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トリンドル玲奈に影響を与えた「母の存在と幼い頃の経験」
トリンドル玲奈に影響を与えた「母の存在と幼い頃の経験」
VOICE

トリンドル玲奈に影響を与えた「母の存在と幼い頃の経験」

人の数だけ価値観があるように、社会課題における着眼点やできることも人それぞれ。多方面に点在する無数の課題を解決するには、多様なアプローチが欠かせません。ひとつのゴールを目指し、自分ならではの視点でアクションを起こす──。その内側に込められた、トリンドル玲奈さんの思いを伝えます。

自分ならではのアクションは
生き方から見つかる

ここ数年で急上昇したSDGsの認知率。一方で、課題解決に向けた無数にあるアクションを前に、「何から始めればいいのかよくわからない」「行動していないことに対し罪悪感を抱いてしまう」などといった、戸惑いを見せる人も少なくない。モデル、俳優として雑誌、テレビなどで活躍するトリンドル玲奈さんは、ごく自然に地球の未来に思いを寄せる。等身大の自分からブレないその姿勢は、意図的ではない。生き方そのものなのだ。

「これまで何度も引っ越しをしてきましたが、ずっとヴィンテージマンションに住んでいます。ヴィンテージ物件好きの両親の影響もあると思うのですが、築年数が浅い建物よりも、敷地の植物たちと建物が長い年月をかけて共存しているような、時を感じるあの空間がすごく好きなんです」

キャミドレス、ニット/カーサフライン イヤークリップ/シズクイロ、イヤーカフ/オンブル ビジュー(ともにフォーティーン ショールーム)

オーストリア人の父と、日本人の母を持つトリンドルさんは、幼少期を海外で過ごした経験をこう振り返る。

「子どもの頃に住んでいたオーストリアもそうですが、ヨーロッパには、新しい建物がほとんどありません。外観は古いけれど、中はきれいにリフォームされている物件が多く、そんなふうに手入れをし、建物を大切に扱いながら何十年も住み続けるという考えが、自然と身についているのかもしれません。その点、日本は対照的。以前、新しくビルを建てるのに、見慣れた桜の木が伐採されたことがあったんですが、すごくショックで胸が痛みました」

トリンドルさんが長く大切に扱うのは家だけではない。

「ひとり暮らしを始めたときに買った鍋や器はいまも使っています。そういえば、10年前に妹におそろいのバッグをプレゼントしたことがあるんです。二人ともいまもつかっているのですが、妹はボロボロ(笑)、なのにわたしのは新品みたいにきれい! 物持ちがいいとは昔からよくいわれますね。あとつかわなくなった服やバッグは、妹にあげることが多いかな。妹は昔から“お古”が好きなんです。母も仲がいいので3人で交換することも」

必要最小限のものを、長く愛する。しかも意図せず、ごく当たり前のように。サステナブルな暮らしの原点とも呼べるその生き方の背景には、母の存在がある。

「母は、財布とカギをポケットに入れ、カバンを持たずに出かけるような、必要以上のものを持たない人。もう20年近く前に着ていたコートを、いまでもたまに着ていますよ」

トリンドルさんが出演していた番組「それはまるでトリンドルな1日でした。(北海道文化放送)」では、北海道の農業現場を訪れ、農畜産物の魅力を、自身の体験を通して伝えていた。

「農業の現場には、本当にたくさんの学びや気づきがあります。たとえば、百合根を収穫するまでに6年もかかるんです。ふつう知らないですよね。そう考えると百合根は他の野菜よりも少し値が張るのも納得がいきます。ある牧場を訪れたとき、食肉として育てられた子牛にミルクをあげたり、牧草を食べる成牛の姿を間近で見せてもらったことがあるんです。その後、その子たちとは別の牛のお肉をいただく機会があったのですが、はじめて心から『いただきます』が言えた気がします。そして『ありがとう』という思いでいっぱいに」

農業に触れることで、買い物の仕方にも変化が出てきたと続ける。

「近所のスーパーに並ぶ野菜を見ても、どこかの農家さんが愛情を持って育てているんだな~と想像しちゃいます。そういえば今年の夏頃、玉ねぎが高い時期があったじゃないですか。天候に左右され、少ししか育たなかったから値上げするしかなかった。これまでは『高いから買わない』という選択をしていたかもしれない。けれどいまは少しがんばって買って、大切に調理していただきたいと思うように。大変な思いをされている生産者さんを応援したいなという気持ちが芽生えました」

食材や生活用品もストックは買わない。衣食住すべてにおいて、いまの自分にとって必要なものだけを買う。常に自分を見つめ、いつだって等身大で生きるトリンドルさんが大切にしているもの、それは“体験”。

「いまの時代、SNSやネットで欲しい情報はだいたい手に入る。だけどそれは本当かどうかわかりませんよね。発信する側の立場としても、やはり“体験”こそすべてだと思っています。今後は、もっと日本の課題に直面する人や、解決に向けて取り組む人たちの姿を発信するために、カメラを片手に会いに行きたいです」

PROFILE

トリンドル玲奈 とりんどる・れいな
モデル、タレント、俳優。1992年、オーストリア・ウィーン出身。オーストリア人の父と日本人の母を持つ。高校生でモデルデビュー。慶應義塾大学環境情報学部に通いながら、雑誌「ViVi」「with」のレギュラーモデルを務める。インスタグラムのフォロワー数は170万人超え、男女多数のファンに支持される。映画初主演を務めた映画『リアル鬼ごっこ』では第19回ファンタジア国際映画祭・最優秀女優賞を受賞。『ひるおび』(TBS)金曜レギュラー。

●情報は、FRaU2023年1月号発売時点のものです。
Photo:Masanori Kaneshita Styling:Takako Nagahari Hair & Make-Up:Mariko Chiba Text & Edit:Nana Omori
Composition:林愛子

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