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“サステナブルな身体”は柔軟性から。そのカギを握る『筋膜』について、カリスマ理学療法士に聞いてみた。
“サステナブルな身体”は柔軟性から。そのカギを握る『筋膜』について、カリスマ理学療法士に聞いてみた。
FEATURE

“サステナブルな身体”は柔軟性から。そのカギを握る『筋膜』について、カリスマ理学療法士に聞いてみた。

前編から引き続き、大田区池上に新しくオープンした「URBAN FIT 24 池上駅前店」のイベントで、辛くなく長続きする自分磨きの秘訣について聞いています。アーバンフィットの山本拓真会長と俳優の大谷亮平さんのトークに続いて、理学療法士による体づくりのポイントと注意点についてのお話を伺いました。

前編はこちら→

首筋と足首の「筋膜」に触れただけで柔軟性が一気にアップ!

イベントではトークショーのあと、アーバンフィット所属の理学療法士・二宮祐樹さんが登場。二宮さんは、口コミサイト「STORES」で口コミ数日本一(★4.9)を獲得したこともあるカリスマ理学療法士。まずは最近肩に違和感があるという大谷さんの肩に触れ、「少し“ずれ感”がありますね。筋膜をリリースすることで違和感は解消していくはずです」とのこと。続いて記者代表の男性がボディケアを体験。二宮さんが首筋と足首に数秒触れただけで、前屈量が瞬時に向上するという、テレビ的?なミラクルを披露してくれた。

前屈は身体の柔軟性をはかるバロメーターのひとつとよく言われ、ネットで検索するとストレッチ方法を紹介するサイトなどが見られるが、「必ずしも全員にストレッチが向いているわけではなく、身体の状態によってはストレッチによってかえって筋肉が硬直してしまうこともあるんです」と二宮さん。

そうそう、聞きたいのはまさにその辺り! その謎を解明すべく、イベント後、二宮さんに詳しいお話を伺った。

Dowellbydoinggood)(以下、Do) 「ちょっと触っただけで、記者の方の身体の柔軟性が瞬時に上がったのにはびっくりしました」

二宮さん)(以下、二宮)「人間の身体というのは、すべてが筋膜によって繋がっているので、必ずしも痛いところや固いところが(ピンポイントで)悪い原因というわけではないんです。人によってコンディションや筋肉の質も違うので、それぞれの人にあわせていく必要があるんです」

筋膜をリリースすることで、身体を「正常な状態」に戻す!

Do) 「そもそもの質問になってしまうのですが、「筋膜」っていったい何なのでしょう? 筋肉とどう違うんですか?」

二宮) 「筋膜(fascia)とは、筋肉を包んでいる薄い膜(結合組織)のことを指し、筋肉を包み込むだけでなく、体中の細胞を結び付けているものになります。

イメージ的には身体を覆っているウェットスーツのようなものでしょうか。全身に張り巡らされ、すべての体細胞を覆って全細胞を結びつけているんです。身体を支え、形作っている『第2の骨格』とも呼ばれています。

その筋膜ですが、非常に柔らかい組織のため、絡まったりくっついてしまいやすい(萎縮・癒着)という特性を持っています。この筋膜の萎縮や癒着がときに凝りや痛みを招き、さらに筋肉の柔軟性を損なう原因になってしまうのです」

「筋膜」は骨格と筋肉を包み込みながら身体を覆い、姿勢を保ってくれるスーツのようなもの。イラスト/illustAC

Do) 「筋膜は筋肉とは違い、ストレッチで『伸ばす』ものではないんですね?」

二宮) 「先ほども申し上げましたが、主な原因は萎縮や癒着なので、『伸ばす』のではなく、リリース、すなわち絡まったところやくっついてしまったところを、やさしく剥がしたり引き離したりすることで『組織を正常な状態に戻す』ということになります。ストレッチでは筋肉に一時的に柔軟性を持たせることができるのですが、筋膜自体に萎縮・癒着があると時間の経過とともに再び筋膜、筋肉は萎縮・癒着し、硬い状態に戻ってしまいます。

また、筋膜は連続性のある繋がった組織で体中を巡っていますので、たとえば肩周りの筋膜を緩めることで離れた股関節の可動性が向上するなど、一般的には驚くような反応が出たりもします。『筋膜リリース』は、柔軟性を原因から良くしていくことや離れた部位から効果を出すことが可能な手技なんです」

Do) 「もうひとつ、そもそも。筋膜と筋肉の関係について教えてください」

二宮) 「筋肉のうち骨格筋と呼ばれる部分は、随意運動(自分の意志で動かすこと)が可能な組織で、運動としての役割、熱を生産する役割があります。構造的には骨に付着しており、関節の安定性に作用する働きを持っています。ただ、骨格筋だけでは、(それぞれの骨格筋が繋がっているわけではないので)姿勢を保つことは難しいんです。

一方の筋膜は、さきほどウェットスーツの例を出しましたが、全身を包み込む組織で、おおきく以下の3つの役割を持っています。

(1)各組織を包み込み、組織と組織の間に仕切りを作ると同時に結合させ、身体全体を支える(姿勢を保つ)働き。

(2)組織同士が擦れ合うことで生じる摩擦から保護する役割

(3)筋組織を包んでいる(筋外膜、筋周膜、筋内膜)に構成された構造により、筋繊維を支え、力の伝達を行う働きです」

「筋膜リリース」は骨や筋肉に絡んだり癒着している筋膜を剝がしたり引き離し、それぞれの部位が正常に動くように『戻す』こと。イラスト/illustAC

筋肉の痛みや緊張感があるときについついやってしまうストレッチにも注意点が!

