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サステナブルな姿勢を貫くコスメブランドに聞く、イタリアのSDGs
サステナブルな姿勢を貫くコスメブランドに聞く、イタリアのSDGs
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サステナブルな姿勢を貫くコスメブランドに聞く、イタリアのSDGs

創業1978年、日本には2021年に上陸したばかりの、イタリアを代表するナチュラルコスメブランド「L’ERBOLARIO(レルボラリオ)」。前編に引き続き、ブランド創業者夫妻の息子であり、レルボラリオの事業開発を担うルイージ・ベルガマスキさんと、輸出部門の責任者であるアンドレア・グルーベルさんが登場。『FRaU』プロデューサー兼編集長の関龍彦が、イタリアのSDGsについてお話を伺います。

―――前編はこちらーーー

 前回は「レルボラリオ」に受け継がれる自然へのアモーレ(=愛)と、サステナブルな取り組みについて伺いました。レルボラリオは昨年末、「株式会社」から社会や環境への影響に配慮する「ベネフィット・コーポレーション」へと企業形態を変えたそうですね。

ルイージ 創業以来、つねにサステナブルな意識はもち続けてきましたが、大きな会社に成長したいま、「自然や社会からいただいたものを還元していかなければ」と考えています。ベネフィット・コーポレーションとして当社が大切にしているのは、ナチュラルビューティであることと、地球や人、そして地域社会にやさしいかどうか。この4つを柱に「さらによくするためには、どうすべきか」ときちんと計画を立て、それに対して実際に何ができたか、決算時などに報告をしていきます。

アンドレア 人にやさしく、とくに社会的に立場の弱い人々をサポートすることも私たちの大切なミッション。以前、戦乱に苦しむアフガニスタンの女性たちをサポートする団体に、ECサイトで得た一日分の利益をまるごと寄付したことがありました。「今日、このサイトでショッピングをすると、アフガニスタンの女性たちを助けることができます」という広告も打ち、多くの反響があったのです。

創業者夫妻の息子であるルイージ・ベルガマスキ(写真中)さんと、輸出部門の責任者アンドレア・グルーベル(同左)さん、『FRaU』の関龍彦(同右)

 日本では、ナチュラルやオーガニックコスメが多く発売されてブームになっています。けれども、「オーガニックコスメがどう社会や環境にいいのか」までをちゃんと理解している人はまだまだ少ないのが現状です。イタリアなど、ヨーロッパの方々の意識はどうなのでしょうか。

ルイージ ヨーロッパでも、正しい知識をもっている人はあまり多くありません。たくさんの認証機関があり、いろいろな認証ラベルがあるため、消費者が混乱しているようです。ただし、サステナブルな意識の変化は、長い時間をかけておこっていくと思っています。

とくに私たちは長年、「サステナブルな試みを行っていますよ!」と声高にアピールをしてきませんでした。いまでこそ製品ボトルのラベルに「97%自然由来成分」などと表示していますが、それは成分のきちんとした計算方法の基準が確立されたから。基準がなかったころは、数字の根拠が示せないため表示していなかったのです。もちろん自然由来成分でつくってはいましたが、基準が確立されていないなかで情報を発することで、万が一、お客さまにウソをつくことになってはいけないと考えたからです。

女性従業員の割合が75%というレルボラリオ。高いポジションに就く女性たちも、たくさん活躍している

ルイージ そういったアピールよりも大切にしているのは、プロダクトのクオリティです。人や環境にとって安全であることと、高品質であることが最優先。その結果、私たちの製品を信頼していただき、40年かけて三世代に愛されるブランドに育つことができたと思っています。そうした方々の多くは、私たちのさまざまな取り組みにも賛同してくれているのですよ。

関 主張しなくても、製品のクオリティでファンを増やしてきたのですね。では、地域への貢献として、どのような活動を行っていますか?

ルイージ 地域で活動する環境保護団体や動物愛護団体と連携をして活動を展開しています。また、フードバンクとも深い関わりがあり、貧困家庭に食事を提供するなどの活動も行なっています。

コロナ禍で世界中がパニックに陥った2019年から2020年にかけて、私たちの拠点であるイタリアのロンバルディア州は、大変な災難に襲われました。世界的に見ても深刻な状況で、当然工場は閉めなくてはなりません。けれども消毒液が手に入らなくなっている状況を見て、「出社できる従業員は、工場に出てきてください」と呼びかけ、消毒液の生産に踏み切ったのです。

得体の知れないウイルスへの恐怖にさらされているなかでしたので、あくまでも強制力のない呼びかけでしたが、多くの従業員が自らの意思で出社し、消毒液を生産。それらはすべて、ロンバルディア州の病院に寄付しました。社会貢献への想いは、社員たちにも浸透しているといえるでしょう。

環境に配慮された、レルボラリオのパッケージ。その美しいボタニカルなデザインで、多くのファンを魅了している。ラッピングに使用されるドライフラワーは、規格外として処分される運命のものをアップサイクルし、「フラワーロス」から救っている

関 イタリアでは、SDGsに対する意識が高いイメージがあります。40年前からサステナブルな活動を続けてきた立場から、変化を感じていることはありますか?

アンドレア かつては田舎に行くと、あらゆるごみが黒いごみ袋に詰めて捨てられていたものですが、いまではそんな光景はほとんど見られません。ごみを分別する意識や、リサイクルの知識が浸透したと感じます。またここ数年、ヨーロッパは雨が降らないうえに暑い日が続き、深刻な水不足に陥っている。そんなことから、環境や水を大切にする意識も高まっています。

関 では、まだまだ改善の余地があると思うことは何でしょう。

ルイージ イタリアでは、残念ながら女性の社会進出が遅れています。そのなかでレルボラリオは社員の75%が女性という、イタリアでは珍しい会社。今後も雇用だけでなく、女性の起業をサポートするなどの活動を続けていきたいですね。

アンドレア イタリアの若いジェネレーションでは、より多様性やサステナブルに対する興味が高い。「未来にとっていいこと」をしたいという積極的な人が多く、頼もしい限りです。世界的にもそういう傾向がありますよね。こうした想いは、レルボラリオのカルチャーにDNAとして存在している。そうした消費者たちが、当社の姿勢や製品を「いいね」と言ってくれたらいいな、と思っています。

―――前編はこちらーーー

text:萩原はるな

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