりもできる。
富士山づくしの絶景!
標高1785mの三ツ峠山は、山梨県都留市、西桂町、富士河口湖町の境界にある。修験道の祖といわれる役行者(えんのぎょうじゃ)によって、奈良時代に開かれた。名前に「峠」とついているが実際には峠ではなく、開運山(1785m)、御巣鷹山(1775m)、木無山(1732m)の3つの頂きの総称といわれる。
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いよいよ最高峰の開運山へ。山荘を過ぎると、ここからは最後の急坂。木階段を一歩ずつ着実に。振り向くと、富士山の絶景!
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富士山周辺には多くの富士眺望に優れた山があるが、なかでも三ツ峠は日本一との呼び声が高い。
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三ツ峠山荘から15分ほどで山頂に到着。富士山、南アルプス、八ヶ岳と360度の大パノラマが広がる。この絶景が三ツ峠山登山最大の魅力だ。眼下には御巣鷹山、木無山も見える。山頂付近には2軒の山小屋があり、冬場でも営業している。雪景色の三ツ峠を撮影するために、山頂付近で宿泊することも可能だ。
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富士山を眺めながら持参した昼ごはんを食べたら、頂上からは河口湖畔方面に向かって南側を下りる。午後になって雲が出はじめたが、富士山を眺めつつひたすら下る。均整の取れた円錐形のシルエット、なめらかで美しい裾野が広がり、どっしりと構える富士山は神々しく、何度目をやっても飽きることがない。やはり富士山は日本に住む人にとって “心のよりどころ”のような存在なのだろう。
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2時間ほど下り続けて河口湖天上山公園に出た。ここは河口湖より220m高く、湖畔から徒歩またはロープウェイで気軽にアクセスできる絶景ポイントだ。公園内にはうさぎ神社があり、三つ峠の登山者や観光客の安全、健脚を祈願して、社内にうさぎの御神体をお祀りしているそうだ。両脇には狛犬ならぬ「狛うさぎ」が2体。頭を伏せている兎の頭をなでると“知恵授受”、後ろ脚で立ち上がっている兎の脚をなでると健脚祈願になるそう。両方をなでて、無事に下山できたことに感謝をこめて参拝をする。
豊かな風景を後世に残すために、個人でできる行動はとても小さくて些細なことだが、ひとりひとりの行動が積み重なれば大きくなる。山に登ると、日常では忘れがちな自然への感謝を思い出させてくれる。
──冬山で気をつけること──
低山であっても、雪山の登山は無雪期に比べて過酷。念入りに準備して万全の装備で出かけるべき。防寒のポイントは、衣服や手袋など身につけたものは濡らさないこと、風をシャットアウトすること、肌を露出しないことなど。雪山では天候の急変や、積雪状況によって予想以上に時間がかかることもある。天気予報や山の状況を事前にリサーチして余裕を持った計画を立てよう。
――私たちが山でできること――
・すべてのごみは持ち帰る
・水を汚さない(川水などでの洗濯や食器洗いなどは、河川の汚濁につながる)
・落としものをしない(放置された結果、ごみになる)
・登山道以外には足を踏み入れない(植物を傷めたり、土壌を壊したりして山の自然破壊のはじまりとなる)
text&photo:鈴木博美
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