元祖イクメン・杉浦太陽の「子どもと実践するSDGs」
4児を育てる父として2年連続「イクメン オブ ザ イヤー」に選出され、妻の辻希美さんとともに「あこがれの夫婦」ランキングのトップを飾るなど、多くの支持を集めている俳優の杉浦太陽さん。趣味の釣りや料理、野菜づくりを子どもと楽しんだり、全国の農家や漁師と交流したりと、「食」の分野でもさまざまな活動をおこなっています。そこで今回、子どもとともに実践できるSDGsや食育についてインタビュー。子どもと一緒に未来のために何をおこなっているのか、語っていただきました。
SNSを活用して、子どもとアクション!
ベジタブル&フルーツアドバイザーやきのこマイスター、2級特殊小型船舶などの資格をもち、野菜栽培のテレビ番組にレギュラー出演している杉浦さん。スキューバダイビングや釣りが趣味で、子どもたちと海や山に出かける機会も多いという。
「小学校でも『SDGs』について学ぶことがあるらしく、子どもたちから『SDGsって知ってる?』なんて聞かれることはよくあります。食べ残しやごみなど、子どもたちにとって身近なものから見直していくのがいいのかな、と。うちは畑を借りて家庭菜園をやっていたので、そこで野菜を育てて自分たちで収穫することで、自然に生産者や食材への感謝をもてるようになったと思います」
小学校6年生の長男は、きのこが大好き。秋になると親子で山に入り、きのこを探しに出かけるそう。
「きのこ狩りをしながら森の生態系や人間と自然の共存など、いろいろなことを学んでいます。きのこもただ採るだけでなく、来年またちゃんと生えてくるように根もとの菌床を残して採ることが重要らしいです。『この木はコナラで、あっちはブナだよ』『このへんは針葉樹林だから、きのこはあんまり生えてないだろうな』なんて、息子から教わることのほうが多いかもしれません。きのこ狩りというから下ばっかり見るものだと思いきや、生えている木を見上げていろいろ判断しているんですよね」
すっかり「きのこ博士」の杉浦家の長男。そうした知識は、図鑑や動画サイトから仕入れているそうだ。
「SNS時代を生きる子どもたちにとって、デジタルの世界から得るものは大きいと思います。ただそうやって知識を得るだけでなく、自分で体験することも大事。たとえば釣りだったら、『この海にはどんな魚がいて、どんな釣りかたをすればとれるか』をまず動画サイトなどで見て、実際に釣りに行って持ち帰って、さばいて食べてみる。そうやって体験がセットになれば、子どもはすごく楽しめるし、いろんなことを学んでいくようです」
小学校4年生の次男は釣りが好きで、よく杉浦さんと海に出かけているという。どちらがたくさん釣れるか競争するなど、ゲーム感覚で楽しんだのちに、家族みんなで食べるというのがお約束だ。
「海の上でごはんを食べる機会があったら、『ごみは絶対落とさないようにしよう。キレイな海をみんなで守らないとダメだよ』、海外のラベルがついたごみが漂着していたら、『世界中で守らなくちゃダメだよね』などと話したり……。自然のなかで一緒にいろんな体験をすると、環境にやさしい行動がマナーとして身についていく気がします」
とはいえ、誰もが釣りやきのこ、野菜づくりに明るいわけではない。魚をさばける親も限られているだろう。料理が得意でない人の多くは「食育」といわれると身構えてしまうものだ。
「家で魚をさばいたり料理をつくって食べさせたりすることだけが、食育というわけではありません。家でやることが苦手だったら、芋掘りやイチゴ狩りなどの収穫体験をしてみるといいでしょう。そもそも、親も楽しめなかったら続かない。自分に向いていなかったら別のことを試してみればいいのであって、まずはチャレンジしないと進まないかと思います」
親子で一緒に生産地に行き、旬を感じながら収穫して食べる。「そんな体験からは学びしかない」と杉浦さん。芋掘り体験やイチゴ狩りだって、立派な食育なのだ。
「『イチゴは最初から赤いわけではないんだよ。花が咲いて、緑の実ができて、それが熟して赤くなるんだ』と過程を伝えたり、場所によっては『土じゃなくて水で育てる方法もあるんだよ』と水耕栽培について話したり、ハチが飛んでいたら『ハチが受粉を助けてくれるから、おいしいイチゴができるんだよ』って教えてあげたり……。そこに起きていることすべてが学びですよね。さらに、その場で食べる楽しさも大事。『イチゴって、冷蔵庫で冷やさなくてもおいしいんだ!』なんていう発見が、きっとあると思います」
目の前にある「日々できること」をていねいに伝えたい
杉浦さんの子ども時代は、「ポイ捨て」があたりまえだった時代。空き缶を蹴りながら、学校から家に帰った思い出があるという。
「いまの子どもは、空き缶が落ちていない時代を生きていますよね。そうやって、時代とともに人は気づいていくんでしょう。SDGsについては学校でも習っているようですが、難しいことを言っても子どもにはなかなかわからない。だから家庭でも『みんながこのままじゃいけないって気づいて、地球を守っていかないとダメなんだよ』と大きなことを伝えつつ、『道ばたにごみなんか捨てたら、地球が泣いちゃうよ』とか、『食べものを残したら、つくってくれた農家さんが悲しむよ』とか、目の前の小さなことを話すようにしています」
「ごはんを残すと目がつぶれる」などという昔からの迷信には、もったいない精神が宿っているもの。そうした先人の知恵を、もう一度見直すことも大切、と杉浦さん。
「長い間伝わってきた知恵と、いまの学びを融合させて、子どもたちに伝えていけたらいいなと思っています。そこに実践が伴えばベスト。ただし、子どもって炭酸飲料がペットボトルから一気に吹き出す実験とか、一瞬でペットボトルの水を凍らせる実験なんかを、家のなかでやらかすんですよね〜! もう、部屋が大惨事になったことが何度もあります。そんなときは『自分でやったんだから、責任もって片づけろよ』と言ってやらせますけどね(笑)」
――次回は、杉浦さん自身が実践していることを伺いますーー
杉浦太陽■1981年、大阪府出身。’98年『おそるべしっっ!!音無可憐さん』で俳優デビュー、『ウルトラマンコスモス』など多くの話題作に出演する。2017年より『趣味の園芸 やさいの時間』(NHK)に出演、ベジタブル&フルーツアドバイザー、きのこマイスター、2級特殊小型船舶、スキューバダイビングなど多数の資格をもつ。BS日テレ『旬感レシピ』、TOKYO FM『TOKYOこどもTIMES』、KBS京都『SUNNY TIME』などにレギュラー出演中。
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