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パーマカルチャーと地球に優しい暮らし方⑤(最終回)
パーマカルチャーと地球に優しい暮らし方⑤(最終回)
COLUMN

パーマカルチャーと地球に優しい暮らし方⑤(最終回)

日本文化の温故知新から学び、日本人のサステナブルな生き方の知恵を、現代のライフスタイルに取りいれるコラム『NIPPON温故知新』。これまで「キャンプ場大多喜天国~面白360°キャンプ場~」を運営している一糸さんにパーマカルチャーについて伺ってきましたが、最後はパーマカルチャーの背景にあるヒッピーの文化や、ヒッピー出身であるシリコンバレーの経営者の話を聞かせていただきました。

●パーマカルチャー①はこちら
●パーマカルチャー②はこちら
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●パーマカルチャー④はこちら


パーマカルチャーとヒッピーのカルチャー

ヒッピーとは、1960年代後半に起こった、自然回帰と平和平等主義を提唱する運動です。
文明が発達する以前の自然に回帰し、社会制度に縛られる生活に反対するために生まれました。

(写真 サンフランシス マウンテンビューのグーグル本社)

ヒッピーとシリコンバレーの起業家

一糸さんの話によると、実はシリコンバレーの起業家はヒッピーカルチャーに影響を受けた人が多いといいます。
ヒッピー文化の中心地はサンフランシスコです。
サンフランシスコ近辺には何があるかというと、世界のIT、そしてビジネスの中心地シリコンバレーです。
スティーヴ・ジョブズがアップルを創業したのもサンフランシスコに近い、ロスアルトスでした。

実はDIY(Do It Yourself)の考え方も、ヒッピーが創り出したものだといわれています。
Do It Yourselfは欲しいものは自分たちで創り出すという精神です。

食べ物、服、家、事業、コミュニティ、国さえも、伝統的なものに疑問を持たずに享受するのではなく、自分たちが欲しいものは自分たちで創り出そうというのが、ヒッピーのカルチャーです。
ここには起業家マインドと共通するものがあるのかもしれません。

ヒッピー出身の起業家として代表的な人物は、アップルの創業者スティーヴ・ジョブズです。
スティーヴ・ジョブズが2005年にスタンフォード大学卒業式のスピーチで引用したのが、今の“エコ”に通じるライフスタイルを提案していたヒッピー向けの雑誌「ホール・アース・カタログ」最終号の裏表紙に書かれた“Stay hungry. Stay foolish(ハングリーであれ、バカであれ)”という言葉だったそうです。

パーソナルコンピューター革命の背後には、統制や権威を嫌い、自由を尊ぶアメリカのヒッピーカルチャーがあり、スティーヴ・ジョブズは個人が社会に対抗する手段として、パーソナルコンピューターを生み出した、という話もあるそうです。

また、ヒッピーの人たちは東洋哲学や禅や瞑想など、目に見えないものの力を信じていましたが、見えないものの最たるものがインターネットでもあります。

(写真:サンフランシスコのオーガニックの発信地、フェリービルディングのファーマーズマーケット)

ヒッピーと自然食運動

サンフランシスコは、アメリカにおけるオーガニックの先進地域でもあります。
現在のオーガニック健康食品や、環境に優しい素材、衣類といったエコの考え方が生まれた背景にもまた、ヒッピーのカルチャーがあります。

アメリカで久司道夫氏がマクロビオティックや自然食運動を普及し、ジョン・レノンやマドンナ、トム・クルーズなど、マクロビオティックの食事を取り入れている著名人が多いことは有名な話ですが、久司道夫氏の最初のお弟子さんはヒッピーでした。

そして、お弟子さんたちが自然食運動の推進役となり、のちにアメリカ各地に自然食の食材店やレストランを出店し、自然食をアメリカ全土に広める一翼も担っていきました。

アメリカでは有名なオーガニックスーパー「Whole Foods」も、そのひとつといえるでしょう。
パーマカルチャーのルーツであるヒッピーカルチャーが生んだ、コンピューター、オーガニック製品、DIY、エコロジー、また、それを発端とするコミュニティの形成。
こうした活動の在り方が、現在のイノベーションやスタートアップの起源となっていると言っても過言ではないかもしれません。
筆者も2013年にマウンテンビューにあるグーグル本社を訪れた事があります。
この時、社食がオーガニック志向で地産地消を取り入れていた事に驚きました。

前述した瞑想=マインドフルネスをいち早く取り入れた企業としても有名です。
シリコンバレーを代表する企業にはヒッピーカルチャーの影響が息づいているのかもしれません。

国連が2015年に採択したのがSDGs(持続可能な開発目標)ですが、50年前に先駆けて地球の事を考えて運動をしていたヒッピーのカルチャー。
5回にわたってお送りしたパーマカルチャーと温故知新。


私たちが持続可能なライフスタイルを考える時、パーマカルチャーとそのルーツにあるヒッピーカルチャー、そしてシリコンバレーの起業家のストーリーに目を向ける事で学びがありそうです。

守岡実里子(もりおか まりこ)

サステナブルフードジャパン代表
日本食文化研究料理家/
ローカルフードプロデューサー

大学時代にマクロビオティックで両親の病気を克服した事がきっかけで、日本の伝統的な食文化に興味を持ち食の世界へ。地方創生、農畜水産業の6次産業化支援を専門とするコンサル会社にてフードコンサルタントとして勤務し、2013年に独立。全国の地域の食のブランディングや商品開発、飲食店、旅館のプロデュースなど、地方の生産者支援に携わる。マクロビオティックや日本の食養生、江戸料理を専門に学び「和食から美と健康、サステナブルな社会を叶える」を生涯のミッションに、心と身体、地球に優しい日本の食習慣術を伝えている。日本酒好きが高じて唎酒師の資格を取得。

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