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カラダにも環境にもやさしい! ムリなく続けられる! 新食習慣「プラントベース」とは?
カラダにも環境にもやさしい! ムリなく続けられる! 新食習慣「プラントベース」とは?
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カラダにも環境にもやさしい! ムリなく続けられる! 新食習慣「プラントベース」とは?

最近、さかんに耳にするようになったプラントベースという言葉。plant(植物)+base(土台)、つまり植物由来の食材を基本とした食生活を指します。フランスに本社をおくラグジュアリーブランドに勤務していたヴェルヌ華子さんは、パリのレストランで植物性のみの料理に出合い衝撃を受けたとか。現在は、その素晴らしさを広めることをライフワークにしている彼女に、プラントベースの基本や魅力について伺いました(前編)。

パリのホテルダイニング「HOY」での衝撃的な出合い

プラントベースの食材=植物性由来の食材。野菜だけでなく、果物、穀物、ナッツなどの種子類、海藻類、キノコ類などが含まれる。

「食習慣としてのプラントベースは、これらの植物性の食材を積極的に摂っていくという食のスタイルを指します。植物性のみを食べる『ヴィーガン』や、そこに卵や乳製品を加えた食生活を送る『ラクトオボベジタリアン』も、プラントベースの枠組みに入るでしょう」(ヴェルヌさん、以下同)

たとえば100%プラントベース(Plant-exclusive eaters)の人は、植物性の食材のみを食べ、実質的にはヴィーガンの人と同じ。ただし、そこに至るまでのアプローチが異なるそうだ。

「プラントベースは『植物性の食材を積極的に摂っていく』という足し算のアプローチですが、ヴィーガンは英国ヴィーガン協会の定義によると、『動物性のものを生活からいっさい排除する』という引き算のアプローチです。また、ヴィーガンは食だけでなく、革のバッグや靴、ソファといった生活のすべてから動物性アイテムを排除することを目的としています。プラントベースは『お肉を食べてはダメ』というのではなく、『いつもより多く野菜ベースの食事ができた』といった、ポジティブでありながら柔軟な姿勢で取り組めるライフスタイル。私自身、時と場合によっては、動物性の食事をチョイスすることもあるんです」

十数年身を置いていたラグジュアリーブランドを離れ、プラントベースの食生活を築くサポートをする「Plantful Journey」を立ち上げる。現在は、フランス人の夫と2人の子どもとともにイタリア・ミラノ在住。2023年7月より、パリ・コルドンブルー調理学校のPlant-based Culinary Artsディプロマコースに入学予定

ヴェルヌさんがプラントベースと出合ったのは、パリのブティックホテルにあるレストラン「HOY」でのこと。話題のブティックホテル&レストランができたから行ってみよう!という軽い気持ちで訪れたそう。

「プラントベースのお店とは知らずに行ったのですが、それまでヴィーガンなどに持っていた『地味』『味気ない』『満足できない』などのイメージを覆されました。夜の8品のコースは、どのお皿も緑や黄色、赤や紫など野菜の彩りを生かした鮮やかな料理ばかり。スパイスづかいが絶妙で味にもパンチがあり、しっかり食べ応えもありました」

さらに驚いたのは、食べた後。満足感がありながら、カラダが軽やかなことにびっくりしたとか。「こんな食のスタイルがあるんだ!」と感動したヴェルヌさんは、すぐにHOYのシェフが講師を務めるプラントベース調理学校に入学し、自分自身もプラントベースの料理を試していった。

もともとは肉も魚も大好きな“食いしん坊”

ヴェルヌさんは、若いころから自他ともに認める食いしん坊。プラントベースに出合うまでは、毎日何かしらの動物性料理をメインにしていたという。野菜はもともと大好きだったものの、当時はあくまで「副菜」。

「もちろん健康に気をつかっていましたし、ファッション業界で働いていたこともあり、常に新しいダイエットなども試していたタイプ。低脂肪ダイエットや低糖ダイエットなどなど、いろいろな方法を試しては挫折することを繰り返していました」

家族の食卓。夫婦揃ってグルメのヴェルヌ夫妻は、食べたい郷土料理から旅先を決めていたほど。現在の食事はおよそ95%がプラントベースだ

プラントベースと出合い、レストランのシェフに基本を教わったヴェルヌさん。最初は、いろいろなレシピを本やインターネットで見つけては、プラントベースの料理を採り入れていった。

「そのうちに、だんだんとヒットするレシピが増えてきて、家族からも『なんだ、動物性がなくてもこんなにおいしいんだね』という声が出るようになって、プラントベースの割合が増えていきました。ただ、ちゃんと栄養がとれるのか不安があり、親や周囲の人にも『タンパク質は足りているの?』などと心配されたので、プラントベース栄養学についても学びたいと考えるように。そこで米コーネル大学のeCornell plant-based nutrition certificationという資格講座で学んだり、海外の書籍を読んで勉強したりしました」

ヴェルヌさんの夫は論理的なタイプ。プラントベース栄養学に関する書籍などを紹介したところ、「おいしくて、健康にもよくて、環境にもいいなんて最高だね!」と、だんだん関心を示していったそう。

2023年6月、東京に一時帰国してプラントベースのワークショップを実施。SNSなどでヴェルヌさんの活動をチェックしていた人々などが殺到し、アッという間に満員に!

プラントベースを広めてサステナブルな未来に貢献したい

ミラノの自宅では、食事の95%ほどがプラントベース。

「たまに夫が出張にパリに行き、『どうしても食べたいチーズを買ってきたから』というときや、『誕生日に唐揚げが食べたい』という子どものリクエストで動物性のものを食べる日もあります。外食時には、できるだけプラントベースのオプションを選ぶように。ただし、オプションがぜんぜんおいしそうではないときや、どうしても食べてみたい郷土料理があるときなどは、動物性をチョイスすることもあります」

自分の心と身体のシグナルに正直に食を選ぶことも、プラントベースの大事な考え方なのだ。

色とりどりの旬の野菜が並ぶマルシェにて。生産者と顔を合わせながら野菜が買え、コミュニケーションをとれるのも大きな魅力だ

プラントベースに感銘を受け、ライフワークにしたいと思ったヴェルヌさん。そこでアメリカのホリスティックヘルスコーチングの資格を取り、「Plantful Journey Program」を立ち上げた。

「Plantful Journey Programは、一生モノの食習慣を手に入れたい女性のための、プラントベースを軸としたライフスタイルの習慣化を叶える12週間のウェルネス・プログラムです。私自身、プラントベースを採り入れ始めたときに、孤独を感じることもありましたし、忙しい日々のなかでモチベーションをキープする難しさも感じていました。きっと私のように、理想と現実のギャップに悩んでいる女性も多いのではと思ったのです。このプラントベースというライフスタイルを広げ、ひとりでも多くの方が実践することで、人と地球がより健康になり、サステナブルな未来をつくることに貢献したいと思っています」

――後編では、プラントベースのさまざまなメリットに迫ります−―

text:萩原はるな

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