森星「目指すは、人工物とも共存できる二拠点生活」【前編】
トップモデルとして活躍しながら、サステナビリティを体現するライフスタイルを発信している森星さん。国内で過ごすことを余儀なくされた昨今、日本に根づいている考え方や文化から、サステナビリティを感じていると語ります。消費しすぎることなく、気持ちがよいことをファッショナブルに楽しみたい。そんな森さんの、持続可能な暮らしのための考えとは。
この幸せが続くために
地球を大切にしなきゃ
生き方を提案するモデルとして、自身の方向性をシフトして以来、サステナブルフードトラック「エデン」や、期間限定ライフスタイルショップのディレクションといった活動も注目されているモデルの森星さん。日頃から本を読んだり、いろいろな人に話を聞くなどして、SDGsについて学んでいるのだとか。そんななか、近頃気づいたのは、日本には昔から持続可能な暮らしを実現するヒントがたくさんあるということ。
「以前はとにかく日本の外に興味が向いていました。でも海外へ出かけにくくなったこともあって、日本の内側に目がいくように。SDGsという視点において日本は、ジェンダー平等や気候変動対策など、世界各国に比べて遅れているといわれがち。でも私は、知るほどに日本には素晴らしい文化がたくさんあると感じています。とくに『もったいない』という考え方、物を長くつかう気持ちが根づいていることは誇るべき。私の祖母も、戦後のものがない時代にバラバラの布をつなぎ合わせることから、ファッションの世界に入ったんです。そういう知恵や感覚を、きちんと次世代に引き継いでいきたい」
もちろん、世界に学ぶべきことはたくさんある。だけど森さんは、ネガティブな部分にフォーカスするよりも、いい部分に注目し、それに誇りを持つことで、よりよい暮らしを広めていきたいと言う。
「いい香りの花に囲まれて、暮らしが循環することが気持ちよくて。環境によくないってNGを連ねるより、この幸せが続くために地球を大切にしなきゃ、と思いたい」
そんな自身の考えを発信する場として、いつかヴィレッジをつくりたいと考えている森さん。その第一歩として、東京近郊の自然豊かな場所に暮らしの拠点をもつことを決めた。
「移住や二拠点暮らしをするなら、ルーツやストーリーがある場所を選びたい。それは私にとって、やっぱり東京近郊なんですよね」
自然への道すじを示してくれたのは、農家や伝統工芸の職人、パーマカルチャーデザイナーなど、自然と共存している人々。
「もっと東京から離れた大自然のなかで、本質的な暮らしを学んでみてはと言われています。もちろん、厳しい自然のなかで暮らすことの重要さはわかる。生きる力や感性が磨かれることで、モデルとしての表現力も変わっていくだろうと思います。だけど私は都会生まれの都会育ちで、ファッションにときめきをもらってきた。人工物と断絶はしたくないんです」
0か100かではなく、自分にできることを、自分らしい場所で実践したい。それが森さんの素直な気持ちだ。
PROFILE
森星 もり・ひかり
モデル。雑誌やCM、ファッションショーなどで活躍。2015年より、国際NGOプラン・インターナショナルの、「Because I am a Girl」エンジェルを務めている。オフィシャルYouTubeチャンネル「Hikari Mori」も人気。
●情報は、FRaU2021年8月号発売時点のものです。
Photo:Takako Noel Styling:Shino Suganuma Hair & Headpiece:Takayuki Shibata(SIGNO) Make-Up:Mariko Shimada(UM) Text:Shiori Fujii Edit:Chizuru Atsuta
Composition:林愛子
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