ごみを拾うと幸せに!? マシンガンズ滝沢と年商47億円の“ごみ拾い仙人”が明かす「ごみ拾いの効能」(後編)
月に一度開催されている、ごみ清掃芸人こと『マシンガンズ』滝沢秀一さん主催のイベント。第5回目は「ごみ拾い仙人」の吉川充秀さんをゲストに迎え、ごみトークを繰り広げました。滝沢さんによる「ごみとお金」の話(前編で紹介)に続いて、吉川さんが「ハッピーになれるごみ拾い術」についてトークを展開。いますぐ専用トングを手にしたくなる、ごみ拾いの“効能”を教えてくれました。
ごみ拾いをすれば、人もモノも愛せるようになる!
「滝沢ごみクラブ」の定期イベント第5回目のゲストは、芸人ではなく年商47億円のグループ企業を率いる吉川充秀さん。ごみ拾いをライフワークにしており、ごみ拾い仙人の異名をもつ。
滝沢 吉川さんは、群馬県民なら知らない人はいないという「利根書店」はじめ、さまざまな業態の店を経営。13期連続で増収増益、年商47億円で経常利益は4億円だそうで。そのいっぽうで、ごみ拾い仙人としても有名なんですよね。
吉川 ヒマさえあれば、専用のトングを肩に掛けてでごみ拾いに出かけてます。このイベントの直前まで、(会場の)毎日新聞社と、近くの皇居周辺でごみを拾いました。ご褒美出ましたよ! 未開封のペットボトルのお茶を拾ったんです。いま、おいしくいただいています。
滝沢 そ、それを飲んでしまうとはなかなかのツワモノですね! 吉川さんは8年間で、なんと109万個のごみを拾ったそうで。今日は、お金持ちになれるコツを話してくれるんですよ。
吉川 はい、事例を交えながらお話したいと思います。イベントにあたって、滝沢さんにボクが書いた本を送ったら、滝沢さんも著書を送りますと言ってきたので断わりました。なぜなら、自分で買いたかったからです。電子版よりも多く滝沢さんに印税が入る書籍版を、書店で全種類を買いました。
滝沢 本当ですか。それはうれしいなあ!
吉川 こうして、相手が一番喜ぶことをすることが大切。これこそ、お金持ちになるコツなんです。もうひとつ。ボクは拾ったごみを自宅のガレージで分別するんですが、ときに分別が面倒になることがあります。そこで滝沢さんの顔写真を印刷してラミネート加工し、ごみ容器のふたに貼りました。ごみの分別をするたびに、滝沢さんの写真を見て、『大好きな滝沢秀一さんのために、ごみの分別をちょっとだけ頑張るか』と思える仕組みをつくったわけです。
滝沢 ますますうれしいですねえ。
吉川 こうしてボクはごみの分別を頑張れるし、滝沢さんも喜ぶ。すると、滝沢さんがこのイベントのように仕事や人を紹介してくれるかもしれません。それを狙っているわけではありませんが、結果的にそういうことが起こりやすくなるんです。
吉川 ごみ拾いをすることでかかる魔法は98個ほどあるんですが、そのうちのひとつに、「モノの見方や考え方が変わる。その結果、人生が変わる」というものがあります。
滝沢 ボクも常々、人生は考え方次第だと思っています。ごみ拾いは、それを変えるキッカケになるということですね。
吉川 ごみ拾いを続けていると、「ごみって世の中にこんなにあるんだ!」と驚き、ごみを増やしたくなくなります。買いものをするときにも、買った後にどうなるか考えるようになり、本当に必要なモノ以外買わなくなるんです。本当に必要なモノを真剣に悩んで買うようになることは、ごみ拾いの効能のひとつですね。
滝沢 なるほど。ごみ清掃員として毎日ごみに向き合っていると、同じような境地にいたりますねえ。
吉川 さらにモノが愛おしく、かわいくなるというメリットも。拾った丸カンや指輪がボクの左手の薬指にピッタリだったことから、数日はめていたことがあります。ボロボロになってしまったスリッパには「ミルフレッド」と名前をつけてかわいがっていますよ。妻には捨てられそうになりましたが(笑)。「モノを大切にしなきゃ」という義務感ではなく、「大切にしたい」と慈しむことができるようになったんです。ごみすらかわいく思えたら、モノも人も、そして自分もかわいく思える。その結果、自己肯定感が高まります。
吉川 この「愛おしい」とか「かわいい」というのが重要で、ボクは「かわいい」を口グセにするといいんじゃないかと思っています。意識してつかうことで、自分のまわりの世界がかわいく見えてくる。ボクは、人生は口グセで決まると思っているんです。「くだらない」といつも言っている人は、世界をくだらなく見ているということ。そうなると、人生もくだらなくなってしまいます。
年商47億円でも「買えなかったモノ」とは?
滝沢 吉川さんのお話を伺っていると、ふだんボクが考えていることとすごく重なっていると感じます。ボクは常々、「ラストロング精神を学ぼう」といっているんですよ。これはアメリカの思想で、「愛しているモノを命がなくなるまでつかおう」というもの。日本の「もったいない精神」は捨てるときですが、「ラストロング精神」は買うときに意識するものなんですよね。「これを買って、自分は一生添い遂げられるのか」をしっかり考えるという。それと、「人生はモノの見方、考え方と習慣で決まる」と考えているという点も同じ。ただ、なんにつけても、「習慣化」するのは大変じゃないですか?
吉川 まず、楽しくないと続きませんね。あと、人のためなら頑張れる。私が滝沢さんの写真をごみの分別容器に貼ったことは、そういう類いの行動だと思います。
滝沢 吉川さんに伺いたいんですが、いままでお金で買えなかったモノって何ですか?
吉川 「上機嫌」ですね。お金を追い求めていくと、不機嫌なことが多くなって、怒る機会が増えます。欲望がどんどんわいてきて、社員がミスするとムカッとしてしまいます。これでは幸せな状態とはいえませんよね。「幸せってなんだろう」という問いにボクが出した結論は、「上機嫌なことではないか」ということ。心が不機嫌になること避けると、上機嫌なことが増えて、振り返ったら「なんて幸せな人生だったんだ」と思えるんじゃないかと。鼻歌を歌っている、つまり「♪」が出る状態は上機嫌ですよね。みなさんもだまされたと思って、話し言葉やメール、チャットなんかに「♪」をつかってみてください。
滝沢 「♪」には、そんな深い意味があったんですねえ。最後に、ごみ拾いの極意を教えてください!
吉川 多くの方は、ごみを見ると怒っちゃうんですよ。「誰だ、こんなところに捨てたのは!」「行政は何をやってるんだ!」なんてね。でも、自分が不機嫌になるようなモノは拾わなくていいんです。さらに言うと、不機嫌になるまでごみ拾いをしないことも大事。「全部拾わなければ!」なんて考えると、スゴイ労力がかかって不機嫌になってしまう。ボクはごみを見ると、「他人が拾わないでいてくれたから、自分が拾えた。ラッキー♪」と思うようにしています。ポイ捨てをなくそうとしても、他人を変えることはできない。そうではなく、「ごみが捨ててある、自分の出番だ! ボクのためにごみを捨ててくれたのね。ありがとう!」と感謝すれば、上機嫌になれるんですよ。ぜひ一度、試してみてください!
text:萩原はるな
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