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DIYで変身! ドリップ後のコーヒー粉が石けんに!
DIYで変身! ドリップ後のコーヒー粉が石けんに!
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DIYで変身! ドリップ後のコーヒー粉が石けんに!

本格的なマシーンや専用の器具などを揃えなくても、近頃は簡便なドリップバッグもバラエティ豊かになって、自宅でコーヒーを淹れることが習慣になっている人も多いはず。コーヒーを淹れたあとに出るコーヒー粉を捨てながら「これ、何かにつかえないのかな……」なんて思ったことありませんか? そんなあなたに、ぜひ試してほしいアイデア! 抽出後のコーヒー粉をつかったサステナブルなコーヒー石けんづくりの体験レポートをお送りします。

「おうちコーヒー」だからできる活用術

コーヒーをドリップしたあとに残る、コーヒー粉。「おいしいひとときをありがとう!」とそのまま生ごみにしてしまうことも多いこのコーヒー粉に、実はさまざまな再利用の可能性があることをご存じだろうか。トイレ やシューズクローゼットに置けば、消臭・脱臭剤がわりにつかえることは広く知られているが、ほかにも虫よけやノラ猫よけとしての効果があるうえ、発酵させれば肥料や堆肥としても活用できる。再利用することでごみの削減にもつながり、もちろん無添加なので環境にもやさしい。自宅でコーヒーを楽しむ人には、積極的に活用してほしいサステナブルな素材なのだ。

そこで今回、抽出が終わったコーヒー粉のあらたな活用法として、いま人気の「手づくり石けん」にチャレンジ! 肌にやさしいうえ、スクラブ効果も期待できるコーヒー石けんのつくり方を、UCCコーヒーアカデミー講師の大澤優二さんに教えていただいた。

いくつかの注意点(※印)と大切なポイントさえ押さえておけば、家庭でもつくれる石けん。レシピと体験レポートを参考に、ぜひトライしてみてほしい。

材料(牛乳1リットルパックおよそ1本分)
◇精製水・・・175CC  ※薬局、ホームセンターなどで購入可
◇苛性ソーダ・・・66g ※薬剤師がいる薬局でのみ販売。購入の際は、身分証明書と印鑑 (ゴム印不可)が必要です。取り扱いには注意を!
◇オリーブオイル(香りが弱いピュアタイプ)・・・300 g
◇ココナッツオイル・・・100 g
◇パームオイル・・・100 g
◇抽出後のコーヒー粉・・・適量(乾燥していなくてもOK)

必要なもの 
◇耐熱性プラスチック容器(苛性ソーダ水をつくる)
※ステンレス、ガラス、プラスチック製で耐熱性のもの。テフロン、鉄、銅、アルミ製は不可
◇ボウル2個(苛性ソーダ水を冷やす/石けん生地を混ぜる)
◇鍋(オイルを温める)
◇計量カップ
◇はかり
◇泡立て器(石けん生地を混ぜる)
◇ゴムベラ(石けん生地を型に流し入れる)
◇ステンレス製スプーン 柄が長いもの1本、ふつうのもの1本(ふつうのもの:苛性ソーダを混ぜる/柄が長いもの:苛性ソーダ水を混ぜる)
◇温度計2本(100℃まで計れるもの)
◇ナイフ(石けんをカットする)
◇氷または保冷剤
◇石鹸の型(今回は牛乳パックを使用)
◇保温用の入れ物(発泡スチロール、保温バッグ等)
◇保温用のタオル

~その他、必ず用意するもの~
◇メガネまたはゴーグル(刺激臭と蒸気から目を守る) 
◇マスク(刺激臭と蒸気を吸い込むのを防ぐ)
◇ゴム手袋(手の保護)
◇エプロン(衣類の保護)

まるで化学実験!? 石けんづくりの全工程

材料にあるとおり、石けんの主原料は意外とシンプル。「アルカリ」と「油脂」のふたつからできている。製造方法はいくつかあるが、今回は火を加えずに低温で固める「コールドプロセス製法」でつくってみた。

①苛性ソーダ水をつくる

まずは、アルカリの役割である苛性ソーダ水づくりから。耐熱プラスチック容器に入れた精製水(175CC)に、白いフレーク状の苛性ソーダ(66g)を少しずつ加え、かけらがなくなって液体が透明になるまでスプーンでかき混ぜる。

※【注意ポイント】ゴム手袋、エプロン、メガネまたはゴーグル、マスクを必ず着用し、換気を十分に行うこと。苛性ソーダは、法律で“劇物”に指定されている取扱い要注意の薬品。正式名を「水酸化ナトリウム」といい、薬剤師のいる薬局でしか購入できない。水に溶かすと刺激臭のある蒸気が発生し、温度が90℃近くまで上昇する。この蒸気を吸い込むと粘膜が傷ついてしまい、液体が皮膚に触れればヤケドを負う。

実際にやってみると、液体が発熱し蒸気が出るようすはまるで化学実験のよう……! おっかなびっくりではあったものの、苛性ソーダを溶かしきるまでにそう時間はかからない。焦らず慎重に進めれば問題ないはずだ。

