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ごみ屋敷をなくそう! マシンガンズ・滝沢&お片づけ芸人イベントに潜入【後編】
ごみ屋敷をなくそう! マシンガンズ・滝沢&お片づけ芸人イベントに潜入【後編】
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ごみ屋敷をなくそう! マシンガンズ・滝沢&お片づけ芸人イベントに潜入【後編】

月に一度開催されている、ごみ清掃芸人こと『マシンガンズ』滝沢秀一さん主催のイベント。第3回は「ごみ屋敷とその社会のあり方」をテーマに、お片づけ芸人の『六六三六』柴田さんをゲストに迎えて開催されました。イベントの前半では、ごみ屋敷の分類についてトークを繰り広げたお二人。後半では、ごみ屋敷化を防ぐための傾向と対策について考えます。

——前編はこちら——

ごみ屋敷は、社会の闇が具現化したもの!?

ごみ収集会社で清掃人として働く『マシンガンズ』の滝沢さん。「滝沢ごみクラブ」の定期イベントでは、専門ジャンルをもった芸人たちを招いて、ごみや社会課題についてのトークを展開中だ。防災芸人やきのこ芸人に続いて登場したのは、生前&遺品整理、空き家やごみ屋敷の片づけをおこなっている柴田さん。前編では、「ごみ屋敷には7つのタイプがある」と独自の分析を披露した。

滝沢 そもそもごみ屋敷は、なぜ生まれてしまうんだろうねえ。柴田くんはどう考えてる?

柴田 ザックリ言うと、原因は認知症、精神疾患、人間性の3つだと思っています。人間性はというのは、単純にだらしなくて「捨てるのが面倒くさい」とか、異様にモノに執着してしまうような人たちですね。

滝沢 なるほど。でも、なぜごみを捨てられないんだろう?

柴田 生ごみが散乱した「生屋敷」や「弁当がら屋敷」などのいわゆるごみ屋敷は、モノに囲まれると安心したり、捨てるのが面倒だったり、散らかっていても気にならなかったりするのが原因でしょう。いっぽう、家じゅうモノであふれている「物屋敷」になってしまう理由は、故人などの思い出に触れるのが怖いから遺品を捨てることができない、子どもが巣立ってしまってさみしいから思い出の品を処分できない、それがないと不安になる。さらには、いずれは誰かにつかってほしいと考えているからモノを置いておく、という理由があるようですね。

滝沢 そうやって分析していくと、メンタルにかかわる部分が多いことがよくわかるねえ。でも、「いつか誰かがつかうかもしれない」と思って家に置いとくモノっていうのは、ほとんどつかわないんだよなあ。ウチにもいっぱいあるよ、つかうかもしれないと取っておいている伊勢丹の紙袋とか! そういう意味では、フリマアプリなんかはごみ屋敷防止に役立ちそうだなあ。

柴田 たしかに。ただ、もう少し高齢者の方々も利用しやすいシステムになってくれるといいですよね。ごみ屋敷の発生は、ストレスと直結していると感じていて。ごみ屋敷の住人はヘビースモーカーや大酒飲み、ギャンブル好きの人が多いんですが、日々のストレスが関係していると思うんですよ。

ごみ清掃芸人とお片づけ芸人の夢の初コラボ。柴田さんは初めての講演だったという。互いに共感できる体験も多く、話が盛り上がっていた

滝沢 ごみ屋敷問題を解決するために一番力を入れるべきなのは、行政などのサポートだと思う。いくらキレイにしたところで、根底を絶たないとまたごみ屋敷に戻っちゃうしね。

柴田 たとえば5年くらいかけて、ごみが天井まで積み上がったごみ屋敷でも、必ず、ごみ山の高さがくるぶしまでくらいだったり、ヒザあたりまでだった時代もあったはず。その時点で何とかできていれば、完全なごみ屋敷にはならなかったと思うんですよね。だから行政が、住まい調査みたいのを定期的にやると効果的なんじゃないかな。

滝沢 ごみ収集をしていると、不思議な光景に出合うことがあって。ペットボトルの回収場所に、シャンプーボトルはまだわかるとして、洗面器やアサリの貝殻が入ったポリ袋、ブラジャーなんかが捨ててあってビックリするわけです。最初は「なんでこんなものを捨てるんだ」と腹が立ってたんだけど、ごみの内容を見ていて、あるとき突然気づいたんだよ。これって、捨ててるのはきっと高齢者だって。

