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沖縄のビーチをキレイにして地域とつながる!「プロジェクトマナティ」に参加したら、旅が大充実した!!
沖縄のビーチをキレイにして地域とつながる!「プロジェクトマナティ」に参加したら、旅が大充実した!!
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沖縄のビーチをキレイにして地域とつながる!「プロジェクトマナティ」に参加したら、旅が大充実した!!

青く美しいサンゴ礁の海、多様性に富んだ動植物が生きる、やんばる(山原)の森、沖縄そばやゴーヤチャンプルーなどの郷土料理、三線(さんしん)や島唄などなど、魅力がいっぱいの沖縄県。国内外からアツい視線を集める沖縄では、「エシカルトラベルオキナワ」が推進されています。このプロジェクトは、「地域と過ごす旅」をコンセプトに、人や社会、環境に配慮したやさしい観光先進地を目指すもの。取り組みのひとつ、旅行者が気軽にビーチクリーンに参加できる「プロジェクトマナティ」に参加してきました。

海を愛するもの同士、手を取り合って海を守る!

青い空に白い砂、エメラルドグリーンの海……、豊かなサンゴ礁のゆりかごでもある海は、世界中の人々を魅了してやまない沖縄の財産だ。けれどもサンゴの白化や大量の海洋ごみの漂着など、その環境は悪化の一途をたどっている。「自分にできることがあれば、やってみたい!」と思っても、どこでどのように、どんなアクションを起こせばいいのか、糸口がみつからない人も多いだろう。

そんな「みんなの力」を集結して沖縄の海をきれいにしようと立ち上がったのが、沖縄市出身の金城由希乃さんによる「プロジェクトマナティ」だ。立ち上げは2020年、その後は地域を巻き込みながら成長を続けている。

「ひと言で言うと、ビーチクリーンが気楽にできるプロジェクトです。カフェや民泊、ダイビングショップ、観光協会、個人のおばちゃんなど、地域の参加パートナー(協力店舗)に500円を支払って、軍手やごみ袋が入った黄色いバッグをレンタル。それぞれ、自由にビーチをクリーンアップしてもらいます。終了後はごみとレンタル品を戻し、パートナーがごみを処分する、という仕組みです」(金城さん、以下同)

プロジェクトパートナーのひとつ、沖縄県浦添市にある「隠れ家カフェ清ちゃん」。マナティの黄色いフラッグが目印だ

海洋ごみの処分は、沖縄県内でもルールがまちまちだという。たとえば観光客がごみを拾っても、市町村が受け取らないケースもあるそうだ。つまりごみの管理者とキチンと連携しないと、せっかく拾ったごみが宙ぶらりんになるリスクが!

「ビーチクリーンでは、拾ったごみを処分するための申請が大変。行き場のなくなったごみが放置されてしまうと、そこにさらにごみが捨てられて、巨大なごみ捨て場ができあがってしまうのです。結果的に風に飛ばされて、また海洋ごみに戻ってしまうケースも。そういう善意のスレ違いを避けるためにも、地域との連携は必要不可欠なんです」

プロジェクトマナティは、出会いのツールとしても有効だとか。

「旅って、人と土地との交わりが魅力のひとつ。毎年、同じショップを訪れて『今年もビーチクリーンに来たよ!』なんて人も多いんですよ。旅を通じてその土地のファンになって、地域のために恩返しができるとステキですよね。その結果、参加者は充足感が得られて旅の満足度がアップします。地域は旅行者がごみを拾ってくれることで、『地元が大事にされている』と感じる。そうしてありがとうが広がって、みんなが優しさでつながれるようなしくみを目指しています」

交流が生まれるだけでなく、地域の人も「キレイにしなければ」と環境意識が高まるそうだ。

「いち沖縄出身者として、できることは何かを考えながら活動しています」と金城さん。エシカル起業家として、誰でも気軽に参加できる楽しいプロジェクトを推進している

金城さんによると、ほとんどの観光客が過ごしているのは人工のビーチだそう。プロジェクトマナティには、「ビーチクリーンで天然海岸に降りて、沖縄の海と仲よくなってほしい」という想いも込められている。

