フィンランドの首都・ヘルシンキで見た“ムリせずハッピーでサステナブルな生活”
2035年までにカーボンニュートラルの達成を目標とするフィンランドは、世界有数のサステナブル先進国。自然との共生やムダを省いた地産地消、再生可能エネルギーの積極的な活用、サーキュラーエコノミーの実践など、さまざまな取り組みがおこなわれています。フィンランドのサステナビリティのポイントは、ガマンや自己犠牲を伴わず、生活の質を下げずにナチュラルに取り入れられていること。その一端を、首都ヘルシンキで体感してきました【フィンランドのサステナブル第3回】。
バルト海を望む“木づくりのホテル”も食ロス対策を徹底!
オシャレな北欧デザインや美しいオーロラ、本格サウナにサンタクロース村などなど、魅力がいっぱいのフィンランド。質の高い医療、教育制度など社会保障も充実しており、国民の幸福度が高い国としても有名だ。そして、持続可能な暮らしが広く実践されている国でもある。
今回の旅では、カタヤノッカ地区に位置し、バルト海を望む絶好のロケーションに建つ「ソロ・ソコス・ホテル・ピア4」にステイ。ここは2024年にオープンしたニューフェイスで、フィンランドやスウェーデン産の木材をふんだんに使用したホテルだ。建設時に余った資材は、1階にあるカフェの小さなテーブルに再活用されているという。

地元産の木材を活かした、スタイリッシュな意匠が目をひくホテルのロビー。中庭の小さな森、屋上テラスのネイチャートレイルなど、随所に自然が取り入れられている

シンプルで心地よい客室。大きな窓から、ヨットが行き交うバルト海を望む
こちらは環境に配慮した運営を行う宿泊・観光施設を対象とした「グリーンキー」の認証を受け、持続可能な観光ラベル「サステナブル・トラベル・フィンランド」も取得。「つかう量を減らして、より多くのものをリサイクルする」という目標を掲げ、再生素材を積極的に採用している。
レストランやルームサービスに使用する食材にも、もちろんこだわりがギッシリ。まずは地産地消。フィンランド産と北欧産の食材を使用し、旬の野菜や魚をふんだんに取り入れている。フードロス削減対策では、食材を最初から最後までつかい切るよう配慮。館内のレストラン「Harbore」では、使用済みのビール瓶からつくられたグラスを使用する。さらにスタッフたちの制服は、再生素材で仕立てているという。
ハッピーになれる市場と“誰も取り残さない”図書館

モーニングブッフェにはフィンランドの森で採れたベリー類やキノコ、チーズやバターなどフレッシュな地元食材がいっぱい
地産地消、フードロス削減は、ヘルシンキ市民にはすっかり常識になっているようだ。ホテルに隣接する港のマーケット広場をのぞいてみたところ、森で採れたブルーベリーにリンゴンベリー、ラズベリーなどのベリー類や、さまざまなキノコ、スナップエンドウなど周辺地域から直送された食材がズラリ。どれもツヤツヤ、ピカピカで見るからにおいしそうだ。地元の人たちがカゴを手にふらりと訪れ、イチゴやアンズ茸を次々に買っていく。

港のマーケットは、ほしいものをほしいだけ買える量り売り。「すっごくみずみずしいのよ、食べてみて」と店員のお姉さんが試食をすすめてくれた
マーケット市場ではほかにも、ニシンの酢漬けや燻製(くんせい)、サーモンや小エビなどの魚介類が売られていた。サーモンのスープとライ麦パン、コーヒーなどが買える屋台もあちこちにあって、いい匂いが漂ってくる。ヘルシンキ市民の生活に根ざした、ハッピーな気分になれるマーケットなのだ。

