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滝川クリステル「動物たちのため、私自身がメディアになる!」
滝川クリステル「動物たちのため、私自身がメディアになる!」
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滝川クリステル「動物たちのため、私自身がメディアになる!」

働き方は、生き方です。人それぞれ人生が違うように、働くスタイルも多種多様、正解はありません。会社やまわりの力を借りながらも、どのように働くかは自分の意思で改革していくしかありません。今回は、フリーアナウンサーの滝川クリステルさんにお話を伺いました。「私の」「私のための」働き方を改革するためのヒントが、そこにはありました。

自分というメディアを通して“伝える”
キャスター時代から変わらない軸

滝川さんの愛犬、ラブラドールレトリバーのアリスは東日本大震災で飼い主とはぐれてしまった元保護犬。「33で家族になって以来、たくさんの癒やしと元気をもらっています。仕事でピリピリすることがあっても、アリスの顔を見ると落ち着くんです。オーバーブラウス、パンツ/スポーツマックス(マックスマーラジャパン) ピアス/トムウッド(ステディ スタディ) シューズ/スタイリスト私物

報道番組のキャスターやラジオのパーソナリティなど多方面で活躍する滝川クリステルさん。2014年には自らが代表を務める一般財団法人クリステル・ヴィ・アンサンブルを設立。「ともに、生きる。」をスローガンに、アニマルウェルフェアの向上と犬猫の殺処分ゼロ、絶滅の危機に瀕する野生動物保護への協力など、人間を含めたあらゆる命が共存、共生し、調和する社会をつくるための活動を行っている。

大学卒業後、キャスターとして報道の道に進んだのは、「伝えたい」という強い想いからだった。

「一番大きかったのは黒柳徹子さんの存在。アフリカの貧困など世界が抱えるさまざまな問題をお茶の間に伝えていた黒柳さんの姿が小さな頃からずっと心に残っていて、私も自分というメディアを通して何かを伝えられたらという気持ちでした」

さまざまな現場に立ち会い、伝えたキャスター時代。いまの活動につながる出会いや気づきがあった。

「ひとつは犬猫などペットに関する問題。当時はまだ世間の関心が高くなく、ペットの飼育放棄や殺処分に関する情報を番組で取り上げようとしてもなかなか企画が通らない。取材したとしても現場と視聴者の認識の差が大きかったせいか、熱心に活動する方々が奇異に映ったり、うまく伝えるのが難しい。もどかしさを感じていました」

動物愛護の現場と世間の人々のギャップを埋めるにはどうしたらいいのか。そのためのアクションが自らの財団を立ち上げることだった。

「まずは動物愛護のイメージを変えたかった。保護動物のシェルターを運営している方々は懸命に現場で動いていらっしゃる。ならば私は人々との間に立って、現場の実情や、社会が抱える問題を伝えていこう。まさに自分がメディアとなって、現場とは違う立場でできることをやろうと思ったんです」

財団のもうひとつの軸となるのが野生動物の保護。これも仕事で訪れたインドネシア・ボルネオ島での体験が大きな気づきを与えてくれた。

「一見、豊かな熱帯雨林が広がるボルネオ島ですが、ひとたび森に入ると、ほとんどがアブラヤシの大規模農園。原生林は伐採され、多くの生物が絶滅の危機に瀕していると知りました。アブラヤシから取れるパームオイルは化粧品やスナック菓子など、私たちが毎日手にする製品に欠かせないもの。自分が享受している便利な生活の裏でこんなことが起こっていたなんて……あまりにショックでした」

動物たちの声なき声に耳を澄ませ、
“思い合える社会”をつくる

そして2021年6月、財団は新しいプロジェクトをスタートさせる。コロナ禍のなかでペットを迎える人が増えた反面、飼育放棄や虐待が後を絶たないという悲しい現状に歯止めをかけるため、動物虐待を未然に防ぐ仕組みづくりと啓発を行っていく。

「声を上げられない動物に寄り添える社会は、子どもや女性など、同じく弱い立場にある存在にも手を差し伸べられるはず。互いに助け合い、思い合えるやさしい社会をつくるために、まずは動物たちの声なき声に耳を傾けることから始めようと考えています」

財団の代表としてプロジェクトを進めるなか、メディアでの仕事も変わらず精力的に続けている。

「視聴率という大きな壁に阻まれて思うように発信できないこともありますが、少しずつでも情報を伝えていけたらという気持ちです。そのうえでメディアでは伝えきれない部分を財団で発信していく。財団でも何より大切なのは、どれだけ多くの人に情報やメッセージを伝えられるかということですから、そのあたりはメディアで培った経験がとても役立っています。そういう意味で、メディアの仕事と財団の仕事、どちらが欠けてもだめなんです」

大切なのはバランス。それぞれの仕事で得られる学びや喜びを上手に循環させるのが滝川さん流だ。

「財団の仕事は扱うテーマが深刻ですし、それだけに注力すると動物に感情移入するあまり、視野が狭くなってしまうこともあります。メディアの仕事を通してさまざまな立場の人と出会い、お話をすることは、考え方やメンタリティをフラットに保つために欠かせません。たとえばラジオ番組のパーソナリティとしていろいろな音楽に出合えるのは楽しい時間ですし、テレビ出演時に素敵な衣装とキレイなメイクを纏う瞬間はやっぱり心躍ります。そういう時間があるからこそ財団での仕事ではなりふり構わず頑張れる。女性としての生き方、充実もあきらめず、人生をかけてやりたいことに情熱を注ぐ。それが一番いいコンディションで、私の理想の働き方なんです」

PROFILE

滝川クリステル たきがわ・くりすてる
フリーアナウンサー。1977年、フランス生まれ。2000年に共同テレビジョン入社。02年から09年までフジテレビ『ニュースJAPAN』のキャスターを務める。CM出演、テレビ番組の司会やラジオパーソナリティなど幅広く活躍。2014年に一般財団法人クリステル・ヴィ・アンサンブルを設立。「アニマルウェルフェアの向上と犬猫の殺処分ゼロ」や、野生動物を救い、生物多様性を守る活動を行う。

〈クリステル・ヴィ・アンサンブル〉christelfoundation.org
〈Panel for Life-命のパネル〉panel-for-life.org

●情報は、FRaU SDGsMOOK WORK発売時点のものです(2021年4月)。
Photo:Norio Kidera Styling:Mika Nagasawa(TOKYOEDGE.) Hair & Make-Up:Tomoko Noda Edit & Text:Yuriko Kobayashi
Composition:林愛子

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