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ルイ・ヴィトンとコラボしたアジアNo.1レストラン「ガガン」@バンコクで、いま何が起きている?
ルイ・ヴィトンとコラボしたアジアNo.1レストラン「ガガン」@バンコクで、いま何が起きている?
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ルイ・ヴィトンとコラボしたアジアNo.1レストラン「ガガン」@バンコクで、いま何が起きている?

ここ数年で、世界トップレベルの水準に達したタイ・バンコクのファインダイニング界。2018年に創刊されたミシュランガイド・タイ掲載店をはじめ、トップクラスのレストランが数多く存在しています。バンコクは「Asia’s 50 Best Restaurants」の常連都市でもあり、いまや世界中の美食家がこぞって訪れるグルメ天国に成長。その象徴といえるダイニングが、アジアNo.1と名高い「Gaggan(ガガン)」グループです。ルイ・ヴィトンとコラボしたレストラン「Gaggan at Louis Vuitton | Experience」も大きな話題に! 世界的シェフ、ガガン・アナンド氏が率いる、プログレッシブ・インディアン料理を体感してきました。

――バンコクの三つ星レストラン「Sühring(ズーリング)」編はこちら――

インド、日本、タイを“味覚で旅する”エンタメダイニング

屋台のB級グルメから世界が認めるファインダイニングまで、予算や目的に合わせて選び放題のグルメ天国、バンコク。手ごろな値段で世界最高峰の味を体験できる、「アフォーダブル・ラグジュアリー(手が届く高級感)」に、世界中にグルメが熱い視線を送っている。その中心にいるのが、インドにルーツをもつ鬼才シェフ、ガガン・アナンド氏だ。スペインの名店「エル・ブジ」で修行した経験を活かし、食材を物理的、化学的に分析した“分子ガストロノミー”を取り入れた革新的な料理を提供している。

2019年8月に一時閉店、バンコクのスクンビット・ソイ31に移転オープンした「ガガン」のフラッグシップ店。外観は濃いグリーンに覆われている

「アジアのベストレストラン50」で2015年から4年連続1位に輝き、2025年度もアジアNo.1に選出されたガガン。その最大の特長は、ただテーブルに座ってコースを楽めるだけではなく、カウンター越しにシェフやスタッフの調理やダンス(!?)を見ながら、メニューに合わせた音楽とともに絶品料理が味わえること。計算しつくされた斬新かつ緻密な味わいと、シェフの禅問答のようでありつつ、スタンドアップコメディのような軽快なトークとのギャップがおもしろい。

自らを「キッチンという混沌の世界の指揮者」「反逆者」と称するガガンシェフ。大のロックマニアでもある

ガガンシェフいわく、「ファインダイニングを再発明し、レストランを持つ喜びを再発見し、自分たちがやっていることに退屈しないようにしたい」とか。

ガガン:私たちはファインダイニングの既成概念からみなさんを引き離し、予測不能な“食のオペラ”の世界へ導く挑戦を続けています。ここでは、触覚、音、光、香り、味に加えて第6の要素である“驚き”が結び合わさり、ひとつの芸術作品として提供されるのです。

入店後の店内。赤い光に満たされ、真ん中の作業台を囲むようにカウンターが配されている

メニューはおまかせコースのみで、全客いっせいにスタート。赤いライトに照らされた店内は、大音量で音楽が流れ、さながらファッションショーやアトラクション会場のよう。ラフなTシャツ姿のガガンシェフが現れ、よく通る声で説明をはじめた。

ガガン:ようこそ、みなさん。あなたがたはどこから来ましたか? アメリカ、ドイツ、日本、メキシコから! すばらしいですね。ここでは、人種や国籍に関係なく、みんなで同じテーブルについて同じメニューを食べ、同じワインを飲みます。メニューはアクト5まであり、アクト1はインディア、2はジャパン、3はタイランド、4はシェア料理、5はグランドフィナーレです。それぞれの皿を食べ終わったら、合図をしてくださいね。写真は撮ってもいいけど、フラッシュはダメ。重要な電話がかってきたら、外で話をしてきていいよ!

音楽が高まり、アクト1の「インド」からスタート。シェフお得意のカレーなど6品が次々と運ばれてくる。すべて手でいただくフィンガーフードで、クラッカーやクッキー、パイ生地などにマメのペーストや貝のカレーなどが包み込まれている。ひと口ごとに発見があり、驚きの連続だ。

冷製ホタテカレー。モナカのようなシェル生地に、スパイスがきいた貝のカレーが包まれている

カルダモンとサフランが香る、アクト1の美しいデザート

琴の音色とともに始まったアクト2の「日本」では、抹茶をつかった前菜からキュウリが添えられたカニごはん、ウニとイクラの軍艦巻き(!)、エビ風味のアップルタルトにフルーツチーズケーキのデザートという構成。ユズこしょうや酒粕、昆布ダシ、シソなど日本の調味料や食材が取り入れられた、ガガンシェフ流の日本料理だ。軍艦の海苔には花模様の切り込みがあり、鯛をかたどった陶器にポップに盛られている。

苔庭(こけにわ)を思わせる盛りつけで登場した、抹茶にコーティングされたピスタチオバターの前菜。昆布ダシがきいてクリーミーな味わい

アクト3のテーマはレストランがある「タイ」。フォアグラが入った焦がしバナナのカレーからソフトクリームが添えられた冷たいトムカーガイ(ココナツ風味のタイのチキンスープ)、ナスの唐辛子ソース、山羊の脳(!)のグリーンカレー、タイのイサーン地方の郷土料理・川魚ごはんにココナッツ入りの団子スイーツと、スパイスやハーブ、ココナッツなどタイならではの食材を活かした料理が次々と登場した。

