ハイアット リージェンシー 瀬良垣で「沖縄ならではのサステナビリティ」を楽しむ!
沖縄本島の恩納村瀬良垣島全体がリゾートとなっている「ハイアット リージェンシー 瀬良垣アイランド 沖縄」。ハイアット国内初となるビーチリゾートとして、2018年にオープンしました。ホテルのコンセプトは、「元気になるホテル」。「ヒトを元気に!地球を元気に!」というテーマのもと、SDGs達成に向けたさまざまな取り組みをおこなっています。地域と一緒に取り組む、沖縄のリゾートホテルだからこそ実現できる試みを取材しました(前編)。
沖縄の大地と太陽が育んだパワフル食材
ハイアット リージェンシー 瀬良垣アイランド 沖縄は、SDGs未来都市である恩納村に位置し、2021年3月には「おきなわSDGsパートナー」にも登録された。
レストランやバーではプラスチックストローを廃止し、パイナップル葉の繊維をつかったストローを導入。プラスチックのカクテルピックの代わりに、竹製のピックを使用している。レストランなどで出る食品廃棄物は、地元企業と協働して100%飼料化。ホテルオリジナルのステンレスボトルを用意し、ペットボトルごみの削減も目指す。
オリジナルのステンレスボトル。各客室フロアにはウォーターサーバーが設置されており、自由に汲める
レストランでは、沖縄で生産された食材を積極的に利用、沖縄で育った食材をつかったメニューを提供することで、フードマイレージ(食料の輸送量に輸送距離を掛け合わせた指標)の削減を目指している。2023年4月から同ホテルの総料理長を務めるのは、銀座のイタリア料理店「ラ・ベットラ・ダ・オチアイ」からキャリアをスタートした古村和也シェフだ。
「沖縄に来て驚いたのは、内地(本州など)に負けないくらい魚のポテンシャルが高いこと。身がやわらかい魚が多く、マリネやカルパッチョにとても向いているんです。野菜や『あぐー』などの豚もおいしいし、石垣牛に代表されるように牛肉のクオリティも高い。マンゴーやパイナップルなど果物も豊富で、おもしろい食材がいっぱいあるんです」(古村シェフ、以下同)
グランド ハイアット 東京をはじめ、北海道や軽井沢のリゾートホテルで働いてきた古村シェフ。「リゾートホテルのシェフだからこそできることを大事にしたいと思っています」
ホテルの近くにある産直市場「おんなの駅なかゆくい市場」には常に色とりどりの旬の野菜が並んでおり、チェックするだけでも楽しいとシェフ。「今日はこれがおすすめだよ!」と、毎日出荷される野菜や食材を、SNSのムービーで送ってくれる地域の生産者もいるという。そんななか日々心がけているのは、食材の力強さをアシストするような調理法だ。
「夏が沖縄のトップシーズンですが、暑すぎて野菜があまり採れないんです。ですから料理人としては、夏以外の季節にぜひ訪れていただきたい。マンゴー、パッションフルーツ、青いバナナ、ゴールデンバレルというブランドパイナップルなどは本当においしいんですが、1ヵ月くらいしか出回らないんですよ。そんなところにも着目して、沖縄ならではのおいしさを味わっていただきたいですね」
島にんじんにゴーヤ、へちま、田芋に黄金芋、島らっきょうにキク科の野菜ハンダマと、沖縄以外の人にはあまり知られていないご当地野菜がいっぱい!
ホテルがある瀬良垣島は、「サンゴの村」として知られる恩納村に位置。赤土流出によるサンゴのダメージが課題となっているが、その対策としておこなわれているのが「ハニー&コーラル・プロジェクト」だ。これは、村内の農家が畑周辺に植物を植え、ミツバチを飼育することで持続的に赤土流出を防ぐという取り組み。同ホテルも、このプロジェクトに参加している。
「村内で採れたハチミツを使用したスイーツやドリンクを、レストラン セラーレやマーケットで提供しています。昨年はロールケーキをつくったのですが、とても好評でした。恩納村の花々からミツバチが集めたハチミツは、フルーティで華やかな花の香りが特徴。毎年味が違うのですが、今年はとても味も香りも濃い、おいしいハチミツがとれたんですよ」
サンゴを守ると同時に、ミツバチが暮らせる環境をつくることで、新たな名産ができ地域経済も活性化。そんな試みが広がり、つくり手も増えてきたそう。
「北海道や軽井沢でも同じでしたが、沖縄の生産者たちにはとくにリスペクトをもって接していきたい。そうして地域の方々と一緒に取り組むことで、リゾートを訪れる方々に、沖縄の食や土地の魅力を体感できる機会をご提供していきたいです」
自然光が降り注ぐ、開放的なロビーラウンジ。琉球石灰岩や格子状の木のフレームを印象的に活用したインテリアは、著名なデザイナー橋本夕紀夫氏によるものだ
同ホテルでは、月に一度ホテル周辺のビーチクリーンを実施。恩納村主催のビーチクリーンにも積極的に参加しており、ゲストが参加できる清掃活動もある。また「漆喰シーサー」や、「首里城ナノブロック」のクラフト体験など沖縄の伝統に親しめるプログラムを用意。首里城ナノブロッククラフト体験の売上の一部は、首里城再建に充てられているという。
沖縄の食や文化がまるごと味わえ、環境保護活動にも参加できる同ホテルの試み。きっと、想像以上の収穫を得られるはずだ。
──後編では、「ニモ」でおなじみのクマノミ育成プロジェクトをご紹介します──
text&photo(ホテル外観以外):萩原はるな