「沖縄の海は生態系がとても豊か。カニやヤドカリ、さまざまな植物と触れながらごみを拾うことで、環境保護への意識が変わると思うんです。とくに北風が強い冬は、毎日拾っても間に合わないほどのごみが漂着します。ごみを拾っていると、1000本以上のタバコの吸い殻が落ちていたり、外国語のラベルがついたペットボトルが大量に流れ着いていたりと、さまざまな現象を目の当たりにします。海に捨てられたごみだけではなく、街なかのごみも河川を通じて海まで流れてきていることがよくわかる。海洋ごみを根本からなくすには、社会全体を変えないとダメなんですよね。ビーチクリーンで無心にごみを拾って、キレイになる達成感を味わうことで、ごみへの意識が変わる。やがて、社会も変わっていくといいな、と思っています」

ほんの30分ほどのビーチクリーンで、これほど多くのごみが集まった。ここでは3日前に、地域の小学生がビーチクリーンをおこなったばかりだという

海岸に多くみられるマイクロプラスチックごみ。「太陽光で劣化してだんだん小さくなり、海洋生物の体内に入ってしまう。できるだけ早く拾うことが大事なんです」

海洋ごみに海温の上昇による生態系の変化、サンゴの白化など、沖縄の海はいくつもの問題を抱えている。多くの人がその解決に向けて、日々頑張っているという。

「沖縄は島なので海と陸がとても近く、農業でつかう肥料も農薬もダイレクトに海に流れてしまうんです。その結果サンゴの元気がなくなって、生態系も崩れてしまう。でも、海の中の問題って、なかなか伝わりにくいんですよね。私自身、海は大好きだったけど、あまり知識はなかった。あるとき座間味ビーチへシュノーケリングに行って、いつものように日焼け止めを塗っていたら、『その成分がサンゴを傷つけるんだよ』と言われて、大きなショックを受けたんです。そこから『そもそもサンゴって何?』『日焼け止めってどうなの?』といろいろ調べて、『サンゴにやさしい日焼け止め』をつくりました」

メイク下地にもつかえる、バームタイプの「サンゴにやさしい日焼け止め」。開発の真の目的は、サンゴの大切さや、サンゴを守ることの意義を広めることだという

ビーチクリーンのいらない日を目指して

プロジェクトパートナーの「隠れ家カフェ清ちゃん」のオーナーは、シーグラスアーティストでもある春奈さん。店内には海洋ごみのシーグラスを拾い集めてつくられた、龍やイルカなどのアートが飾られている。ウッドデッキからは、美しい沖縄の海を一望できる。ランチタイムの営業が落ち着く15時から、プロジェクトマナティの受け入れをスタートしている。

カフェオーナーでシーグラスアーティストの春奈さん。アジア・エスニックの創作料理を提供し、地元のファンや観光客でいつも賑わっている

「隠れ家カフェ清ちゃん」では、プラスチック製のストローを紙製に替え、つかい捨ての弁当箱を廃止。オーナーの春奈さんは17年前から、海洋ごみのシーグラスをアートに再生している。

「波に洗われてピカピカになったシーグラスを見て、自然ってすごいな、と思ったのがきっかけでした。コロナの時期はマスクが、夏はペットボトルが増えるなど、街のごみが雨や風に流されて海にたどり着くんです。海洋ごみを減らすには、みんなが日頃から『自分たちも関わっている』と思わないとダメ。ごみが出るのは自分たちのせいで、誰かのせいではない。沖縄の海岸では、たしかに中国からのごみが目立つんですが、あの国は人口が多いから当然ですよね。プロジェクトマナティは、みんなで取り組めるステキな取り組み。ビーチクリーンも一人でやるのは疲れるし、限界があるでしょう。ひと袋30分でできる苦しくないビーチクリーンが、もっと広がっていくといいですよね」(春奈さん)

取材・文・写真/萩原はるな

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