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中村憲剛&石川直宏&入江遥斗「Jリーグの社会連携=シャレン!の未来を語る!!」
中村憲剛&石川直宏&入江遥斗「Jリーグの社会連携=シャレン!の未来を語る!!」
PROJECT

中村憲剛&石川直宏&入江遥斗「Jリーグの社会連携=シャレン!の未来を語る!!」

1993年の発足以来、すべてのチーム名に地域の名前を入れ、地域密着、地域貢献活動を理念に掲げてきたJリーグ。開幕当初はわずか8府県10クラブでのスタートから、30年間で全国41都道府県60クラブにまで拡大し、地域とともに大きな発展を続けています。2023年5月15日に開催された「Jリーグ30周年記念イベント」では、日本プロサッカーリーグ 特任理事の中村憲剛さん、「2023 Jリーグシャレン! アウォーズ」ソーシャルチャレンジャー賞選考委員の入江遥斗さん、FC東京クラブコミュニケーターの石川直宏さんの3人がトークセッションをおこないました。

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地域ごと、クラブごとに独自のシャレン!が生まれる

中村 実は僕、この「シャレン!アウォーズ」の言い出しっぺなんです。まだ現役の選手だった2016年に、当時の村井満チェアマンに「Jリーグ、Jクラブでは、地域・社会貢献活動というものをどうお考えですか?」と話したところからスタートして……。本当に多くのクラブ、選手、スタッフのみなさん、地域のみなさんが、地域の課題解決やつながりをつくるために、これほど多くの活動をしてくれたことがすごくうれしいです。

石川 Jリーグのなかで、各クラブが自分たちの地域が抱えるいろいろな社会課題に向き合い、活動に取り組むことによって、地域社会やチームの色が出るんですよね。各チームのアイデアやアクションが、自分たちの刺激にもなっていますし、そうやって高め合っていけるのは、すごく素敵なことだなと思っています。

入江 僕はいま大学4年生なんですが、シャレン!がはじまった当時は高校2年生で、まだ知らなかったんです。3年くらい前から、「Jリーグでは、サッカー選手が地域の人と一緒に、いろんなことをやっているんだよ」という話をちらほら聞くようになりました。

入江遥斗さん/2001年神奈川県生まれ、横浜国立大学・都市科学部都市社会共生学科4年生。ピープルデザイン研究所運営委員、サステナブルブランド・ジャパンのプロデューサー、アクトポート代表理事を務める

入江 ソーシャル系の活動においては、誰がやるか?というのがものすごく大事なところ。僕が理事を務めるアクトポートでは、SDGsの普及、啓発の出張授業や社内研修をおこなっているのですが、小中学校での出張授業で子どもたちにSDGsの話をしても、最初は反応があまりよくないんですよ。まあ、それはそうですよ。急に国際的な、大きな地球規模での目標を話されても、すぐに「じゃあ実践してみよう!」とはなりませんよね。でも、そこでJリーグのシャレン!の名前を出すと、子どもたちの食いつき具合が相当変わるという実感がありますね。

「社会課題に関心を持ち始めたのは小学1年生のとき」(入江)

――入江さんが社会問題や地域課題に興味、関心を持ち始めたのはいつ頃で、どういうきっかけだったんですか?

入江 僕が社会問題や地域課題に関心をもったのは、小学1年生のとき、両親が新築の一軒家を建てたことがきっかけです。その建築会社が、「家を建てたら、材料(木材)と同じ量の樹木を植えよう」というキャンペーン活動をしていたので、誘われて植林活動に行ったのが最初ですかね。自分たちの実生活との社会とのつながりを見出せたのは、いまから5年くらい前、高校生のころでした。シャレン!のスタートと、ちょうど同時期です。

中村 高校時代に、もうですか? 僕はサッカーしてましたよ。全力で(笑)。

石川 同じく、サッカーばっかりしてましたね(笑)。

中村 僕は高校生のころ、地域課題なんて、まったくわかってなかったです。だから、すごいと思いますよ。その若さで、アンテナの感度が高すぎだと思います。

石川 感度は、たぶん育った環境などによっても変わりますよね。若い選手たちに、そういう感度をどうやって磨いていってもらおうか、とはいつも考えています。これからのサッカー選手には、そういう感度、つまりベースとなる人間力が大事だと思うんです。

