デザイン会社とドーナツ店の“複業”経営者「好きでやっている人が最強!」
幸せになるための「複業」。みんなどんなきっかけで、どんなふうに働いているの? 同時に複数の仕事をしている春日井順さんにお話を伺いました。
ドーナツ店経営で学んだ“好き”の底力
デザイン会社代表×ドーナツショップ
春日井順さん
多い日は1000個以上を売り上げる「HIGUMA Doughnuts」。オーナーの春日井順さんはデザイン会社の代表との二足のわらじをはいて店に立ち続けている。2016年の開業当時、飲食業界は未経験。カナダの大学でMBAを取得後、すぐにデザイン会社を立ち上げたビジネスマンだった。
「カタログであれCDジャケットであれ、常に本当にいいと思うものをつくろうと力を尽くしていたのですが、当然最後はクライアントの意向が反映されます。次第に『自分が最高だと思うものを発信したい』という気持ちが強くなって……」
北海道出身の春日井さん。どうせやるなら故郷に恩返しができる事業がよかった。そのとき思い出したのが、留学先のカナダで好きだったドーナツショップの風景だった。
「地元の子どもやお年寄り、警察官とかいろんな人がドーナツとコーヒーを片手におしゃべりしてる。小さな店がコミュニケーションの媒体になっているのがいいなと思って。ドーナツの材料は小麦粉やバター、牛乳、砂糖で、どれも北海道には最高のものが揃ってる。これなら北海道にも、いま自分が暮らす東京にも恩返しができると思って」
以来、知り合いの料理人やドーナツづくりの腕に覚えのある友人に、イチからつくり方を教えてもらった。自他ともに認める食いしん坊の春日井さん。1年間試行錯誤し、自分が本当においしいと思えるレシピを確立した。
「複業で学んだのは“好きでやってる人が最強”ということ。忙しくても辛くはないし、どんどんアイデアが湧いてくる。デザインの仕事でもその気づきを生かして、どんなときも“好き”な気持ちを忘れずやろう。そう思えるようになったんです」
●情報は、FRaU SDGsMOOK WORK発売時点のものです(2021年4月)。
Photo:Mina Soma Edit & Text:Yuriko Kobayashi
Composition:林愛子
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