「食べられる、つかえるのに売れない」を救え!
SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」のターゲットで示されている、「2030年までにフードロス半減」。人口ひとりあたりの食品廃棄物発生量がアジア1位の日本に住む私たちが、この問題に対して手軽にできるアクションにはどんなものがあるのでしょうか。社会貢献型ショッピングサイト「KURADASHI」を運営する株式会社クラダシの代表取締役社長CEO関藤竜也さんに、お話を伺いました。
手軽に「つかう責任」を果たせる“蔵出し”サイト
世界では生産される食料のうち、約3分の1が廃棄されているという現状がある。各国において廃棄の理由はさまざまだが、とくに日本では、食品をめぐる規制が厳しいためだとされることが多い。
たとえば、製造日から賞味期限までを3等分し、納品・販売期限を設けるという商習慣「3分の1ルール」などがその代表格。生食文化を好む日本だからこそ、厳しく管理されているのだ。
そのほか、廃棄される量が多いのがいわゆる「季節商品」。季節商品と聞いて思い浮かぶのは、昨今よくメディアでも取り上げられている、節分の恵方巻きやクリスマスケーキ、おせちなどといった商品だろう。これらの商品はイベントが終わると同時に行き場をなくしてしまうため、廃棄されてしまうことが多くある。
このように、あらゆる工程で発生する食品ロスを、オンラインでマッチングをすることで削減し、手軽に社会貢献ができるショッピングサイトが「KURADASHI」だ。
「KURADASHI」という名前には、お蔵入りしてしまうものに新しい価値をつけて蔵出し=提供する、という意味がこめられている。その名のとおり、さまざまな理由で通常販売ができなくなった商品をメーカーから協賛価格で仕入れ、お得に販売。さらにその売り上げの一部を社会貢献団体に寄付することで、サステナブルな社会の実現に向けた新たなスタイルを確立している。
寄付は海外、環境保護、災害対策、医療、動物保護、社会福祉支援活動など、さまざまな団体に行なっており、総支援額は現在7500万円に及ぶ。3月に行われた「国連WFP国会議員連盟 緊急総会」にも参加し、ウクライナ政府からの要請を受け、避難している人々への食料支援などを行う「国連WFP協会ウクライナ緊急支援」にも寄付している。
KURADASHIに会員登録して買い物をすると、サイト上のマイページで、自分が購入したことによってどの団体にいくら寄付されるのか、というのが可視化されるシステムになっている。
「メーカーさんからKURADASHIへの出品理由は、本当にさまざまです。たとえば、ちょっとしたパッケージの変更をした場合に、古いパッケージの商品は通常販売ができなくなるため、KURADASHIに出品されることがあります」(関藤さん、以下同)
「KURADASHIで販売しているのは食品だけではありません。季節性の高い商品などはその時期が終わると出品されることが多くなります。たとえば夏が近づくと花粉の飛散量が落ち着くため、『花粉がつきにくいシーツ』や、暖房器具などが出品されるのです。
最近の私のおすすめは、人気の美顔器『ReFa』です。一見普通のReFaに見えますが、よく見るとスワロフスキーのデコレーションがされたコラボ商品。このような、通常のデザインではない企画商品なども、多く出品されます。なぜなら、コラボ商品は販売できる期間や場所が限られてしまう場合があるからです。今回このReFaは、オリンピックによるインバウンド需要をみこんで作られましたが、オリンピックが延期になり、コロナ禍で海外からの旅行も規制されてしまったためにKURADASHIに出品されました」
コロナ禍で、出品が目立つようになった商品も
「大容量の業務用商品の出品が増えてきました。たとえば、冷凍の唐揚げや大容量の調味料など。“巣ごもり”の影響で、買い物へ出かける回数が減ったという方や、冷蔵庫や冷凍庫を大きなものに買い替えたという方が多くいるようで、そういった方たちに人気があります。
そして、このような商品こそ、私たちがおすすめしたい商品でもあります。ひとりやひと家庭では量が多いときに、買うのをやめてしまうのではなく、『まわりの人と一緒に買って分け合うことで、みんなで社会貢献に参加できる』という体験をしてほしいのです」
KURADASHIは基本的にはオンラインでの販売だが、定期的にオフライン(店頭など)での販売も行っている。とくに今年のバレンタインはおもしろい取り組みを行なっていた。
「Valentine Shop 0215」では、バレンタインデーが終わって行き場をなくしてしまったチョコレートを集め、オンラインのほか、東急プラザの渋谷と表参道原宿にポップアップショップを開設して販売。利用者からは、「バレンタインが終わったらこのチョコレートはどうするんだろうと思っていたんです」「このような食品ロス問題もあるんですね」などと反響があり、大盛況だったという。
ー後編に続くー
text:荒井風野
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