脳をかたどったユーグレナ入りのグリーンカレーは、ブラックライトを当てると毒々しい色にチェンジ。ひと口サイズで、ピリリと辛い極上カレーが口いっぱいに広がる

アクト4では、この日初めてフォークとナイフが登場。グリーンピースとリコッタチーズの水餃子のような蒸し物に、そば粉をつかったトルティーヤでスパイシーな豚肉を包んだタコス、揚げカレーに青唐辛子をきかせたヤギのグリル、ホウレンソウとトウモロコシのリゾットと、重量級のメイン料理が次から次へと提供される。

ガガン:これまで私たちは、インド、日本、タイの味覚を旅してきました。これらの国の食文化にはお米を食べる、という共通点がある。それぞれをつなげるのは、ダシだと私は考えています。私たちの旅は、いよいよグランドフィナーレを迎えます!

店内のミュージックはビートルズの「ヘイ・ジュード」からクイーンの「ウィ・ウィル・ロック・ユー」と続き、店内の熱気は最高潮に。葉っぱをかたどった軽い焼き菓子と、ガガン名物の“なめるデザート”が登場する。カウンターごしに、多国籍の訪問者たちが夢中で皿をなめているようすが見えて、「い、いいんだよね、これで」と皆にならう。ファインダイニングで、皿を手に持って、なめる体験をしようとは……!

ガガンのシグネチャーのひとつ、「Lick It Up」(なめて味わいつくせ)。この日はパイナップルやバジルをつかったグミを思わせるひと皿だった

クライマックスにはバックストリート・ボーイズの「I Want It That Way」の大合唱! スタフたちがカウンターをドラムのように打ち鳴らしつつ歌い、ワインと美食にすっかり酔いしれた客もそれぞれに熱唱していた

最後はお店のスタッフたちとハイタッチを交わし、大盛り上がりのなか店を後にした。ホテルに向かって歩いていると、後ろから原付バイクに乗った大柄な男の人が「グッドナイト、バイバ〜イ!」と陽気に声をかけてきた。よくよく見るとガガンシェフ! 世界的な有名シェフが、Tシャツにスクーターで髪をなびかせて帰宅するなんて。シェフは蒸し暑いバンコクの夜を、さわやかに走り去っていった。

ハイブランドとのコラボは一転!優雅な静寂の世界

ガガンシェフは2025年秋、バンコクにルイ・ヴィトンとのコラボダイニング「GAGGAN AT LOUIS VUITTON」をオープン、世界中のグルメをざわめかせた。せっかくなので、ランチタイムに訪れることにした。昨晩の熱気とパワーにあふれたフラッグシップ店とは異なり、ヴィトンのトランクや家具が配された空間で、優雅このうえない。

各拠点で著名シェフを起用し、ブランドの世界観を“味覚”で表現する「Louis Vuitton Culinary Community(食文化コミュニティ)」。ショップにカフェやレストラン、パティスリーなどを併設している

晩秋に訪れたこの日、提供されたのは11皿の秋のコース。ヴィトンのモノグラムをあしらった花の前菜から、早くも心が華やぐ。続いて、ヴィトンのモノグラムと栗をかたどった“なめるデザート”が運ばれ、今回はひるむことなく皿を手に持って味わった。

鮮やかなカシスと紫キャベツのソルベに、繊細な赤シソのグラニテを重ねたスターターから、イギリス、シンガポール、タイを象徴する3つのひと口料理「World Map」に続く。イギリスはヤギのチーズとビーツ、キャビアのサラダ、シンガポールはハニーマスタードとピンクペッパーをきかせたカニの味噌と身、タイは伝統料理「ミヤンカム」を再構築した甘エビの鮮やかなひと皿。さらに、南インド沿岸地域の魚カレーに着想を得たタラ料理が登場した。

ホタテのタルタル、和牛のステーキと続き、それぞれシャンパンやフランスの白ワイン、赤ワインとのペアリングも完璧で、昼間から夢心地になってしまう。

ヴィトン仕様の秋の「Lick It Up」。エスプレッソマティーニを再構築し、栗にカルーア、コーヒーを合わせて“栗”の形に仕立ててある

北海道産ホタテのタルタルに繊細なオレンジのヴェールを重ね、ディルオイルをきかせた「Fruits of Land and Sea(陸と海の果実)」。仕上げに柑橘(かんきつ)のコンソメをトッピング

A3ランクのテンダーロインをつかったメインの「Hokkaido Expedition(北海道探検)」。フランス南部セヴェンヌ地方の玉ねぎをビネガーで煮詰め、牛の旨みたっぷりのソースを合わせた

フラッグシップ店をエネルギッシュな“動のガガン”とすると、「Gaggan at Louis Vuitton | Experience」は優雅な“静のガガン”。どちらも新鮮な驚きに満ちた、得がたい食体験となった。ガガンシェフは今年、新たな挑戦に向かうという。「キッチンという混沌の世界の指揮者」が、さらにどんな世界を拓くのか注目したい。

――バンコクの三つ星レストラン「Sühring(ズーリング)」編はこちら――

Photo & Text:萩原はるな

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