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首都圏“鳥見”さんぽ【後編】 必ず会える!? 水辺の宝石「カワセミ」が待つヨコハマの遊水地へ
首都圏“鳥見”さんぽ【後編】 必ず会える!? 水辺の宝石「カワセミ」が待つヨコハマの遊水地へ
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首都圏“鳥見”さんぽ【後編】 必ず会える!? 水辺の宝石「カワセミ」が待つヨコハマの遊水地へ

おだやかな冬晴れの日には、鳥たちに会いに出かけてみませんか? 前後編でご紹介するのは、横浜市と藤沢市にまたがる神奈川県の都市公園。ビオトープが整備され、生きものでにぎわう水辺の風景に、心がほっこり温まります。【後編】

──前編はこちら──

ひとにも生きものにも人気の「境川遊水地」へ

前編から引き続き、横浜市と藤沢市の境に位置する、「神奈川県立境川遊水地公園」とその外周を“鳥見さんぽ”。境川沿いに3つの遊水地(川から水があふれたときに一時的にためる池)が並ぶ気持ちのいい水辺には、動植物を保全するビオトープを中心に、芝のグラウンドやサイクリングコースなどが整備され、鳥や動物だけでなく、人も集まってくる。

3つの遊水地のうち、境川を挟んで横浜市側の「俣野遊水地」エリア。ビオトープのすぐそばには野球場があり、遊歩道を散歩したりランニングしたりする人たちの姿が見られる

前編では水鳥を中心に紹介したが、後編では水辺で出会える小鳥たちにフォーカスしよう。ほかの季節にも見かける“レギュラーメンバー”なのだが、草木の勢いが衰える冬には、その姿を探しやすい。一度発見すると、コツが感覚的に身につくのか、次から見つけやすくなる。ぜひ、このシーズンに鳥たちを探してみてほしい。

園内どこでも会えるアイドル!? カワセミ

翡翠(ひすい)のように美しい羽色で、水辺の宝石にたとえられるカワセミ。じっととまっていたり、水面近くを直線的に飛んだりする姿はけっこう目立つため、発見しやすい

野鳥にそこまで興味がなくても、そのルックスでアイドル的人気を誇るカワセミだけは、「一度見てみたい」と思っている人も多いはず! 清流にしか棲(す)めない鳥と思われているむきもあるが、実際には首都圏の水辺でふつうに暮らしていて、この園内と周辺一帯にも、「もうおなかいっぱい!!」と言いたくなるほどよく出現する。

スズメほどの大きさしかないが、水面に張り出した枝、浅瀬の石やコンクリート護岸などにとまってじっとしている姿は目立ち、比較的見つけやすい。遊歩道脇の杭などにとまることもあり、遊びに来た家族連れやカップルがスマホで撮影していたりする。静かに観察していれば、突然、獲物を狙って水中に飛び込むハンティングシーンを見られるかも!

観察に慣れてきたら、オスとメスの見分けにチャレンジしてみよう。くちばし全体が黒いのがオス、くちばしの下側が赤いのがメスだ。筆者は「メスは口紅でおめかし」と覚えている(上写真はオス)。

尾羽をピコピコ振るのがカワイイ!「キセキレイ」

際をテケテケ歩き回るほか、飛んでいる虫をフライングキャッチするシーンも見せてくれる

青く輝くカワセミのほかにも、キレイな色をした水辺の小鳥がいる。胸からお尻にかけてが黄色いキセキレイだ。全長(くちばしの先から尾の先まで)はスズメの14cmに対して20cmと大きいが、尾羽が長く、スマートな体型なのでそこまでデカく感じない。

河川敷や中州、護岸など、水際を1羽で活発に歩き回っているようすは目立ち、境川遊水地公園では境川の川岸で発見しやすい。歩いているときも止まっているときも、尾羽をピコピコ上下に振る習性があり、ずっと眺めていても飽きない。

ちなみに、同じセキレイの仲間で、「ハクセキレイ」「セグロセキレイ」という種類も、この公園とその周辺には多い。3種類ともよく似た見た目をしているが、下面が黄色いのはキセキレイだけ。どの種類もそれぞれカワイイのだけれど、ハクセキレイと比べて数が少ないキセキレイは、見つけるとうれしくなってしまう。

石にまぎれてひっそり。見つけられるかな?「イカルチドリ

地味でユニークな顔つきの鳥だが、そこが愛らしい。写真だと浮かび上がって見えるが、肉眼だと周囲に溶け込んでしまっている

カワセミもキセキレイも、小さいサイズながら、その色や行動、生息環境から、比較的目につきやすい。ところが、このチドリの仲間・イカルチドリは、双眼鏡でも、バードウォッチングの経験があっても、見つけ出すのがなかなか難しい。河川敷の石にまぎれてひっそりしていたりすると、もうお手上げだ。

ここはひとつ、ゲーム感覚、間違い探しのノリで、イカルチドリ探しに挑戦しよう。境川の河川敷に潜んでいるほか、「今田遊水地」エリアのビオトープでも見ることがある。数羽の群れでいることが多く、1羽見つけると2羽3羽と続けて目に入ってくることもあって、おもしろい。

せっかく鳥を見に出かけても、なかなか鳥に出会えない日がある。でも、見つけられないだけで、野鳥はそこに暮らしているのだ。見えないものにはなかなか関心が向きにくい。生きものの気配がないからといって、その環境が失われれば、人知れず消えていく生きものたちがいることを知っておきたい。

暖かな施設から広〜いビオトープを眺めつつ休憩

「境川遊水地情報センター」。休憩スペースからは広大な「下飯田遊水地」エリアのビオトープを望める

鳥見さんぽ中に、ぜひ立ち寄りたい施設が境川遊水地情報センターだ。いま、どのエリアに、どんな鳥がいるかの情報が掲示されているので、予習はもちろん、「あの鳥、なんだったんだろう?」という“答え合わせ”にも便利。双眼鏡の貸し出しもおこなわれている。

休憩スペースもあり、暖かい屋内から下飯田遊水地エリアのビオトープを眺められる。「アオサギ」や「カワウ」、「マガモ」などの水鳥を、ガラス越しに肉眼で観察もできるはずだ。

さんぽの締めくくりに、園内地図などを見て、次回はどこを中心に回るか、作戦を立てるのもオススメ。この公園は、東京ドーム約6個分の広さがあるそうで、はじめての来訪では回りきれないと思う。筆者は午前中に今田遊水地エリア、ランチ休憩を挟んで午後に俣野・下飯田遊水地エリアを回るのが定番だが、見どころが多く、一日で全域をカバーできたためしがない。繰り返し何度でも、鳥見さんぽに出かけたい絶好の“探鳥地”だ。

──前編はこちら──

Text:櫛田理子 Photo:吉村冬彦

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