環境に配慮した新店舗とごみ拾いイベントで見えた、ユニクロのサステナビリティ
2001年に「社会貢献室」を立ち上げ、持続可能な社会を実現するための活動を続けているユニクロ。2023年4月21日にオープンした「ユニクロ 前橋南インター店」には、環境に配慮した工夫が多く採用されています。また、20回目となる原宿店でのごみ拾いイベント「スポGOMI×UNIQLO」も大盛況。2つの店舗を訪れ、ユニクロが考え、行っているサステナブルを体感してきました。
最新ロードサイド店にはサステナブルな配慮が
建築デザインをクリエイティブディレクターの佐藤可士和氏が担当した、新しいロードサイド店舗の「ユニクロ 前橋南インター店」。巨大なロゴが目印のこの店には、ユニクロが「環境のためにできること」へのチャレンジが詰まっている。こうした取り組みはユニクロの店舗では初めてのことで、竹中工務店との協働により実現したという。
ユニクロ店舗でつかわれている電気エネルギーの大半は、照明や空調によるものだという。そこで天窓や大きなガラスファサードを設置し、店内照明に頼らないよう工夫。季節ごとに変わる太陽光の角度を考慮した庇(ひさし)を取りつけ、店内照明や空調にかかるエネルギーを軽減した。入り口の自動ドアにはエアカーテンを設置、店内の気圧と外気のバランスをコントロールして外気の流入と室内空気の流出を抑制している。
店内の明るさセンサーとバックルームの人感センサーで、必要のない照明はオフになるようコントロール。CO2濃度や店内温度を測るCO2、温度センサーの数値によって、店内のファンを稼働させている。さらには全熱交換器によって換気量を最適化し、熱エネルギーを効率よく利用するという。
店内中央に配された、大きな天窓。自然採光による省エネ効果だけでなく、心地よい空間づくりにも一役買っている
店舗の外壁には、回収されたユニクロの服を裁断してつくったリサイクル断熱材を使用。断熱効果によって空調にかかるエネルギー負荷を削減している。キッズスペースには同じくユニクロの古着を再利用したクッションが置かれ、店内にはリペアやリサイクルしながら長く好きな服を着続けるための「RE.UNIQLO STUDIO」を配置。リサイクルやアップサイクルにも積極的に取り組んでいるのだ。
そして店舗の屋上には、太陽光パネルを設置。前橋南インター店の約3分の1の電力をまかなえると試算しているという。
キッズスペースにある、服のリサイクル断熱材。子どもと一緒に楽しみながら、ユニクロのサステナブルな取り組みを学べるコーナーが話題だ
入り口の自動ドアにはエアカーテンを設置、ドア開放時の空気の出入りをコントロールしている
ユニクロが近年力を入れているのが、海洋ごみを減らす取り組みだ。このままでは2050年の海には、魚よりもごみの数のほうが多くなるといわれている。半永久的に分解されないプラスチックごみに関してユニクロは、商品パッケージやショッピングバッグなどからプラスチックはできるだけ排除し、使用量を削減している。けれどもそれだけでは、まだまだ社会課題の解決には到達しきれないといえるだろう。
拾ったごみの質と量を競う「スポGOMI」を多数開催
海岸に打ち上げられたり、海面に漂ったり、海底に沈んだりしている海洋ごみは、その約8割が街などの陸から海に流れてきたもの。ポイ捨てやうっかり落としてしまったプラスチックごみなどは、雨や風によって川や水路に入り込み、最終的に海に到達してしまうのだ。そうして流れついたごみは、海の生きものたちの命を脅かしている。
そこでユニクロは、ごみ拾いにスポーツの要素をプラスした「スポGOMI」に着目。街をキレイにしながら、拾ったごみの質と量をポイント制で競うごみ拾いイベントを各地で開催してきた。
イベント「スポGOMI×UNIQLO×花井祐介」ではゲストにグラフィックアーティストの花井祐介さんを迎え、原宿の街でアツい競技が繰り広げられた
2023年4月23日の「アースデイ」にユニクロ原宿店でおこなわれた「スポGOMI×UNIQLO」は、ユニクロでは20回目のごみ拾いイベント。これまでに約1500名が参加し、街をきれいにしてきたという。参加したグラフィックアーティストの花井祐介さんは、サーフィンが趣味で海によく行くと話した。
「ビーチクリーンはおこなってきましたが、街でのスポGOMIははじめて。サーフィンをしていても、海にたくさんごみが浮いていると感じます。そのごみの多くは街から流れてきたものですから、街のごみがなくなれば海のごみもなくなるということ。ぜひ参加したい、と思いました」(花井さん)
競技終了後に、花井さんのグラフィックアートに海洋ごみを貼りつけていくワークショップを開催。参加者たちでつくった海洋ごみアートは、ユニクロ原宿店に展示された
参加者はペットボトルをリサイクルしてつくったおそろいのTシャツを着用し、トングとごみ袋を手に原宿の街へ。「あ、またタバコの吸い殻!」「リサイクルできるから、ペットボトルはポイントが高いんだね」などと口々に話しながら、街中をキレイにしていった。そして50分後、総重量32.66kgのごみが回収された。
表彰式では優勝者に花井さんのグラフィックアートの原画が贈られ、大盛り上がり。多くの参加者が「楽しかった!」「また参加して、次は優勝するぞ」と笑顔で話していた。
「原宿店での開催は3回目。ごみ拾いというスポーツで街がきれいになって、参加したみんなも笑顔になる。この取り組みを続けてよかったなと思います。私たちは、服を売ることで世界は変えられると考えています。服を売るだけにとどまらない、さまざまなサービスを今後も提供していきたいですね」(ユニクロ原宿店・貞包店長)
Photo:横江淳 text:萩原はるな
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