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長濱ねるの思うSDGs「まずは知ること。想像すること。動くこと」
長濱ねるの思うSDGs「まずは知ること。想像すること。動くこと」
VOICE

長濱ねるの思うSDGs「まずは知ること。想像すること。動くこと」

人の数だけ価値観があるように、社会課題における着眼点やできることも人それぞれ。多方面に点在する無数の課題を解決するには、多様なアプローチが欠かせません。ひとつのゴールを目指し、自分ならではの視点でアクションを起こす──。長濱ねるさんの思いを伝えます。

完璧じゃなくてもいい。
小さな一歩を積み重ねて

FRaUウェブサイトでSDGsにまつわる日常の発見や気づきを発信する連載「tsuNagERU SDGs」を担当する長濱ねるさん。テレビやラジオの企画を通して、各地でさまざまな社会課題の解決に取り組む人々のもとを訪ね、対話を重ねている。

「SDGsといえば、気候変動や海洋プラスチックごみなどの問題が大きく取り扱われることが多い印象でしたが、たくさんのテーマや課題があることを知りました。知れば知るほど難しいと思うこともありますし、何かひとつの課題を解決できたとしても、それによって別の弊害が生まれることもあると知って、全部の問題を一気に解決するのは難しいのかなって不安になることも多かったんです。自分もプラスチックをつかった生活をしているし、そんな私が情報を発信していいのかなとも感じていました」

考え方に変化を与えてくれたのは、環境問題に自分たちなりのやり方で取り組む各地の高校生たちとの出会いだった。

「海水温の上昇などによって海藻が激減し、砂漠化が進行する海で藻を育てるプロジェクトを行っている高校生や、海洋ごみを減らそうと活動している方たちなど、たくさんの学生さんのお話を伺ったのですが、みなさん『自分たちが気候変動を止められるとは思ってません』というようなことをおっしゃっていて。それは決して悲観的な意味ではなくて、一人ひとりが完璧にできるなんてことはなくて、できないことももちろんある。でもそれを自覚したうえで、できることをやっていこう。そんなふうに受け止められる言葉で、すごく勇気をもらったんです。完璧になれるまで待っていたら何も変わらない。いま大切なのは、やっぱり動くことだと思ったんです」

2021年3月からNHKのSDGsキャンペーン「未来へ17アクション」の企画としてTwitterで「長濱ねるのSDGs日記」を始めた。取材や番組出演を通して学んだこと、みんなで一緒に考えたいことなどを等身大の視点で発信している。

「強く感じているのが、知ることの大切さ。ここ数年でSDGsという言葉が一気に広まった印象がありますが、ワードだけが先行して、内容はよく知らないし難しそうだなって方もいらっしゃると思います。私自身、勉強を始める前はそう感じていた部分もありました。でもいま、どんなことが問題なのか少しずつでも知ることによって、自分でも貢献できる選択肢があるということがわかってきました。たとえば今日撮影で着用したワンピースはシルクのような滑らかさと美しい光沢があるんですけど、じつはリサイクルポリエステル。水鳥の羽毛をつかわなくても暖かいダウンジャケットなど、ファッションだけでも環境に負荷をかけない選択肢がある。食べ物や日用品も同じで、選択肢があると知っていれば、つくり手にちゃんと利益が回る商品のほうがいいよねとか、できるだけ人や動物を傷つけないものを選びたいなと思える。知ることは、自分が日々選ぶものやサービスの背景を想像しやすくなることにつながる。そういう情報を発信するお手伝いができたらいいなと思っています」

ワンピース(カーサフライン) ピアス(バージュエリー/ジェムプロジェクター)

情報を扱う立場に身を置くようになり、あらためて強く心に留めていることがある。

「自分の意見が絶対正しいと思い込まないこと、それを人に強要しないこと。とくにSNSでは自分のタイムラインに似た考え方の人の意見ばかりが流れてきていることがあります。自分と異なる意見を持つ人だってたくさんいるはずなのに、うっかりすると自分の考えが正論だと思ってしまいがちです。それは本当に気をつけなくちゃいけないと、いつも自分をいましめています」

偏った情報に流されてしまう危険性は誰にだってある。だからこそ、誰かと直接話すことを大切にしている。

「環境や社会問題について、普段は同じような考え方を持っている友人でも、あるトピックについて話すと大きく意見が違っていて驚いたこともあります。自分が当然と思っていたことが、誰かにとってはまったくそうじゃないことがある。だとしたら、私が何げなく放った言葉や情報も、もしかしたら無意識に誰かを傷つけているかもしれない。そう思ったら少しゾッとして。でも考えすぎると今度は自分が生きづらくなる。だから最後はやっぱりやさしさなのかなと感じます。身近な人はもちろん、困っている人や声を上げられない人に対して、ちゃんとやさしさを持って接して、想像力を向けること。その小さな積み重ねが結果としてSDGsの達成につながっていく。そんなふうに思っているんです」

PROFILE

長濱ねる ながはま・ねる
1998年長崎県生まれ。3歳から7歳まで五島列島で育つ。書籍情報誌『ダ・ヴィンチ』でエッセイ連載を担当中。テレビ番組『離島で発見! ラストファミリー』『セブンルール』のMCレギュラー出演や、NHK・SDGsキャンペーン「未来へ17アクション」PR大使を務めるなど、幅広く活躍。

●情報は、FRaU2023年1月号発売時点のものです。
Photo:Yu Inohara Styling:Akane Kitsunai Hair & Make-Up:Rumiko Koike Text & Edit:Yuriko Kobayashi
Composition:林愛子

Official SNS

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