柴田 捨ててもためこんでいても、ごみはその人の暮らしがそのままあらわれますもんね。

滝沢 そうなんだよ。大きなごみ袋じゃなくって、スーパーなんかのポリ袋に入れて小分けにして出されているのを見ると、「重すぎて、大きな袋では出せないのかもしれない。もしかしたらこの方は、数年後、ごみ出しもできなくなるんじゃ?」と気づいたわけです。

柴田 なるほど。ごみ屋敷の予備軍というわけですね。「生屋敷」も認知症と関係があるような気がします。料理しようと買った材料を、買ったことを忘れて放置してしまって……から、生ごみがたまることがはじまっていたりするんです。

滝沢 2025年には、3人に1人が高齢者になるといわれています。つまりこのままでは人の手を借りないとごみを出せない人が増加して、ごみ屋敷が増え続けるということ。そんな日本に必要なのは、「ふれあい回収」だと思うんです。これは、高齢者などの部屋まで粗大ゴミを取りに行く、という行政サービス。すでに採り入れている自治体があって、ごみの集積所が荒れなくなるというメリットもあるんです。回収の際に人と触れ合って認知症の進行を防ぐことで、介護士の負担も軽くできる。定期的にごみが出ているかどうかを確認することは、孤独死を防ぐことにもつながるんです。

お笑いコンビ『マシンガンズ』のメンバーとして活動するかたわら、ごみ収集会社に勤務する滝沢さん。ごみ清掃員として働くなかで見えてくるごみ問題や正しいごみの捨て方、格差などの社会問題について、SNSや講演などで発信を続けている

滝沢 ごみを燃やすことって、お金を燃やすことと一緒。焼却炉自体がめちゃくちゃ高いし、人件費もエネルギーもつかいます。人件費を削減するのはよくないと思うんだけど、とにかく、いまの日本はごみを燃やしている場合じゃないんですよ!

柴田 でもそうすると、ごみと資源をわけないといけないですよね。そうすれば、燃やすごみの量はへりますから。

滝沢 そう! でもそうなると、「高齢者に分別を強いるのか!?」という問題が出てくる。たとえばペットボトルのラベルをはがすのだって、お年寄りにはけっこう大変なんだよなあ。

ごみ集積所が地域のコミュニケーションの場に!

滝沢 そこで! ぜひ広がってほしいのが、奈良県生駒市の萩の台住宅地自治会がやっている「こみすて」のような取り組み。この地域の、ごみ集積所にイスを置いたところ、いつの間にか、そこが近所の老若男女が座っておしゃべりを楽しむ場と化しちゃって、すると、DIYで机をつくってきて置いちゃうオジサンなんかが出てきて、さらには、そこでコーヒーを振る舞う人やマルシェを開く人まで集まってきたという……。そうしてできたコミュニティで、子どもがごみの分別について学び、やがて「こみすて子どもスタッフ」として活躍することで、大人たちの意識も変わってきたんだって。

柴田 へえ! ごみの集積所が、ご近所さんのコミュニケーションの場になってるんですか。

滝沢 そうやってコミュニケーションをとれるような状況にしておくことが、ごみ屋敷を防ぐ第一歩だと思うんだよね。生駒市は「もったいない食器市」っていうのをやっていて、大人気らしい。年末年始は、燃えないごみ回収が「皿地獄」だったよ。大掃除で、みんな一斉に捨てるからさ。でもそれだって、誰かがつかえばごみにならないもんね。

『六六三六』の柴田賢祐さん。ごみ屋敷を片づけるアルバイトをするなかで得た知見を活かして、ごみ屋敷分析の権威を目指している。北海道出身、特技はアイスホッケーで、インターハイやインターカレッジへの出場経験があ

滝沢 ほかにも、焼却炉をつくらずに分別を徹底することで、ごみのリサイクル率が80%を超えた鹿児島県大崎町とか、子どものオムツ代、医療費や教育費などのサポートに力を入れている兵庫県明石市とか、素晴らしい取り組みをしている自治体もある。ちなみに大崎町では、ごみ削減で浮いたお金を、子どもの奨学金に充てているらしいよ。

柴田 高齢化と同時に、少子化も深刻な問題ですもんねえ。

滝沢 本当にそう。ボクたちが世界を大きく変えることはむずかしいけど、みんなでちょっとずつ協力しながら、できることをやっていくことはできる。その積み重ねで、きっと未来は変えられると思うんだよね。

——前編はこちら——

photo:横江淳(滝沢さんポートレート) text:萩原はるな

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