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村をあげてお祝い!古民家ホテルでエシカルウエディングを
村をあげてお祝い!古民家ホテルでエシカルウエディングを
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村をあげてお祝い!古民家ホテルでエシカルウエディングを

時代とともに変化をとげながら、世の中のトレンドや文化を映しだしてきた結婚式。コロナ禍という大きな節目を経て、結婚式そのものの価値観や在り方などが多様化するなか、あらたに注目されているのが「エシカルウエディング」という婚礼スタイルです。その舞台は山梨県にある人口およそ700人の山あいの小さな村。結婚式が行われた古民家ホテル「NIPPONIA 小菅 源流の村」を訪ねました。

ここで挙式すれば特別村民になれる

都心から車で約2時間。東京・奥多摩町に隣接する山梨県北都留郡小菅村は、多摩川の源流部に位置し、面積のおよそ95%が森林という豊かな緑に恵まれた村だ。古くから自然と共生する人々によって森や水が大切に守られ、美しい里山の風景がいまだ残っている。

その小菅村に2019年、地域活性化プロジェクトの一環として開業したのが、分散型古民家ホテルNIPPONIA 小菅 源流の村だ。村に点在する空き家を活用して「700人の村がひとつのホテル」をコンセプトとし、村人全員がホテルスタッフをはじめ運営にかかわる。ホテル滞在中は、ゲストが小菅村を満喫できるよう、散歩案内や野菜の収穫体験などのアクティビティが用意されており、村人と直接触れ合えるのも大きな魅力だ。

そして2023年7月から「エシカル」をテーマにした婚礼事業を開始した。村民全面協力のもと、ホテルを起点に村の施設や神社、畑、役場、森にいたるまで、小菅村をまるごとつかった2泊3日の結婚式を提案している。

築150年以上。地域の資産家邸宅を改修した「大家(おおや)」がホテルの中心部

取材に伺ったこの日、ホテルの中心である「大家(おおや)」で結婚式を挙げるのは、昨年ここに宿泊したときに新郎がプロポーズをしたという、埼玉県の岩永一哉さん、未稀さんカップル。

背景のアーチ、新郎新婦が掲げる結婚証明書や特別村民証明書はすべて村の間伐材でつくられた

挙式会場は村の森のなか。木漏れ日が差し、川のせせらぎが聞こえるこの場所は、村の中でも知る人ぞ知る場所だ。村人が証人となる人前式は、新郎新婦による誓いの言葉にはじまり、指輪の交換、三々九度と進む。そして特製の結婚証明書と特別村民証明書に新郎新婦と立会人が署名し終了だ。

NIPPONIA 小菅 源流の村で結婚式を挙げたカップルは特別村民に登録される。今後は村のお祭りや季節ごとのイベントなどに参加できる特典を増やしていくそう

その後は村役場に向かい前述の書類に押印してもらう。アットホームな雰囲気のなか登録手続きが行われ、晴れて特別村民になったふたりに舩木直美村長と職員から祝福の拍手が沸き起こる。

「このプロジェクトを初めて聞いたとき、本当にできるものなのかと心配もありましたが、こうして実現することになり、非常にうれしいです。新郎新婦に小菅村が第二の故郷と思ってもらえるよう村を挙げてお祝いしています。結婚するおふたりの幸せをおすそわけいただいて、村民一同もまた幸せに暮らしていけたら」(舩木村長)

30名ほどの村人が駆けつけ祝福。「おめでとう!」「かわいいお嫁さんだねぇ!」の声があがる
新郎新婦による鏡開きののち、樽酒が村人に振る舞われた

村が持続するために関係人口を増やしていく

今回の結婚式をプロデュースしたのは、「エシカルでサステナブルな社会を実現する仕組みづくりを目指し、さまざまな形のエシカルクリエイティブを提供している」という、THINKSTHINKS。クリエイティブディレクターの石井なお子さんと代表の島野真理さんは、ともに長くウエディング業界にかかわってきた。

「スタイリストとして、ウエディング業界の広告や雑誌の撮影に20年ほど携わるなかで、たとえば撮影やイベントをおこなう際、あらゆるものがその日のためだけにつくられたりつかわれたりして、そのあと廃棄されるのを目にしてきました。結婚式は廃棄物の多い行事という印象があります。長時間拘束や肉体労働が多い業界でもあるので、人にも環境にもやさしいクリエイティブな思い出のシーンを自分たちでつくり出せないものかという思いを持ち続けていました」(石井さん)

島野さんとNIPPONIA 小菅 源流の村との出合いは、宿泊したことがきっかけ。「地域の思いをのせて築150年以上の古民家存続のために立ち上がったホテル」という主旨に感銘を受けたという。

「この小菅村が挙式する方々にとって第2のふるさとのような場所になり、定期的に訪れてくれれば、将来的に移住を考えるかもしれない。そんなふうに村とよい関係を築いていただき、村が持続的に運営できるような関係人口をつくり出せたらいいですね」(島野さん)

ホテルの立ち上げを機に、夫婦で小菅村に移住して村人となったNIPPONIA 小管 源流の村の番頭・谷口峻哉さんは言う。

「もともと小菅村には、集落のみんなで新郎新婦をお祝いするという風習があり、夫婦が誕生するたびに100名を超える村民が集まってそれは賑やかに祝っていたそうなんです。今回再現した“村民一体となって祝う”スタイルを次の世代にもつなげていくことは、エシカルでありサステナブルなのだと考えました。エシカルウエディングとはお客様も村民もハッピーになれる式のこと。今後、村と都市をつなぐイベントになったらいいなと考えています」(谷口さん)

「1年に1回は小管村に遊びにきます。僕たちの顔をおぼえておいてくださいね」と新郎新婦

結婚式を終えた新郎新婦に感想を聞いた。
「村民のなかには、涙ぐみながらおめでとうと言ってくださる方もいて、血のつながりもないのに、本当にありがたく思いました。特別村民になったからには、自分のまわりの人たちにも小菅村をPRしていきます!」(一哉さん)
「昨年ホテルに宿泊して、とても居心地がよかったのでまた行きたいと考えているときに結婚式の話を聞き、こうしてまた来られて一生の思い出になりました。村をめぐりながら、みなさんと交流できてとても楽しかったです。“村全体がホテル”というコンセプトどおりだと感じました」(未稀さん)

ふたりにとって、最高の門出となったようだ。

取材・文 伊藤睦月

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