原陽子が選ぶ「お金の意味を考えさせられる絵本3冊」
自分だけが心地よくなるためのお金ではなく、社会や環境、その先にある未来をも豊かにするお金へ。お金のつかい方やその流れを変えることは、世界のさまざまな課題解決を後押しする大きな力になると多くの人が気づき始めています。今回は、お金の本当の姿を知れる本を、読書アドバイザーの原陽子さんに選んでいただきました。
「毎月、通帳の残高とにらめっこする現実……。ときにはその呪縛から逃れて自由になりたいけれど、そもそもお金って何なんでしょう? お金をテーマにした絵本を、子どもよりもお金を自由に使える立場である大人が読むことで見えてくる世界があるはず。一読すると、お金は味方でもなく敵でもない、フラットかつ、たしかな存在に思えてきます」(原陽子)
『ほんとにほんとにほしいもの』
ベラB.ウィリアムズ/作・絵 佐野洋子/訳
何でも「ポチッ」と買えてしまう現代では、この本の主人公のように「本当にほしいもの」を何度も悩み、逡巡(しゅんじゅん)することは貴重かも。やっと最後に選んだアイテムに、家族や友達との絆が透けて見えるよう。(あかね書房)
『ハリネズミと金貨』
V.オルロフ/原作 田中潔/文 V.オリシヴァング/絵
友人のリスやカラスの善意で必要なものがまかなえるようになり、つかい途のなくなった金貨。「お金は本来、人と人が力を合わせて生きていくことを助けるもの」という訳者の解説に、お金の意味を考えさせられます。(偕成社)
『買物絵本』
五味太郎/著
道具を買うと「みずからの可能性の追求」と「みずからの実力の限界」を買える。お金を寄付すると「人助け」と「満足感」と「お金で済ませるクールな人」という評価を買える。お金の自由と不自由の哲学。(ブロンズ新社)
PROFILE
原陽子 はら・ようこ
読書アドバイザー。出版社で絵本専門誌や絵本編集に携わり、フリーに。育児誌などでおすすめ絵本を紹介。JPIC読書アドバイザー。「kodomoe web」にて「今日の絵本だより」を連載中。
●情報は、FRaU SDGs MOOK Money発売時点のものです(2020年11月)。
Text:Marie Takada Edit:Yuriko Kobayashi
Composition:林愛子
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