東京ディズニーリゾート発 “地球にやさしく人にやさしい”グッズたち
東京ディズニーリゾートは、2021年7月にから“地球にやさしく人にやさしい”をテーマにしたグッズ「LET’S START WHERE WE CAN!」を販売してきました。2022年には、パークで回収したさまざまなものを活用して開発したシリーズ「東京ディズニーリゾート・サーキュレーティングスマイル」を販売。環境問題に配慮した、東京ディズニーリゾートならではの取り組みに迫ります。
ミッキーと、できることからはじめよう!
東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドの商品開発担当・清水千里さんは、プロジェクトのはじまりについてこう語る。
「コロナ禍以前より、東京ディズニーリゾートにいらっしゃるゲストの若年層がさらに増え、環境問題に関心を持たれている方も多くなったと感じるようになりました。さまざまな市場で環境に配慮したグッズがいろいろと登場しはじめていましたので、われわれとしてできることはないかと考え、LET’S START WHERE WE CAN!のプロジェクトがスタートしました」(清水さん、以下同)
2021年7月8日、LET’S START WHERE WE CAN!の第1弾として11種類のグッズが販売された。
「グッズは、オーガニックコットンを使用したTシャツやトートバッグ、タオル。それからリサイクル素材を原材料としたポーチやマグカップなどです。いずれも売れ行き好調で、こうした取り組みに興味をもたれる方が多いのだな、とあらためて認識しました」
これらのグッズには、レトロなタッチでミッキーマウスのイラストが描かれている。このイラストにはどのような想いが込められているのだろうか。
「注目していただきたいのが、『!』マーク。これは、『気づき』を意味しています。そしてミッキーが後ろを振り向きつつも前を指さして進んでいる姿で、『次に向かって、できることから進めていこう』というメッセージを表現しました。LET’S START WHERE WE CAN!とは、和訳すると『できることからはじめよう』です。まさにそれを体現したイラストになっています」
このプロジェクトを進めるにあたって、とくに気をつかったポイントがあるという。
「こういったグッズを開発するからには、素材やそれにまつわる情報に誤りがないことを心がけました。たとえばタオルは巾着入りで販売したのですが、オーガニックコットンを使用しているのはタオル本体のみなので、そのことを商品タグに表示するなど、オーガニックコットン“だけ”をつかってできた商品ではないなら、その事実をキチンとお客さまにお伝えする。環境問題に配慮する取り組みは複雑で難しい問題も多いので、われわれ自身が原材料の背景や生産の過程をちゃんと把握できる範囲で取り組んでいこうと考えました。LET’S START WHERE WE CAN!には、そういう想いも含まれています」
確実に手応えを感じての2年目、プロジェクトはさらに一歩、前進する。
「2022年には、『東京ディズニーリゾート・サーキュレーティングスマイル』が始動。サーキュレーティングスマイルは『笑顔の循環』という意味で、つかい終わったものを新しいグッズに生まれ変わらせることで、資源の循環とともに皆さんの笑顔がずっと続いていくことを目指しています」
7月に、第1弾としてパークで回収したペットボトルや、コーヒー豆のかすを活用したグッズが登場した。
「1年目のグッズの原材料はとくに東京ディズニーリゾート由来のものではなかったのですが、2年目以降はパークで回収した原材料を使ってグッズをつくりたいと考えました。それを家に持ち帰っておつかいいただき、ご家庭でもパークとのつながりを感じていただけたらと。商材としては食器、エプロンやクッションなどのインテリア系を中心とした展開になりました」
「商品によってリサイクルのしかたはさまざまで、マグカップなどのテーブルウェアはトラッシュカンから回収したペットボトルを圧縮してリサイクル工場へ輸送、細かく砕いて洗浄して粒状にし、それを溶かしてグッズに成形し、プリントを施します。またコーヒー豆のかすを染料にしたエプロンやクッション、トートバッグに関しては、豆かすを回収して乾燥させ、染料を抽出。その染料で生地に色をつけ、縫製するという方法を採っています。生地は薄い茶色で、絵柄はパークで販売されている人気ドリンクをイメージ。商品自体もそうですが、このイラストを気に入って買ってくださる方もいて、うれしいですね」
どちらのアイテムにも、つかう人たちにとってうれしいこだわりが詰まっている。
「アウターには大きめのポケットを4つつけました。リュックサックは側面に吊り下げられるポーチや、カメラ機材を入れられる仕切りつきの収納ケース、雨よけのカバーなどがついています。またカラビナ(リュックにつける環状の金具)には、パークで販売しているぬいぐるみバッジをつけても楽しんでいただけますよ! どちらにもキャストのネームタグを採り入れたデザインをあしらっていて、コスチュームをつかったアイテムであることを示すポイントにもなっています。わかる人にはわかる、というレベルかもしれませんが(笑)、パーク好きの方には『おっ!』と思っていただけるデザインになりました」
どちらも発売後、すぐに完売。その人気を受けて、2023年2月23日からのリュックサック再販が決定した。また同日、パークで回収したペットボトルから糸をつくり、それを織った生地を用いたリュックサックやノートパソコンケース、ショルダーバッグなども登場する。
「LET’S START WHERE WE CAN!という取り組みは一過性のものではありません。今後も少しずつ新しいことに挑戦しながら、環境に配慮したグッズの開発を進めていきたいです。将来的には、環境問題に配慮することが当たり前の世の中になっていくはずですから、われわれとしてもこれまでの研究や経験を活かして、その先の未来へつなげていければいいなと思っています」
text/木下千寿
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