ココリコ田中×ガクテンソクの異色座談会!「海と魚の危機を救うために、ボクらができること」
いま、世界の水産資源は4割近くが“獲りすぎ”の状態で、その割合は年々増加傾向にあるそうです。私たちがふだん当たり前のように食べている魚が、近い将来、食べられなくなるかも──。“生きもの大好き芸人”「ココリコ」の田中直樹さん(上写真左端)は、MSCのアンバサダーとして、豊かな海を守るための啓蒙活動にあたっています。吉本興業の後輩にあたる、いまが旬の人気お笑いコンビ「ガクテンソク」の、よじょうさん(同・中央)、奥田修二さんと、「サステナブルな商品選び」などについて語り合いました。
「田中さん、魚の話になるとメッチャ、アツい!」(奥田)
MSC(海洋管理協議会)は、持続可能で適切に管理された漁業の普及を目指す国際的な非営利団体。ココリコ田中さんは2018年にMSCジャパンのアンバサダーに就任し、豊かな海を守るための啓蒙活動にあたっている。今夏、「世界海洋デー」に合わせておこなわれた、MSCジャパンの「海の恵みをもっと、ずっと。選ぼうMSCラベル」キャンペーンも大いに盛り上がった。
奥田 田中さんとは、2年ぐらい前、ボクらが大阪から東京に出てきたころに、幕張(千葉)のSDGs関連のイベントでご一緒させてもろたんが「初めまして」でしたね。
よじょう そうそう、なぜかボクら、『SDGsをテーマにした漫才をつくってくれ』言われて。それが田中さんと共演するキッカケやったと思います。
奥田 SDGsの17のゴールには、環境とか政治や経済的な理由で発生する格差とか、いろいろあるやないですか。そんなかでボクらがアプローチできるのって、たぶん環境ぐらいしかないと思うんですよ。それ以外は、政府とか企業とか大きい組織じゃないとなかなか難しい。そんなわけで、環境問題にはもともと興味あったんです。田中さんとも、そんなつながりで何回か共演させてもらってます。ただ、MSC「海のエコラベル」については、ホンマに今日まで知らんかった!

「海の恵みをもっと、ずっと。選ぼうMSCラベル」のキャンペーン動画では、サステナブルな活動に取り組む吉本興業所属のボーイズグループOWV(オウブ)と田中さんが初共演。ガクテンソクをゲストに迎えた発表会もおこなわれた
田中 たしかに、MSC「海のエコラベル」について、ガクテンソクに詳しく話してなかったかもしれんね。あのね、いま世界じゅうの海で、魚がどんどん減ってるんですよ。その原因の一つは、私たち人間が水産物を獲りすぎてること。いま世界中で獲られてる水産資源の35%以上が『獲られすぎている』というデータがあるくらいやねん。ただ、MSCのアンバサダーになってからの7年間で、少しずつ、そういう危機の認知が上がってきてるんも事実。持続可能な水産物の目印であるMSC「海のエコラベル」を扱う企業もどんどん増えて、スーパーの売り場なんかでも年々増え続けてますから。そういうこと、なかなかボクだけでは届かない層に、ガクテンソクとか若手芸人がアピールしてくれてて、ホンマありがたい限り!
奥田 田中さん、魚類のことになるとメッチャ、アツく語られますよね(笑)。でも、ようわかります。ボクらがMSC「海のエコラベル」がついた商品を選んで買うようになったら、企業も「やっぱりラベルつけたほうが売れるんや」となって、MSCラベルがますます広がっていきますもんね。
田中 一人ひとりが消費者として、スーパーなんかで「MSCのラベルがついた商品を置いてくれませんか」と声がけするのも効果的やねん。ファンの方だけやなくて、家に帰ったら奥さんとか家族にもちゃんと伝えてや。
よじょう 大先輩からの指令ですからね。さっそく実行します! 嫁さんに「MSCラベルつきの商品買(こ)うてこい!」て、ビシッと言いますわ。
奥田 そんで、「ほんならオマエが買うてこいや!」て家から追い出されるんやろ? コイツねえ、亭主関白で恐妻家っていう、ワケわからん男なんですよ。
よじょう そうそう、「はい、自分で買うてきます」ってなるわな。

MSC「海のエコラベル」のアンバサダーを務める田中さん。「海の資源を守るために、これからもたくさんの方や後輩芸人を巻き込んでいけたらいいなと思ってます」
「劇場のお菓子バンバン食うて、食ロスを防ぎます」(よじょう)
奥田 海から魚が減っているっていう事実は、いろんな報道で知ってはいたんです。ただ、「まだ資源量が従瓶にある魚介類」がたった12%!なんていう現状を聞いて、そんなに減ってるんや~とビックリしました。魚って楽屋とかでも共通の話題になりやすくて、「一番好きな魚は何?」っていうテーマで話し出すと、「オレはやっぱりサバやな〜」「いや、シャケを無視してエエんか?」「いやいや、エンガワの立場はどうなんねん」「それな! って、エンガワいう魚はおらんで! それはヒラメとかの部位やろ」て、メチャメチャ盛り上がるんですよ。今後、魚の選択肢が2種類ぐらいになってしもたらと思うと……。恐ろしいですよね。なんもオモンないですもん。
よじょう いろんな種類の魚を食べられる、いまの環境が続いてほしいですよね。最近知ったんですけど、ワカメとかメカブとか、生の海藻を消化できるのって日本人だけらしいですよ。火を通したら外国の人らも消化できるけど、生の海藻は難しいんですって。縄文時代のころからずっと、日本人が海のモンをムチャクチャ食らってきたからこそやなあと。そやから、ボクらが日本人が先頭に立って海洋資源を持続させるために、がんばらんとアカンですよね。

ガクテンソク:2005年、よじょう(左)と奥田修二(左)で「学天即」を結成、アマチュアながら、同年の『M-1グランプリ』で準決勝に進出。大阪を拠点に劇場、テレビで活躍し、2021年に「ガクテンソク」に改名。2023年に上京、「THE SECOND 〜漫才トーナメント〜2024」で優勝を果たす
田中 ボクは、サステナブルな、まさにその言葉どおり続かんと意味がないと思ってるので、日々できることをコツコツやってます。飲み物も含めて、最後まで食べきる、飲みきることでフードロスを出さないとか、買い物行くときにエコバッグを持つとか。あと、プラスチック製トレーなんかは捨てずにためといて、スーパーの回収コーナーにキチンと持っていってます。
よじょう 嫁と争うても平行線なんで……というか絶対負けてまうんで、僕が折れて、ごみ捨て担当になってます。東京は回収日とか分別内容とか、メッチャちゃんとしてるんで、マジメに従って分別してますよ。
奥田 いろんなとこで、ちょこちょこ言うてるんですが、僕はゲームセンターのクレーンゲームが好きなんです。景品にはぬいぐるみのほかにお菓子とか食品がけっこうあるんですけど、わりと賞味期限がギリギリなんですね。売れんかったお菓子類が最後に行きつく場所がクレーンゲームのケースの中なわけです。それをボクが獲得することで、フードロスを防ぐ最後の砦(とりで)になってる。それを吉本の劇場に持って行ってるんです。劇場に置いてあるお菓子の4割ぐらいが、僕が私財をなげうって救った菓子たちなんですよ。
よじょう え、相方がそんなことしてたとは知らんかったわ。これから、もっと劇場のお菓子バンバン食べんとアカンな!
Photo:西城泰輔 Text萩原はるな
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