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青柳文子「男たるもの、女子力、モテ……もう終わりにしたい」
青柳文子「男たるもの、女子力、モテ……もう終わりにしたい」
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青柳文子「男たるもの、女子力、モテ……もう終わりにしたい」

地球を取り巻く状況は変化し、私たちの生活も変わることを余儀なくされました。未来に対して確固たる答えもゴールも見えていない状況ですが、手探りでも前へ進まなければなりません。今回は、モデルの青柳文子さんに、何を思い、どんなアクションを起こしているかを伺いました。

内面に目を向けることが
自分を大切にする第一歩

ジャケット、スカート(タン) 中に着たトップス(パーマネント バケーション/オリエンス ジャーナル スタンダード シブヤ) イヤリング(コウズ リック クロ)

Instagramで、エコアイテムやエシカルな暮らしについて発信している、モデルの青柳文子さん。環境を気にかけるようになったキッカケは、結婚して子どもが生まれ、ごみの量が増えたこと。

「ごみを処理する時間を子どもと過ごす時間に回したいし、毎回つかい捨てするのも気持ちがよくない。なるべくナチュラルなものをつかいたいと思うようになって、調べはじめたんです。ふだんつかっていたものにはムダが多いと気づいて、エコラップや地球に優しい洗剤に替えることからはじめました」

効率や経済成長ばかりを追い求めてきた産業による、地球環境へのしわ寄せを感じることも多いと話す青柳さん。

「ヴィーガン的な目線では、魚や肉を食べるのはよくないって考え方もあるけれど、自分の食べる必要な分だけ獲っていたら問題なかったはず。産業化したことで、乱獲による魚の枯渇や、畜産からの温室効果ガスなどが問題になっているので、産業と地球との関係や矛盾が気になっています」

動物や環境について考える原点は、動物や自然に囲まれて育った、幼い頃の経験だ。

「大分県育ちなんですが、いま思えば、自然がそばにあってよかったなって。四季の移り変わりを感じられたり、乗馬などで動物と触れ合ったり。温泉も多いので、地球の恵みを身近に感じていました」

中学生になると、北海道の十勝平野にある学校へ農村留学も経験。ホームステイ先の家庭では、育てているチャボの卵や、畑で採ってきたばかりのジャガイモやキャベツをその場で調理して食べる「farm to table」な生活を送ったという。

「現代は、素材から口に入るまでの工程が複雑になってしまっているけれど、本来、食べ物は太陽と水と土があるだけで育つんですよね。それを体感しながら、五感が研ぎ澄まされていく感じがありました。目や耳にする情報が減り、雑音や邪念がないことで頭が冴えて、発想や感受性が開ける感覚に中学生ながら驚きました。ケータイを持っていけなかったし、文明的なものが近くにない場所だったけれど、そういうものがなくても生きていけるし、むしろ心地よいとわかったことは、私の価値観を形成する礎となりました」

エシカルな暮らしを心がけるようになってからは、環境先進国といわれるドイツのライフスタイルが気になり、2019年には子連れで訪独した。

「ドイツに住む友達の家で生活させてもらって、日本では気づいたら溜まっているプラスチック袋を手に入れるのもひと苦労でした。街にはオーガニックスーパーもたくさんあるし、パッキングの多い日本と違って、野菜や穀物も量り売り。ハチの巣箱がスーパーで売っていて不思議だったんですが、庭でハチを飼い、植物を交配させるんですって」

ゼロ・ウェイストへの意識が浸透していること、循環の仕組みがあることに驚いた。

「ドイツはビール大国ですが、ビール瓶もデポジット制だから、瓶を返却するのが当たり前。街のなかに大きなリサイクルボックスがあって、細かく分別していました。ほとんどのものはリサイクルできるんですよね」

ドイツで過ごしていて感じたのは、子育てのしやすさだった。

「電車には子ども専用の車両がありました。子どもは社会全体で育てるものだと考えられていて、子ども連れにすごく親切だし、必ず誰かが助けてくれた。日本でもそういう意識が浸透していくといいですよね」

日本で感じているのは、子育てに寛容でない社会と、ジェンダーの不平等さ。

「女性というだけで、結婚で姓が変わるのも、子育てするのも当たり前。些細なことからもジェンダーバイアスを感じることがあります。私は広告に関わり、発信する立場なので、バイアスをかけてしまうことには責任を感じています。「男たるもの」「女子力」「モテ」……そういうものは、もう終わりにしたい。私たちの時代までの悪しき慣習をとっぱらった社会を、次の世代の子どもたちに渡したいんです」

バイアスがあって、他人の価値観に身をゆだねるほうが楽なこともあるかもしれない。

「けれども……」と続ける。

「男、女、という垣根がなくなったら、ただひとりの、個としてのアイデンティティに向き合わないといけない。それも大変な作業ですが、個を確立させられれば、他人の個も認められる。自分の内面に真摯に向き合うことは、自分も他人も大切にすることへの第一歩だと思います」

PROFILE

青柳文子 あおやぎ・ふみこ
ファッションモデル・俳優。独創的な世界観で同世代女性から支持を集め、雑誌、映画、TVドラマ、バラエティ番組、アーティストMVと多方面で活躍中。企業商品プロデュースや執筆業など多彩な才能を発揮している。

●情報は、FRaU2021年1月号発売時点のものです。
Photo:Ayumi Yamamoto Styling:Eiji Takahashi Hair&Make-Up:Aya Murakami Text & Edit:Chihiro Kurimoto
Composition:林愛子

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