液体が透明になったらフタをして、水と氷を入れたボウルにつけ、温度計を見ながら40~45℃になるまで冷やす。

②混合オイルをつくる

次に、油脂を準備。配合は基本的に自由だが、今回は、オリーブオイル、ココナッツオイル、パームオイルの3種類(合わせて500g)を3:1:1の割合で用意した。オリーブオイルの割合を多くした理由は、刺激が少なくグリセリンやスクワレンといった保湿成分をたっぷりと含んでいるから。今回採用した「コールドプレス製法」では、オイルの栄養成分がほとんど壊れずに濃縮された状態が保たれるので、肌にやさしくしっとりとした石けんに仕上がるのだそう。ココナッツオイルは洗浄力と泡立ちを助け、パームオイルは石けん自体の溶けくずれを防ぐ働きがある。

「肌質や好みによって、オイルの種類や配合などをアレンジできるので、効果などを調べながらいろいろ試してほしいですね」(大澤さん、以下同)

低温になると固まってしまうオイルもあるので、上記写真のようにあらかじめぬるま湯につけておく。3種類のオイルをそれぞれ量りながらボウルに入れ混ぜ、苛性ソーダ水と同じ40~45℃になるようあたためる。

③混合オイルに苛性ソーダ水を加える

苛性ソーダ水と混合オイルが同じ温度になったら、混合オイルのボウルに苛性ソーダ水をゆっくりと流し入れていく。

そして、ここからががんばりどころ、石けんづくりでもっとも肝心なポイント「攪拌(かくはん)」だ。泡立て器で混ぜて、混ぜて、混ぜていく!

大澤さんによれば、「最初の20分間はとにかく休まずにかき混ぜましょう。最終的に、泡立て器からたれ落ちる生地で、生地の表面に絵が描けるくらいの固さになるまでかき混ぜるのが理想です」とのこと。

黙々とかき混ぜ続けることおよそ10分(これが思ったよりも長く感じる……)。パンケーキ生地のような色合いになり、わずかにとろみがかっているが、絵を描けるような質感には、……まだまだほど遠い。そこで、助っ人として登場させたのがハンドミキサーだ。生地が飛び散らないように、上部をしっかりとラップで覆いながら5分ほど攪拌してみると、明らかに“もったり”とした重みが出はじめた!

その後は生地のようすをみながら、根気よく攪拌を続ける。室温などの影響もあるが、およそ10分で“絵が描ける”ほどに。かき混ぜ具合が足りないまま型に流し込むと、生地が固まるまでに時間がかかったり分離してしまうこともあるそうなので、ここは妥協せずに理想の状態を目指したい。

④コーヒーの粉を加えて型に流し込む

石けん生地が目指す固さになったら、コーヒー粉を加える。分量の決まりはとくにないので、バランスを見ながら好みで加減を調整すればOK。今回は、生地の半量にコーヒー粉を混ぜ合わせて先に型に流し、その上に残りの生地を乗せて二層になるように成型する。

「成型用の型は専用ケースも市販されていますが、飲み終えた牛乳パックを再利用する方法が便利でおすすめです。適度に丈夫で型崩れもしづらいですし、石けんが固まったら、四方からピリピリと破って簡単に取り外せます」

生地を流し入れ終えたら、型全体を軽く揺すって表面を平らにならしてフタを閉め、テープなどでスキ間ができないようにしっかり密封する。

⑤保温する

振動させないように固定し、最低24時間かけて固めていく。なるべくゆっくり冷やせるよう、保温箱(発砲スチロールや保冷バッグなど)に入れる。 タオルにくるんで、温度変化が比較的少ない場所に置くのも効果的だ。24時間後に固さを確認したところ、まだ全体的に柔らかかったので、保温箱から出し、さらに1~2日ほど寝かせた。すると、石けんの表面が乾いてちょうどいい固さになった。固くなりすぎると切れなくなってしまうので要注意だ。

⑥型から出して乾燥・熟成

【型出し】
ゴム手袋をはめ、型から取り外してナイフで使いやすい大きさにカットする。外側は固まっているが、断面の真ん中あたりは少し柔らかいくらいが切りやすい。

【乾燥・熟成】
切り分けたものは箱などにスキ間をあけて並べ、日の当たらない風通しのよい場所で乾燥・熟成させる。安全な弱アルカリの石けんに落ち着くまで、4~6週間ほどかかる。さらに2~3ヵ月経つと、余計な水分が飛んで身がしまり、肌あたりが格段にやわらかくなるそう。

「寝かせている間に石けんの表面に水滴が出てくることもありますが、これは保湿成分のグリセリンによるものなので、乾いた布などで拭き取ればOK。余分な油分などが出た場合も、同様に拭いてから乾燥させてください」

熟成1ヵ月の石けん、使用感は?

本来は、もっと長く寝かせたほうがベストだが、ひとまず1ヵ月が経過したタイミングで(待ちきれずに)プレ解禁。

泡立ちは控えめながら、オイルを潤沢に含んだクリームのような泡が心地よく、洗いあがりのしっとり感も申し分ない。「これが、天然素材だけでつくった石けんならではの保湿力なのか!」というのが素直な感想。

コーヒースクラブのおかげで力を入れてゴシゴシ洗う必要もないので、乾燥して角質が増えがちな冬にはぴったり。ちなみにコーヒーの香りはほとんど残らないので、好みのエッセンシャルオイルを入れても香りづけのジャマにならない。

残りの石けんは現在、さらなる熟成期間に入っている。2ヵ月後、3ヵ月後、さらにそれ以上の時間を重ねることで、質感やつかい心地にはたしてどんな変化が起こるのか、いまから解禁日が楽しみだ。

取材・文 伊藤睦月

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