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和歌山県・白浜町の食材や水から生まれた「和食、クラフトビール、温泉」を巡る
和歌山県・白浜町の食材や水から生まれた「和食、クラフトビール、温泉」を巡る
COLUMN

和歌山県・白浜町の食材や水から生まれた「和食、クラフトビール、温泉」を巡る

その土地ならではのサステナブルを体感、勉強できる旅に出かけませんか? 今回注目するのは和歌山県。高野山金剛峯寺では1000年以上前から植林をし、森を育て、伐採した木材で建物を修復してきました。熊野古道は「救い」を求めて集まるすべての人を受け入れ、熊野三山に導きました。いま私たちが見ている建造物や景観は、SDGsという言葉が生まれるずっと前からこの地にサステナブルな営みがあったことを示しているのです。今回は、和歌山県の海沿いの町「白浜町」を訪ねました。

白浜町の食材や水でつくる和食とクラフトビール

三段壁/長い年月をかけ、荒波に浸食されてできた岩畳の自然美は圧巻だ(西牟婁郡白浜町2927-52)

620mにわたって白い砂浜が続く、関西随一のビーチリゾート・白良浜(しららはま)。ソーダ水のような海を眺めながら車を走らせて白浜温泉線を北上する。観光客の少ない静かな場所に、趣ある日本家屋が現れた。「大阪から2時間かけても行く価値がある」と、舌がこえた食い道楽を唸らせているのが〈御料理 竹寳〉だ。

熊野のヒノキでできたカウンター席は竹中さんの仕事を間近に見られる特等席。「竹」中さんにちなみ、内装には多くの竹がつかわれ、まるで竹林のよう

店主の竹中和也さんは、長野県・大町温泉郷の旅館で料理長を務め、2012年に故郷の白浜に店を構えた。

「やはり生まれ育った場所や、という気持ちが強かった」

和歌山の山海の幸は、他地域と比べても素晴らしいとの自負があったからだ。

紀州鴨をつかった八寸から始まる昼懐石。可能な限り、近隣の野菜や魚介類、調味料を採り入れている。「地のものを味わってほしい」という竹中さんと女将

取材した日の昼懐石も、新鮮な鯛や蛸が目に鮮やかだった。3500円は安すぎる。和歌山の豊かな食材調達環境が竹寳を支えている。

御料理 竹寳/和歌山の食材をふんだんにつかった四季折々の料理は、訪れるたびに新たな発見がある。地元では大切な会食や記念日には必ず竹寳がつかわれるほど、地域に密着した高級日本料理店(西牟婁郡白浜町3720-12) ※仕入れによりメニューは異なる

その後、一杯飲みたくなって、この地域で知らない人はいない〈ナギサビール〉の醸造所へ。

定番のペールエールや和歌山ならではのみかんエールなど、常時4種類以上のクラフトビールがそろう。工場見学の後は、できたての生ビールが飲めると人気

工場見学をした後、できたてのクラフトビールが飲める場所だ。オーナーの眞鍋和矢さんは一見クールだが、その経歴はかなり自由奔放だ。

「借金まみれのなか、海外から設備投入したのはいいけれど、日本のボイラーと相性が合わなくて。しばらくはダマしダマし作業しながら修繕ばかりでした」 いまでは笑い話だというが、綱渡りだった創業当時の失敗談を披露してくれた。

ナギサビール創始者の眞鍋和矢さん。ナギサビールの名称は、眞鍋さんの祖父が営んでいた宿の屋号が「渚」だったことから。工場見学は無料、水曜休み

ちなみに醸造を始めた1997年当時、周囲のクラフトビールは麦芽の全使用量のうち、小麦麦芽の比率が半分以上のヴァイツェンばかりだったとか。眞鍋さんは「もっと日本人の好みに合ったビールをつくりたい」と、少量の小麦麦芽でおだやかな甘みと酸味のアメリカンウィートを製造。これが2024年のワールド・ビア・アワードの品評会で金賞を受賞。ペールエールも2022年に同品評会で金賞を受賞しており、大手ビールメーカーを差し置いての快挙は見事だ。

水は地域の名水「富田の水」をつかっており、ナギサビールはまさに、和歌山だからこそ生まれたビールなのである。

ナギサビール/「繊細な味覚を持つ日本人がおいしいと思うクラフトビールをつくる」をモットーに、1997年に創業した白浜町のブルワリー。地元はもちろん、国内外に多くのファンがいる(西牟婁郡白浜町2927-220)

翌日は朝イチで太平洋に面する湯壺〈崎の湯〉に向かった。

白浜を訪れたら必ず入りたい、海に面した源泉掛け流しの露天風呂。両側の岩が壁となっているが、波打ち際まで行くと波しぶきが顔に当たる。湯冷めしにくいため、雨でも入る人が多い

ここは開湯千年を超える古湯で、絶景を望みながら入れる名湯として名高い。ひと風呂浴びてさっぱりしたら、朝ごはんに繰り出そう。

飛鳥時代から多くの皇族がこの地域を訪れた記録が日本書紀や万葉集などに残っている

崎の湯/日本三古湯のひとつとして有名な白浜温泉のなかでも海と一体化できる希少な日帰り露天風呂。波音と硫黄の香りを楽しみながら入れる。効能は更年期障害、婦人病など(西牟婁郡白浜町1668)

●情報は、『FRaU S-TRIP MOOK 1200年前からサステナブル 世界遺産のくに「和歌山」』発売時点のものです(2024年10月)。

Photo:Naoki Shimoda Text:Tokiko Nitta Composition:林愛子

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