19世紀につくられた、アレクサンドル2世の像が建つ元老院広場とヘルシンキ大聖堂
市内を歩いていると、ドーム型の屋根をもつネオクラシカル建築の建物にいくつも出くわす。もともとヘルシンキは、19世紀にロシア帝国下における自治領「フィンランド大公国」の首都として整備された。ロシア皇帝の威光を示すために、ネオクラシカル様式でさまざまな建物がつくられたという。フィンランドが1917年に独立した後も美しい歴史遺産、文化財として大切に保存されている。
サステナブル・ヘルシンキ散歩の終点は、2019年に「世界一の公共図書館」に選出されたヘルシンキ中央図書館「Oodi(オーディ)」。コンセプトは「市民のリビングルーム」で、ヘルシンキ中央駅からすぐのところにある。老若男女が思い思いに過ごせる工夫がいっぱいの、オープンで公平な施設だ。

館内の階段にデザインされたフィンランド語。「あなたへ」「子ども心を持つ人たちへ」「書き手たちへ」「社会から取り残された人たちへ」「人生を楽しむ人たちへ」などなど、この場所が誰も取り残さない場所であることを表現している
2階に3Dプリンターやミシンが置かれたコーナー、音楽スタジオ、ゲームルームなどが用意され、市民なら誰でもタダで利用できるとか。チェスなどボードゲームの貸し出しもすべて無料。3階は広大な図書館エリアになっており、キッズ用のプレイルームから落ち着いた雰囲気の読書スペースまでが整備されている。ベビーカーコーナーはほぼ満車で、キッズが読み聞かせに夢中になっている横で、地元ママたちが楽しそうにおしゃべりに興じていた。

全面ガラス張りの開放的な3階は、通称「本の天国」。オシャレなビジネスマンがひと休み中

2階には最先端の楽器やPC、3Dプリンターなどが完備され、さながら専門学校のような充実ぶり
航空会社「フィンエアー」は、なぜ直行便を勧めるのか?
世界全体の二酸化炭素(CO₂)排出量のうち、航空業界は約2.5%を占めているとされる。フィンランドのフラッグキャリア「フィンエアー」では、サステナビリティについて、どう考え、どう行動しているのだろうか。フィンエアーのコミュニケーション担当シニアバイスプレジデントPäivyt Tallqvist(パイヴィト・タルクヴィスト)さんに話を伺った。
「私たちにとって、サステナビリティとは『環境への配慮』『社会的な幸福』『財務的なパフォーマンス』を両立させながら、長期的な価値を追求することを意味しています。まず環境への配慮ですが、フィンエアーは、使用済み食用油などの非化石資源から製造されるサステナブルな航空燃料、SAFの使用拡大を推進。航空券予約時に、SAFを買えるオプションも用意しています。このサービスを開始した2024年には、1年間で7万1000人にのぼるお客さまが、この選択を利用しました」(パイヴィトさん、以下同)

フィンエアーは世界中へ路線を展開。日本路線では羽田、成田、関西、中部の4空港に就航、日本とヨーロッパを結んでいる
どうしても環境にインパクトを与えてしまう飛行機の旅。けれども、そのあらゆる段階で、インパクトをやわらげることができるという。
「旅の計画時には、直行便または最短ルートを選び、燃料効率のよい航空機をもつ航空会社でフライトを予約してください。機内に持ち込む重量は1kgごとに燃料消費へ影響を与えるため、荷物を軽くすることも前向きな一歩です」

色鮮やかでとてもおいしい、ビジネスクラスのディナー。フィンエアーでは、つかい捨てプラスチックの代替やリサイクルを徹底している
空港へは公共交通機関で往復する、再利用可能なウォーターボトルを持参する、定刻にテイクオフできるよう搭乗時間を守ることなども、私たちにできる小さな一歩。機内では紙コップをくり返しつかう、マイヘッドフォンを持ち込んでつかい捨てヘッドフォンを利用しない、などのアクションがある。
「フィンエアーでは、食事を事前に注文する選択肢を用意。食品ロスの削減にも取り組んでいるんですよ」