Do) 「骨格筋は関節の安定性を高めてくれ、それらの筋肉や関節を筋膜が繋いでくれることで、姿勢を保てるということなのですね。

ところでさきほど、「筋肉はストレッチ等で一時的に柔軟性を作ることが可能ですが、筋膜自体に萎縮・癒着があると時間の経過とともに元に戻ってしまう」というお話がありましたが、さらに、ストレッチすること自体がよくないケースもあると聞きました」

二宮) 「ストレッチそのものがよくないということではないんです。各個人の身体の状態により、「合う/合わない」があるということなんですね。

リスクという面で、代表的な逆効果の例を挙げますと、

(1)痛みをかばうようにして起こっている硬さに対して行うストレッチング

たとえば、足首の関節周囲に痛みを引き起こすような問題がある場合、身体を守るために身無意識に『防御性収縮』という、その関節周囲が伸びないように固める働きをすることがあります。このようなときにストレッチをすると、関節周囲に痛みを引き起こすことがあります。

(2)姿勢等の影響から筋肉が伸びている状態に対して行うストレッチング

人によっては、日常の姿勢の影響で、その姿勢を保持するために筋肉が伸びた状態になっていることがあるんです。そのような方の場合、ストレッチングによって(筋肉と腱の境目)が伸びることで、さらに姿勢が崩れてしまうことも。そんなとき、身体はそれを防ごうと余計に筋肉が緊張してしまうことがあります。その結果、ストレッチングで筋肉が緩むことによりリラックスの効果は得られるものの、結果的にはさらに姿勢が崩れて余計に凝りなどを作ってしまうこともあるんです。これらの場合には特に注意が必要です。

Do) 「痛みがあるときにはついつい伸ばそうとしてしまいがちですし、体がほぐれたほうが姿勢がよくなりそうな勘違いをしていました(汗)。

ところでフィットネスクラブに通う方の中には、『身体の硬さ』を解消したい、という方も多いと思います」

二宮) 「いわゆる、『身体が硬い』ということに関しては、実は何の影響による硬さなのかによって、各個人にとって必要な硬さ、改善した方がよい硬さがあるんです。たとえば、スポーツをしている方でもその競技のパフォーマンスを向上させるために形成された硬さや、ケガをしないために無意識的に身体を守ろうとすることで起きる硬さなどもあり、これらは必要な硬さということになります。

必ずしも『硬い=悪い』という図式が成り立つわけではなく、各個人や競技によって、柔軟性が求められる部位は異なるということなんです。

ただ、日本整形外科学会が推奨する各関節における『参考可動域』という指標もあり、一般的には、その可動域までは柔軟性が確保された方がよいとされています(ケガや手術などの影響は除く)。参考可動域までは、適切なトレーニングやボディケアを行うことで、柔軟性を向上させることは可能であると考えています」

自分とまったく同じコンディション・目的の人はいないから、自分に合った自分だけのトレーニングが大切。

Do) 「ケガや体の不調などのリハビリにもフィットネストレーニングは適しているのでしょうか?」

二宮) 「医師による医学的な診断が出て、適切なリハビリテーションが必要だと判断されている場合には、医師の下で行うリハビリテーションを推奨しております。アーバンフィットでは『疾患』ではなく、『運動』や『予防』という観点から会員様の目的に応じて解剖生理学、運動学に合わせたボディケア付きパーソナルトレーニングを実施しています。

あくまで医療的な措置が必要ない場合には、①ケガなく運動を行うため、②運動中のパフォーマンスを向上させるため、③各個人の身体に合わせた運動の効果を高めるため、などに着目してボディケアを提供しています。

一例としては、椅子から立つことや階段の上り下りがツライ方のトレーニングではハムストリングスの強化をお勧めするなどの指導を行っています」

Do) 「これからフィットネスやトレーニングをはじめようという方にアドバイスをお願いします」

二宮) 「医療やスポーツの現場でリハビリテーションやコンディショニングを行っていた経験からお話しすると、身体のメンテナンスは各個人のコンディションにあわせて行うことがとても大切であると考えています。ストレッチング、マッサージ、筋膜リリース等、どれもその方の状態や部位によって、効果はありますが、その反面、顕在化されていない痛みなどの症状が悪化するといった逆効果になることもあるため、ご自身に何が合うのかをその道のプロの方に評価・検証してもらうことが最も重要であると思います。トレーナーとのコミュニケーションをフルに活用して、自分に最適な身体作りを進めてもらえたら、より日常を快適に過ごせるのではないでしょうか」

URBAN FIT24ではパーソナルトレーナーが全店に常駐(11:00~21:00)し、個人にあわせた指導を行っている。さらに昨年10月から、理学療法士監修での自社開発の①タイプ診断、②ボディケア付きパーソナルトレーニング、を導入したサービスを直営店(12店舗)で展開しており、今後フランチャイズ店にも展開していくそう。

URBAN FIT24は今後、年間8~10店舗のペースで新規店舗をオープンする予定だとか。とはいえ、まだまだ近くに店舗がない読者のみなさんも多いかもしれない。それでもまずは筋膜を意識し、プロのトレーナーの指導を受けていただけたらと思う。

「URBAN FIT24池上駅前店」は、関西圏を中心に全国22店舗を展開するアーバンフィットによる東京進出2号店。ブルックリンスタイルのおしゃれで上質な空間に品質の高さで名高いテクノジム社の最新マシンを設置、日中は研鑽を積んだパーソナルトレーナーが常駐する。専用アプリによる総合的なボディケア・サポートも行っている。
URBAN FIT24 池上駅前店
東京都大田区池上 6 丁目 8ー11ナビウスタワー池上駅前 2 階
24時間/年中無休

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