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オープンほやほやの山ホテル「LUCY尾瀬鳩待 by 星野リゾート」を拠点に尾瀬湿原でトレッキングデビュー!
オープンほやほやの山ホテル「LUCY尾瀬鳩待 by 星野リゾート」を拠点に尾瀬湿原でトレッキングデビュー!
NATURE

オープンほやほやの山ホテル「LUCY尾瀬鳩待 by 星野リゾート」を拠点に尾瀬湿原でトレッキングデビュー!

「トレッキングに挑戦してみたいけど、ハードルが高くて一歩が踏み出せない」なんて人は多いはず。「装備が大変そう」「トイレが心配」「山小屋って雑魚寝なの!?」「歩けなくなったらどうしよう」などなど、いろいろなハードルがあるでしょう。そんな人におすすめしたいのが、景勝地として名高い尾瀬でのトレッキングデビュー。素敵な山ホテルに最高の食事、清水をたたえた豊かな自然と絶景、整備されたトレッキングルートと、一歩を踏み出すのに最適な要素がそろっています。

夜の尾瀬で、翌朝トレッキングに向けフル充電!

童謡「夏の思い出」でおなじみの尾瀬は、福島県と群馬県、栃木県、新潟県にまたがる本州最大級の高原湿原だ。雪解け後には歌にも登場する尾瀬のシンボル、水芭蕉が湿原を彩り、夏になると高山植物が一斉に開花。秋には、湿原の植物がオレンジや黄金色に染まる“草紅葉”が一面に広がる。四季折々の景色が楽しめる、標高1400mの楽園なのだ。

尾瀬には多彩なトレッキング&登山ルートがあり、初心者から上級者までを魅了する懐の深いフィールド。群馬県利根郡片品村にある鳩待峠は、尾瀬登山者の約60%が利用するメインの玄関口として知られている。峠にある「LUCY尾瀬鳩待(ルーシー・おぜはとまち)」は、「最高の尾瀬ハイクがはじまるホテル」をコンセプトに2025年9月1日にオープン。星野リゾートの新ブランド「山ホテル」として、山岳ファンから熱い目線を集めている。

かつて「鳩待山荘」があった地に誕生した、星野リゾートによる「LUCY尾瀬鳩待」

いち早くマイカー規制を採用した尾瀬は、乗り合いのシャトルバスでの入山がメイン。雪が溶けはじめる4月末から5月頭に山開きを迎え、雪山を登ってスキーで下りる春スキーファンが多く訪れる。もっともにぎやかになるのが、水芭蕉が開花する6月ころ。夏には老若男女が尾瀬に集結し、高原の景色を楽しむ。10月下旬になると山小屋や休憩場、キャンプ場が順々にクローズ。11月初旬には閉山となる。

筆者が訪れた10月中旬は秋真っ盛りで、到着した夕方は幻想的な霧に包まれていた。さっそくLUCY尾瀬鳩待にチェックインし、宿泊棟一階の「Food & Drink Station」でひと休み。ここは木のテーブル&イスが配されたラウンジスペースで、食べものやドリンクが24時間セルフサービスで買える。Wi-Fi環境もバッチリで、パソコンに向かって猛然と仕事をしている人もいた。

「Food & Drink Station」で体験できる、トレッキング時に熊に人間がいることを知らせる「熊鈴」づくり。熊鈴は身を守るだけでなく、自然との共生のシンボルでもある 

仲間や家族で利用できるフォースルーム。ほかにプライベート空間が確保できるドミトリーとツインルームがあり、全25室、44名が宿泊可能

客室はベッドが中心のシンプルなつくりだが、USBやコンセントが大充実。共有スペースには温水洗浄トイレとシャワー&洗面スペースも確保され、とても快適に過ごせる。宿泊棟の向かいには、一般登山客も利用できる「はとまちベース Cafe & Shop」があり、お土産やオリジナルグッズが揃う。ランチが食べられるほか、生ビールも! 明日の尾瀬ハイクに向けて、宿泊客だけのお楽しみ、豚汁(と生ビール)でガソリンを注入することにした。

ここでしか買えない限定アイテムや地域の名産のほか、登山用品もバッチリフォロー。かゆいところに手が届くラインナップだ

豚肉&味噌文化が根づく群馬ならではの「LUCY豚汁ご膳」。メニューを一種類にすることで、フードロスを削減している。途中、半熟卵の揚げ出しを入れてコクをプラスするのがオススメだ

「豚汁」というメニュー名ではあるが、豚肉たっぷりでひとり鍋のようなボリューム。豆腐、ニンジン、ダイコン、コンニャク、ネギなど大ぶりの具材が入り、おろしニンニクがアクセントをプラスしている。しっかりめの味つけで、ご飯がすすむこと! グンと気温が下がる、鳩待峠の夜にぴったりのメニューだ。

