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SDGs研究者が語る「なぜ徳島がサステナブル先進県といえるのか」【後編】
SDGs研究者が語る「なぜ徳島がサステナブル先進県といえるのか」【後編】
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SDGs研究者が語る「なぜ徳島がサステナブル先進県といえるのか」【後編】

美しい自然を守りながら、より自由な社会、便利な生活を実現したい。そんな思いでSDGsに取り組む徳島の自治体、企業の挑戦について、慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科特任助教の高木超さんに伺いました。今回は、県、市町村、民間が取り組む実例を紹介します。

▼前編はこちら

徳島県が推奨するAction!

県が進めるSDGsの取り組みはこちら。さまざまなジャンルですでに成果を上げている。

県全域に光ブロードバンドを実現

全国屈指の光ブロードバンド環境を誇る徳島県。その秘密は、2011年のテレビ放送の地上デジタル化に先立ち、光ファイバー網を全面的に整備したことにある。おかげで、県のほぼ全域で高速インターネットの利用が可能。IT企業のサテライトオフィスなどが増え、地域の活性化にもつながっている。また、徳島県は自治体として全国初となるローカル5G無線局の免許を取得。遠隔医療やスマート農業などへの活用に期待が集まっている。

列車兼バスのDMVで交通を効率化

線路と道路の両方を走れる「DMV(デュアル・モード・ビークル)」。乗客が列車とバスを乗り換えせずに利用できるため、地域の公共交通をより便利で使いやすいものにする新たな乗り物として注目を浴びている。ユニークな車両自体が観光資源であり、災害発生時にも被災を免れた線路と道路をつないで効率的な被災地支援ができる。徳島県では阿佐海岸鉄道・阿佐東線において、世界初となるDMVの本格営業運行に向け取り組みを加速させている。

水素で動くパトカーを導入

脱炭素社会の実現、水素エネルギーの普及啓発に取り組む一環として、2020年4月に徳島県警は全国で初めて水素で走る燃料電池自動車のパトロールカーを導入した。県内トヨタディーラー4社から寄贈された「MIRAI」がパトカー仕様に改造され、日々のパトロールや県内各地の警察広報活動などの公務で活躍している。また、全国初となる地産水素を活用した製造と供給を一体的に行う固定式水素ステーションの設置や、燃料電池バスの路線運用が予定されている。

「エシカル」を学ぶクラブを全高校に

地域の活性化や雇用などを含む、人や社会、地域、環境などに配慮した消費行動「エシカル消費」を推進する徳島県では、若いうちからそういった考え方を身につけられるよう、県内すべての公立高校にエシカル消費を研究・実践する組織「エシカルクラブ」を設置。県内の特産物をつかった料理講習会や、古着を回収し無料で希望者に提供する活動などを通してエシカル消費の普及・啓発を図り、持続可能な社会のために主体的に行動する力を育成している。

気候変動対策で新たな特産品開発

地球温暖化がもたらす気候変動の影響により、農作物の生育不良や品質低下などが懸念されている。そんななか徳島県は、温室効果ガスの排出抑制に取り組むとともに、変化する環境に強い作物をつくることで、持続可能な農林水産業の実現を図っている。新たなブランドとして、コメの高温耐性品種「さきあかり」の栽培を拡大するほか、熱帯性果樹のアボカド、バナナなどの栽培実証、パイナップル、マンゴーなどの栽培技術開発にも取り組んでいる。

マイバッグ促進でゴミ削減

全国でレジ袋が有料化される前の2019年から、徳島県では「マイバッグキャンペーン」をおこない、県内でチェーン展開する食品スーパーの8割を超える店舗でレジ袋の無料配布を中止した。それにより、10%台だったマイバッグ持参率は80%以上に急上昇。また、各家庭に眠っている袋をショッピングバッグとして持ち寄ってもらい、それをスーパーに設置してレジ袋の代わりに使用してもらう「レジ袋サクゲン作戦」も実施。県をあげてゴミの削減に努めている。

市町村と民間のAction!

地域の特性を活かしたユニークな取り組み、ただいま各地で実践中!

