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「太陽光パネルの下で豚、羊、鶏を育てる」サステナブルな土地活用
「太陽光パネルの下で豚、羊、鶏を育てる」サステナブルな土地活用
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「太陽光パネルの下で豚、羊、鶏を育てる」サステナブルな土地活用

耕作地の真上に太陽光パネルを設置するというユニークな有機農法を進めるなどして、「サステナアワード2021」の脱炭素賞を受賞した栃木県のグリーンシステムコーポレーション(GSC)。その収穫物を、どのように農業6次産業化につなげているのでしょうか。同社の経営管理部広報係長・神山将哉さんにうかがいました(後編)。

前編はこちら

パネルの下の雑草は家畜たちのエサに!

太陽光発電と有機農業を融合した「農業6次産業化プロジェクト」(詳しくは前編を参照)に取り組んでいるGSCには、ちょっと変わった福利厚生がある。

「腸活手当」だ。

「従業員の腸内環境を整え、健康な身体にすることを目的として、有機栽培の野菜や自社栽培の小麦でつくった食パン、ラーメン、ひやむぎなどを毎週1回、全従業員に届けています。従業員たちには、なかなか好評です」

自社の農園で収穫した有機野菜は、福利厚生の一環として社員に支給されている。

GSCは、太陽光パネルを耕作地の上に設置して行う有機農業だけでなく、世界的に広がるアニマルウエルフェアの考え方に対応する形で、豚、羊、ヤギ、鶏など家畜の飼育にも挑戦している。

アニマルウェルフェアとは、放牧飼育などによって、家畜がストレスなく快適に過ごせることに配慮した飼育管理のこと。家畜が本来もっている能力が引き出されて健康になるため、生産性の向上や畜産物の安全、消費者の安心につながるとして、近年注目されている。

「当社はもともと太陽光発電をメイン事業としており、太陽光パネルを野立て(建物の屋根上などではなく、傾斜地や遊休地等の地面に直接パネルを設置する手法)した発電所を約400ヵ所、所有しています。その一部で牧畜を行っているのです。家畜がストレスなく自由に動き回ることができるよう、太陽光パネルの位置を高くするなどしています。その分、建築費は割高になりますが、家畜がパネル下の雑草を食べてくれるため草を刈る必要がなくなり、アニマルウエルフェアの実現にもつながるので、牧畜業として十分に成り立つと考えています。飼育している家畜には、有機栽培の作物などでつくった自家製の飼料を与えているんですよ」

傾斜地に太陽光パネルを設置し、その下で家畜を飼う。家畜にストレスを与えないよう、パネルの支柱は高めに設定。まさに土地の有効活用だ。
アニマルウエルフェアの理念にのっとって放牧される家畜たち。パネルは強い光を遮るため、家畜のストレスを軽減する効果があるという。
 

「このようにして育てた家畜からできるハムやーソーセージなども『腸活手当』として社員に支給されますが、農業の収穫物や畜産物は、もちろん社員だけでシェアしているわけではありません。パンや加工品は、インターネットなどで販売しています。今後は、加工(2次産業)や販売・流通(3次産業)に、さらに力を入れていく予定です。農業6次産業化の強化ですね」

2022年の8月には、栃木県宇都宮市にオーガニック食品専門店をオープンし、自社栽培の有機野菜のほか、フードロス削減を意識した加工品(餃子をはじめとした惣菜、弁当、スムージーなど)を販売することになっている。

「そのために惣菜や弁当を開発中で、社内で試食会議も行っています。同じ8月には、福島県郡山市に体験型のふれあい農園もオープン予定です。

アニマルウェルフェアの理念で羊、牛、鶏を飼育し、お客さんとふれあえるようにします。園内には、食パン専門店、デトックスラーメン店、カフェ、放牧ジンギスカンのブッフェスタイルのレストランを併設。生産者も生産過程も見える安心・安全でおいしい農産物、畜産物、加工品を、その地域で販売していく。究極の地産地消になれば、と」

自社農園では、外部から人を招いて農業体験してもらうこともある。

ゆくゆくは、自社農園での食育セミナーなど、食にまつわるイベントを展開する事業も立ち上げていくという。農業6次産業化プロジェクトを次世代につないでいく活動は、まだはじまったばかりだ。

前編はこちら

text:佐藤美由紀

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