夕方4時半に最後のシャトルバスが出ると、峠にいられるのはLUCY尾瀬鳩待 の宿泊客のみ。山の上でのおいしいごはんや満天の星は、ステイしないと楽しめない特権だ。登山客の多くは、朝の暗いうちから動きはじめるため、施設の消灯は21時。といっても真っ暗になるのではなく、廊下などの照明が薄暗くなる。シャワーを浴びてさっぱりし、22時にはフカフカの布団に潜りこんだ。

色づく山々を見ながら“草紅葉”の湿原を散策

LUCY尾瀬鳩待とはとまちベースの中間地点あたりに、尾瀬ヶ原への入り口が。案内板横に持ち運び用のマップが用意されている

翌朝6時過ぎに、尾瀬ヶ原に向けてトレッキングスタート! 尾瀬はたらいのようなカタチをしており、鳩待峠はたらいの端っこにあって、標高は1591m。30分ほどかけて石や木の階段を下り、森の中の木道を進んでさらに30分、ビジターセンターや山小屋がある「山ノ鼻」を目指す。滑る足元に注意しながら、「これ、最後に登って戻るんだよなあ」と恐々としつつ下っていく。

鳩待峠からは下りの石段が続く。湿原までの落差は約200m!

「尾瀬の気候はほぼ北海道と同じなんですよ」と、自然ガイドの立木(ついき)美和さん。手にしているのは、黄色に紅葉したコシアブラ。タラの芽と並んで重宝される山菜だ

「山ノ鼻」には水洗の公衆トイレや水くみ場があり、ひと息つく人々で賑わっていた。水筒を尾瀬の湧き水で満たし、尾瀬ヶ原に続く木道を進む。左手には尾瀬を代表する名山のひとつ、標高2228mの至仏山がそびえ、赤やオレンジ、黄色に紅葉した木々が美しい。尾瀬ヶ原も「草紅葉」に覆われ、秋ならではの光景に心が洗われる。

至仏山は登山や春スキーも楽しめる人気の名山。ただし筆者にとっては「至仏山は眺めるものであって、登るものではない」

草紅葉の間を縫って木道が伸び、人々が右側通行で行き交うようすはまさに「尾瀬の風景」。自然に負荷をかけないよう設置された木道は、65㎞もの長さで尾瀬に張りめぐらされているそうだ。防腐剤や防虫剤をつかっていないため、木道の寿命は約10年。傷んだ箇所は一本一本人の手で、ヘリコプターで運ばれてくる新たな木材に交換される。

草紅葉には大小さまざまな池=池塘(ちとう)があり、清らかな水に山々や青空と雲を映し出している。オレンジ色に紅葉した水草が浮かび、クロード・モネが見たら即、筆をとりそうな美しさ。夏にはたくさんのヤゴがここで育ち、トンボとなって湿原を飛び回るそうだ。池塘のなかをのぞき込むと、ゲンゴロウやアカハライモリが気持ちよさそうに泳いでいた。

睡蓮の原種、ヒツジグサが浮かぶ澄みきった池塘。尾瀬には1850個以上の池塘があるとされる

尾瀬名物、昔ながらのポーター「歩荷(ぼっか)さん」。貴重な自然を守るため車は立ち入れず、各山小屋まで100㎏ともいわれる大荷物を人力で運ぶ

存分に湿原の風景を楽しんだら、引き返して鳩待峠を目指す。山ノ鼻で休憩し、いよいよ復路の登りへチャレンジ。秋の高原でのトレッキングとあって、寒さ対策ばかり気にしていたが、登っているうちに汗がにじんできた。次第に息が上がり心臓もバクバク! 足も上がらなくなってきた。これはマズい。帰京したら、電車の乗り換えにはエスカレーターではなく、階段をつかおうと自分に誓った。

ほうほうの体でLUCYに帰還。尾瀬ヶ原入り口の案内板を見たときのうれしさといったら! あとはランチを食べてお土産を買うだけという、楽しみしか残っていない。

はとまちベースで待っていたのは、花豆ソフトクリームとランチのあんかけ蕎麦。蕎麦はこの地で製麺機にかけて打ち、注文を受けてからゆでて提供している。フレッシュな麺にきのこたっぷりの湯葉あんかけがかかり、ホッとするおいしさだ。

はとまちベース名物の花豆ソフトクリーム。濃厚なのにしつこくない絶妙なバランス!

「湯葉きのこあんかけ蕎麦」に、柔らか牛煮込みととろとろ半熟卵をトッピング。疲れが吹き飛ぶ滋味たっぷりの一杯

完全山仕様の登山者もいれば、オシャレなスーツケースでチェックインする星野リゾートファンらしき利用者も見かけたLUCY尾瀬鳩待。2026年度は雪解け後の山開きに合わせて、4月下旬から10月24日まで運営する予定だそう。本格的な登山も気軽なトレッキングにも対応する、尾瀬ならではの多様さを体感しに行こう。

Text & Photo:萩原はるな

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