上勝町
町の住民が運転手過疎地を自由に移動

深刻な過疎化と高齢化により、タクシー会社は休業、バスは路線縮小と、交通手段が激減している山間の町・上勝。そこで2003年、自家用車を所有する住民と、移動を必要としている人をマッチングする「上勝町有償ボランティア輸送事業」が開始された。自由な移動は、高齢者が住みなれた町で自立した生活を送るための大きな要素のひとつになっている。

阿南市
人気スポーツのSUPで市への愛着を形成

SUPとは「スタンドアップパドルボード」のこと。波が穏やかなビーチや川のある阿南市は、2018年に「阿南SUPタウンプロジェクト」を始動。講習はもちろん、SUPをつかっての水辺のごみ拾いや環境保護イベントなどを企画。参加するパドラー同士が関係性を深め、地域を大切にする心を育むのに奏功している。市外、県外から阿南市を訪れる人の数も増えている。

KINOF(いろどり)
地域の風土を生かした自然に還るファブリック

上勝町で誕生したファブリックブランド「KINOF」。町内の杉の間伐材から繊維を抽出してつくった木糸を用い、自然に還る素材でタオルやスポンジなどを企画・販売する。地域が所有する素材を活かすことで経済を刺激し、環境にやさしいものづくりを実現。プラスチックは不使用、ゴミの削減・分別がしやすいようパッケージを簡素化している。

大塚製薬
自然林や池が残る環境にやさしい工場づくり

「人と環境にやさしい工場・地域に開かれた工場」がテーマの大塚製薬徳島板野工場は、生物の生息空間「ビオトープ」を敷地内に有する。大地の起伏をそのまま残し、野生生物を観察できる自然林や池があるその光景は、まるで広大な公園のよう。そのほか、省エネルギーの推進や「リデュース・リユース・リサイクル」の3R活動にも積極的に取り組む。

美馬市、三好市、つるぎ町、東みよし町
世界遺産に選ばれた「傾斜地農耕システム

環境にあったユニークな農業を実施しているとして、世界農業遺産に登録されている県西部にし阿波地域の「傾斜地農耕システム」。斜度40度の急傾斜地でも、棚田のように水平面を形成せず、敷き草で土壌流出を防いで農地がつくられているのが特徴だ。それにより、環境や動植物の命が守られてきた。昔と変わらない風景、農文化は多くの観光客を惹きつけている。

あさがお福祉会
多目的施設で自然な世代間交流を創出

地域の交流を促進し自然な福祉インフラを構築することを目的に、社会福祉法人あさがお福祉会が2015年に「ユニバーサルカフェ・つだまちキッチン」をオープン。自尊心の向上や認知症予防をねらいとした高齢者向けの料理教室、子ども食堂などのさまざまなイベント、発達障がい児童のデイサービスを同一事業所内でおこなうことで、世代間の交流を生み出している。

徳島ヴォルティス
健康な暮らしをプロサッカーチームが先導

J1リーグに所属するプロサッカーチーム・徳島ヴォルティスは、美馬市、大塚製薬と連携し、地域住民のヘルスケアをおこなう「ヴォルティス コンディショニングプログラム」を実施している。チームに所属するプロのトレーナーが、病気やケガをしにくい身体づくりを目標に、およそ8週間かけて運動や生活習慣を指導。心身の豊かな暮らしと地域づくりをサポートしている。

三好市
食生活の改善で地域の健康を促進

糖尿病死亡率や小中学生の肥満率が高く、新鮮な食材が手に入りやすい土地ながら野菜摂取量が不足しているという徳島県。そんな食の課題に取り組むのが三好市の食堂「MINDEキッチン」。地域の人に向けて、地元の食材を使用した栄養満点のランチを提供している。学校帰りの学生の居場所としての役目も担い、バランスのとれた軽食も安価で販売する。

PROFILE

高木超 Cosmo Takagi
慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科特任助教。複数の自治体のSDGsアドバイザーとしても活躍する。著書に『SDGs×自治体 実践ガイドブック 現場で活かせる知識と手法』(学芸出版社)など。

●情報は、FRaU S-TRIP 2021年12月号発売時点のものです。
Illustration:Shoko Takahashi Supervision:Cosmo Takagi
Composition:林愛子

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