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ココリコ田中直樹が考える「エシカルな社会」への第一歩
ココリコ田中直樹が考える「エシカルな社会」への第一歩
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ココリコ田中直樹が考える「エシカルな社会」への第一歩

日本初となる『エシカル白書2022-2023』(山川出版社)の出版記念イベントで、ココリコの田中直樹さんが登壇。エシカル協会代表理事の末吉里花さんと「エシカルな社会を創る」をテーマに対談を行いました。田中さんは大の動物好きで、2018年にMSC(海洋管理協議会)による「海のエコラベル」アンバサダーに就任。対談で明らかになった、ココリコ田中流・エシカルへの関わり方とは!?

エシカルもSDGsも、実はみんなよくわかっていない!?

末吉 あるイベントでお会いしたとき、田中さんの姿勢にとても感銘を受けたんです。エシカルな社会をつくろうとすると、どうしても「わかってください!」という感じになりがちですが、田中さんはとてもポジティブですよね。

田中 僕自身がそうなんですが、「エシカルってどういうこと?」と、よくわかっていない人は多いと思うんですよ。だから、そういう目線で伝えることができるんじゃないですかね。エシカルって、とても幅広い。この白書は、いろいろな角度から、いろいろな専門家が語っているところが面白かったです。

末吉 エシカルは「倫理的な」という意味で、エシカルな商品、エシカルな金融、エシカルなファッションなどなど多様な入口があります。私たちは、そういう多様性こそ魅力であるとも思っているんですよ。

田中 僕は生きものがすごく好きなんで、動物の生態や素晴らしさを伝えるイベントなどによく行くんですが、環境を意識している子どもが多いことに驚かされています。僕がアンバサダーを務めさせていただいている「海のエコラベル」の認証を受けている商品も、ここ4年で増えていますし。みんなの危機意識の高まりを、すごく感じてますね。

末吉 本当にそうですよね。エシカル協会は2015年に立ち上がったのですが、当時は「エシカル? 何それ」という人がほとんどでした。それがここ1〜2年でようやく認知が広がって、「エシカル消費」という言葉が中学や高校の教科書にも載ったんです。ただ私たちとしては、ようやくスタートラインに立ったような感覚。この『エシカル白書』も、はじめの一歩だと思っています。

「読まずにイベントに参加するような、雑な仕事はしていないんで」という田中さんの言葉に、末吉さんは爆笑。

田中 あるイベントで、家族で農業を営んでいる女の子に会ったんですが、「雨が降らなかったり、すごく降ったりすると作物がとれない」と、天候の変化にとても敏感だったんです。ほかの子は「暑い日が続きすぎると、おばあちゃん、おじいちゃんがしんどくなるから困る」と言っていました。そういう出会いがたくさんあって、エシカルな意識をもつためのフックはたくさんあるし、人によってそれぞれ違うことがわかりました。

ですから、みんなが「自分ごと」と考えられるようなボールを、これからもたくさん投げられたらいいなと思っています。それが、メディアに出させてもらっている自分にできることなんじゃいかと。たとえば100人の前で話したときに、たった一人でもわかってくれる人がいればいい。その人はきっと僕よりボールを投げるのが上手で、次の2人に伝えてくれるはず! そうやって、次は3人、その次は4人と、どんどん広がっていけばいいなあと思っています。

末吉 たしかにそうですよね。では、どんなボールを投げたらいいのでしょうか?

田中 僕は、生きものに関するボールしか投げられません(笑)。そもそも僕自身、すごく生きものに救われた経験があるんです。若いころ、何をしてもうまくいかない時期があって。仕事はないしお金もなくて、自分には何もできないと思ってつらい時期が続いていて。

でも、ほかの生きものを見ると、食べて寝て、すごくシンプルに生きている。そう考えてみると、僕も「ヒト」という生きものとして、食べることも寝ることもできている。「じゃあ、それでOKじゃん!」と、自分を認めて許すことができました。

「大変そうなことは続かなくなるから、自分にできることからやればいい」

ホッキョクグマの気持ちがよくわかる

田中 そんな経験から、自分たち「ヒト」も地球上の生きものと同じ「仲間」と強く思うようになって。だから今の地球温暖化などの気候変動によって、「大事な仲間たちが苦しんでいる」とみんなが捉えてくれるようになったらいいなあ、と思っています。

末吉 そのために工夫されていることって、何かありますか?

田中 僕は、生きものを通じて地球環境の大切さを知ってもらうしかない、と思っていて。ホッキョクグマやペンギンが好きな子にはその話をすればいいんですが、そうじゃない子にも何かしら伝える方法があると思っています。

近年、魚の種類がどんどん少なくなっているじゃないですか。そこでたとえば「これから一生、サバしか食べられなくなるかもしれないよ」と言ってみて、響かなければ「町中に歯医者だけしかない、と考えてみて。骨折しても、歯医者に行かなきゃならないんだよ。それじゃみんな困っちゃうし、歯医者さんだって困るでしょ。このままいくと、海にそんなことが起こっちゃうかもね」なんていう話をしています。

末吉 なるほど。自分と相手の興味が重なるところを探して、そこを目がけてボールを投げるわけですね。

田中 そうなんです。さらに思うのは、知識を得たうえで起こしたアクションの答えを、みんなが手軽に知ることができるようになったらいいな、ということ。自分のアクションのおかげで、ちょっとでも世界が変わったということがわかれば、さらに頑張れるでしょう。電気をこまめに消して頑張ったから、地球の温度が上がらなくなって、ホッキョクグマの住む北極の氷がとけずにすんだ、みたいなことが伝えられると理想的ですよね。

なんなら僕、「ホッキョクグマからの手紙」を代筆して、アクションを起こしてくれた子どもたちに送りましょうか。僕ならホッキョクグマの気持ちに、かなり近い文章が書けると思いますよ!

photo:横E text:萩原はるな

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