Do well by doing good. いいことをして世界と社会をよくしていこう

実は江戸時代の百姓の暮らし!?〜パーマカルチャーと地球に優しい暮らし方〜④
実は江戸時代の百姓の暮らし!?〜パーマカルチャーと地球に優しい暮らし方〜④
COLUMN

実は江戸時代の百姓の暮らし!?〜パーマカルチャーと地球に優しい暮らし方〜④

日本文化の温故知新から学び、日本人のサステナブルな生き方の知恵を、現代のライフスタイルに取りいれるコラム『NIPPON温故知新』。1~3回を通して、江戸時代の暮らしとパーマカルチャーの接点や、日常のライフスタイルでパーマカルチャーを取り入れる方法について、「キャンプ場大多喜天国~面白360°キャンプ場~」で、気軽にパーマカルチャーのライフスタイルを体験できる場を作っている一糸さんのお話を紹介してきました。
今回は今後の取り組みについてお話を伺っていきます。

過去の記事は下記よりご覧ください

●パーマカルチャー①はこちら
●パーマカルチャー②はこちら
●パーマカルチャー③はこちら

守岡「キャンプ場では今、パーマカルチャーに繋がるどんな取り組みをしていますか?」

一糸さん「草を刈ってキャンプできる場所を作って、そこに畑を作ったり、トイレを作ったりしています。植物は畑に植えるだけではなく、ハッカやミントなどのハーブをトイレの周りに植えたりしています。そうすると、虫除けになるし、日本のハッカの力って凄くて、ハッカ油を置いておくだけで虫がいなくなるし消臭剤にもなるんですよ」
守岡「手作りしたトイレも循環型トイレなんですか?」

一糸さん「この辺は下水が通っていないので、汲み取りスタイルにしてあります。小便はバクテリアや籾殻で浄化してもらって地下に落とし、大便も籾殻や木酢液でバクテリアに分解して土に戻しています。江戸時代は肥溜めに溜めておき、そのまま畑に戻していたんですが、ここでは野菜づくりには使わずに堆肥にして土に返すという方法にしています」

守岡「畑には使わないんですか?」

一糸さん「野菜づくりにも使えるんですけど、食べる人の意識に抵抗がありますからね(笑)。でもトイレの裏にトマトのタネがたまたまこぼれてそこで育ったトマトがあったりしますが、畑のトマトよりずっと元気なんですよ」
守岡「じゃあやっぱり江戸時代の肥溜めスタイルは良かったんですね!! 私たちが生きていく上で排泄したものが食べ物に戻っていくって究極の循環ですもんね」

一糸さん「あと、ここのキャンプ場はタキビダイ(https://takibidai.camp/)というアウトドアのコミュニティサロンのメンバーが気軽に遊べる場所にもなっているのですが、サロンのメンバーも一緒にトイレづくりやキャンプ場づくりを一から体験できる様々なイベントや、キャンプに来てくれた子供たちと一緒に川遊びをしたり山から切ってきた竹を使った流しソーメンをするといった、遊びを通して自然と触れ合える体験もおこなっています」

汲み取り式のトイレ
微生物で分解された排泄物。全く臭くありませんでした

今後の取り組みについて

守岡「これからどんな取り組みをしていく予定ですか?」

一糸さん「キャンプに来てくれた人に畑の体験や川遊び、この地域の町や地元の人たちと触れ合う体験をしてもらいたい。地元の人たちのなかには家庭菜園や自家製で漬物や佃煮を作っている人たちもいるので、そんな地域の人とキャンパーとして来た人が繋がれるきっかけも作っていきたいですね」
守岡「つまり、ここに来ると地域コミュニティも含めて古き良き日本のパーマカルチャー体験が自然の流れでできるってことですね!!」

一糸さん「あとはアクアポニックスづくりを試しています。アクアポニックスは魚と野菜の循環を作るシステムなんですが、魚が出した糞をポンプで汲みあげて野菜の肥料にして、育った野菜が水をろ過して水槽に戻すというシステムを池で作ろうと思っています」

守岡「今後の取り組みも楽しみですね。今度キャンプ場の自炊場づくり(キッチンや釜)もDIYするというお話を聞いているので、私も一緒に作りたいと思います! 本日はありがとうございました」

今回パーマカルチャーのお話を聞いて思ったのは、パーマカルチャーは工業化が進んで近代化する以前、人と自然が切り離されてしまう前の、人間としてごく当たり前だった暮らし方なんだということでした。
昔の人は自分の行動が自然に与える影響を目の当たりにしていて、暮らし方一つで地域の食べ物や資源がなくなってしまうこともあれば、潤わせることもあると知っていました。多くを自然から搾取せずに共存していたんですね。

「地球環境や社会を良くする」と聞くと他人事のように感じますが、一人一人が自然との関わりの中で気づきを持って、できることからライフスタイルの中に取り戻していく。そんな当たり前で自然な営みをパーマカルチャーという言葉を使って表現しているのだと思いました。

欧米から入ってきたもののように感じていましたが、日本の昔の人の暮らしぶりから学びを得られるということでより身近に感じましたし、私たちが日本という国でサステナブルに暮らしていくための、より良いヒントになりそうですね!

続編はパーマカルチャーとシリコンバレーの起業家たちとの共通点や最新のフードテック、その裏側にあった日本の文化との繋がりについて触れていきたいと思います!

実はシリコンバレーと起業家と日本文化に接点が! パーマカルチャーと地球に優しい暮らし方入門編 後編につづく。

取材場所

大多喜天国~面白360°キャンプ場~

公式サイト

【取材した人】一糸美千秋さん 大多喜天国~面白360°キャンプ場~管理人

守岡実里子(もりおか まりこ)

サステナブルフードジャパン代表
日本食文化研究料理家/
ローカルフードプロデューサー

大学時代にマクロビオティックで両親の病気を克服した事がきっかけで、日本の伝統的な食文化に興味を持ち食の世界へ。地方創生、農畜水産業の6次産業化支援を専門とするコンサル会社にてフードコンサルタントとして勤務し、2013年に独立。全国の地域の食のブランディングや商品開発、飲食店、旅館のプロデュースなど、地方の生産者支援に携わる。マクロビオティックや日本の食養生、江戸料理を専門に学び「和食から美と健康、サステナブルな社会を叶える」を生涯のミッションに、心と身体、地球に優しい日本の食習慣術を伝えている。日本酒好きが高じて唎酒師の資格を取得。

公式サイト
公式ブログ
Instagram

Official SNS

芸能人のインタビューや、
サステナブルなトレンド、プレゼント告知など、
世界と社会をよくするきっかけになる
最新情報を発信中!