石川直宏さん/1981年神奈川県生まれ。FC東京で活躍後、2017年に現役を引退。現在はFC東京クラブコミュニケーターとしてメディアや講演等で活動。「2020 Jリーグシャレン! アウォーズ」では自身が携わった多摩少年院の少年たちの社会復帰サポート活動(FC東京)がソーシャルチャレンジャー賞を受賞した

石川 たとえば、ゴミが落ちていたときに、そのゴミに目がとまらないのか、見ても気づかぬふりをするのか、拾って捨てるのか。これだけで、ぜんぜん違う。ピッチ上での問題意識のとらえ方も変わってくると思います。その感度を磨くための場所が、まさに社会・地域連携、つまりシャレン!だと思っているので、サッカーのスキルや戦術を伝えるだけじゃなく、普及・育成年代も一緒になって、地域と活動にどんどん取り組んでいきたいです。

入江 今回選考委員として、60クラブの活動すべてを拝見して、全国いろんなところで活動がおこなわれていることをあらためて体感できました。この5年間で、活動する人の絶対数が増えましたし、対処したいと考えている社会課題の幅も広がったなあと。活動がものすごく多角化していると思います。

中村 育成年代の選手たちも、クラブでこういう活動をしていることを、まず知ることが大事なのだと思います。活動の幅がこれだけ広がっているのも、みなさんが知ってくれているおかげ。それで、「自分だったらこれができる」とか、「この人とこれをやってみよう」とか、つながりが生まれてくるわけですよね。

60クラブすべてが地域課題に取り組み、地域を盛り上げる世の中に

中村 僕ら40代の元Jリーガーが発言するのもそれなりに影響力があると思うんですけど、やっぱりより長く生きるのは若者たちですから。彼らが自分ごととして、いろんなことを前向きにとらえて積極的に活動していくことが、日本だけじゃなく、世界的にすごく大きなパワーになっていくと思います。

石川 大事なのは、「こういうことをしよう!」となったときに、「人の顔」が思い浮かぶかどうか。活動が広がれば広がるほど薄まってしまいがちなんですけど、そこには一人ひとりの人間がいて、それが集まって、コミュニティができて、地域があって、社会がある。広がりを持ちながら深く、そしてまた広げていきながら深く、という活動を繰り返していきたいですね。

入江 みなさんには最初のアクションとして、「シャレン! アウォーズ」のホームページを見ていただきたいです。みなさんがシャレン!の活動にゆるやかに、軽やかに関わっていくことで、地域がもっと元気になっていくはず。

石川 クラブのビジネスサイドにいる人間として感じるのは、現場と会社の間のハードルが非常に高いということ。でも選手たち一人ひとりと話すと、実はいろんな思いを持っているんですよね。サッカーだけじゃなくて、地域や社会、サポーターに還元したい。そういう思いを引き出してあげられるように、クラブのみなさんには「こういうことができるんだよ」と選択肢を増やすようなコミュニケーションを心がけていただきたいなと思います。

中村憲剛さん/1980年東京都生まれ。川崎フロンターレで18年間、プロサッカー選手として活躍。現在は川崎フロンターレリレーションズオーガナイザー、公益財団法人日本サッカー協会・ロールモデルコーチ、JFA Growth Strategist、日本プロサッカーリーグ特任理事を務める

中村 5年前の村井チェアマンとの対話から、Jリーグ、Jクラブ、Jリーガー、地域のみなさんと本当に多くの人とつながって、いろいろな活動をやってきて……いま、けっこう胸がアツいです。「すべては日本を元気にするため!」と、僕は現役の頃からずっと思ってやっていました。クラブ一つひとつが地域に根ざして、地域課題に取り組んで、みんなで地域を盛り上げる。60クラブでそれができたときには、たぶん日本は相当幸せになっているんじゃないかな。あらためて、僕もJリーグの一員としてがんばっていきたいです!

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Text:石塚圭子 photo:萩原はるな

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